セミナーレポート 「オンラインセミナー 新人フォローアップ研修(基本編)」

セミナーレポート 人気セミナー「新人フォローアップ研修(基本編)」の内容とは?セミナーレポート 人気セミナー「オンラインセミナー 新人フォローアップ研修(基本編)」の内容とは?

本学では、「オンラインセミナー新人フォローアップ研修(基本編)」を開講しています。今回は、実際に行われたオンラインセミナーをレポート!
セミナーがどのように進められるのか、オンラインにおけるPOINT、登壇講師がオンラインセミナーを行う際に意識していることなどをご紹介します。

今回は、同日2教室で並行開催されましたので、お二人の担当講師に伺いました。

担当講師

金澤周子

学校法人産業能率大学 総合研究所兼任講師
金澤周子

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鈴木志恵夫

学校法人産業能率大学 総合研究所兼任講師
鈴木志恵夫

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(オンラインセミナー)新人フォローアップ研修(基本編) について

私たちは、このセミナーを担当する上で、常に話していることは、「現状に気づくきっかけを提供しよう、ちょっとしたことであっても変えていけることを見つけてもらおう、小さなことでも成功体験は自信にしてもらおう、上司や周囲の声を真摯に聞けてそれを基に考えてもらおう。我々講師は、そのお手伝いをしていこう」です。
教え込むより、どのように気づくかを大事にしています。これは、通学セミナーでもオンラインセミナーでも同じです。

だからこそ、新入社員の皆さんに、「脱・新人」に向けてどのような方向性を描くのか考えていただきます。
日々の仕事を覚えるのに必死に過ごしているうちに、あっという間に月日が過ぎていきます。本セミナーに参加することによって、日常の仕事場面からひとまず離れ、自分の来し方を振り返り、現状を確認する。そして、今後に向けてどのように過ごしていけばよいのか自ら考える機会としていただきます。

セミナー内容のご紹介

上記のことを実現するために、以下のことをねらいとしてセミナーを進めてまいります。
・入社後半年、あるいは、一年経過した時点での、基本知識や実務経験を振り返り自分の現状を確認する。
・今後に活かしていきたい大切なポイントについて、春の新入社員研修より一歩踏み込んだ内容を理解し、自分の日々の仕事における気づきを持ってもらう。
・上司(先輩)から本人宛の「メッセージ」で、本人を励まし、動機づけ、今後どのように成長してもらいたいかを、新入社員本人に認識してもらう。
これらの活動を通して、「脱・新人」に向けて本人がどのように活動していくか思考していただきます。

■実際に行われたセミナーをリポート!

セミナーは簡単な〇✕形式のクイズとグループワークで始まります。
Zoomのブレイクアウトセッションに慣れていただくこともねらっています。

そのあと、再度のクイズとグループ検討を行なったうえで、自分が日々行っていることが自己流になっていないか、標準的な観点との違いを認識いただきます。
これでいいはずだ、と思っていたことが、新入社員研修でもそういえばそういっていたな、先輩もそうしていたなと気づいていただければと思います。
この気づきをきっかけに、「コミュニケーション」「PDCAサイクル」「チームの一員として」「メンバーシップ」について、もう一歩踏み込んだ説明をしていきます。

午後からは、午前中確認したことを基に、自分自身がどうだったのかを考えてもらう時間です。
うまくいったこといかなかったこと、どういう時にそれは起きたのかなど、自分自身で棚卸しをしつつ、参加者のフィードバックを交えて気づきを深めます。

各自が自分なりの気づきを持ったところで、このプログラムの大きな仕掛けに突入します。
事前に書いていただく「上司(先輩)からのメッセージ」です。半年から一年、新入社員本人のそばでその仕事ぶりを見ていた上司先輩に書いていただいたものです。
通学では封筒に入れて当日はじめて手紙を開封してもらいますが、テレワークで封入した手紙を渡すことができない場合もあり、オンラインセミナーではメールで事前に受信して内容を読んでいる人もいるようです。しかし、セミナー前段の気づきを持った今、同じ文面も違って見えるのでしょう。
頑張る姿を認めてもらったときのうれしそうな表情、今後に向けて厳しい内容に触れてひきしまった真剣な表情。一年目の素直な感性でしっかり受け止めています。そしてその激励や課題に対してどのように向き合っていくのか、本人が一生懸命考え、事後課題として「上司(先輩)の報告」を書いていただきます。

■担当講師に聞く!このセミナーのPOINT

――Q.オンラインセミナーでしたが、登壇された感想はいかがでしょうか?

【鈴木講師】
オンラインでスムーズにセミナーが進行するか心配していましたが、参加される新入社員のみなさまがZoomでのやり取りを自然に行っているのを見て、「若い人はすごいなぁ」と感心しきりです。
Zoomという仮想空間で話し合うからこそ、集中できるという側面がありました。お互いにコミュニケーションを円滑に取り合おうという意識を高める状況であったと考えます。

鈴木講師

――【Q】セミナーを受けている受講生のみなさんの印象はどうですか?

【鈴木講師】 春に新入社員研修の時は学生から組織人への過渡期で、まだ実務経験のない状態ですので、内容を理解しても今一つ実感がわかなかったのではないかと思います。しかし本セミナーのタイミングでは、実務経験をしたうえでの参加ですので、実体験に基づいたここまでの歩みを自分なりに振り返り、思考を巡らせています。 今年は特に、コロナ禍ということもあり、現状を維持することだけに集中している自分を客観的に見ることができ、成長の重要性に気づくことができたという感想を持つ方もいました。

――【Q】入社以来さまざまな経験をし、一年目を過ごしている皆さんにどのような言葉をおくりたいですか?

【金澤講師】
新入社員の一年目は覚えることも多く誰でも苦労するものです。しかし、スポンジのように柔軟な吸収力で一年目のカベを乗り越えてほしいと心から思います。その苦労は、自分の実力となって戻ってきますので、頑張って取り組んでいただきたいですね。
新しい環境に慣れるということは、自分が環境に慣れるというだけでなく、周囲の方に自分を知ってもらうことだと思います。自分の仕事、進め方、考え方、なりたい理想像等を自己開示して、成長への支援を周囲からもらえるような働きかけをしていってください。
金澤講師

――Q.特にオンラインでセミナーを実施する上で、事前に工夫した点や研修中に特に意識した点は?

まず、2020年春の特徴として、「新入社員研修が受けられなかった」「例年はきちんとセミナーにいったり、社内で研修があったようだが、今年は感染症対策ということで実施されなかった」という方がいらっしゃいます。
その場合は、新入社員研修を受けた方にも「もう知っていることかもしれないけれど、復習だと思って」と話したうえで、PDCAなど基本的な点を少し丁寧に話しました。
これは、通学セミナーも同じです。

次に、オンラインという環境独特のものですが、現実に目の前にいないからこそ、受講生の方との「対話型」のやり取りを通して一方通行にならないように注意しています。
テキストに記載している事柄をわかりやすく伝えることも大切ですが、受講生の方の考えを同じセミナーに参加されている方々と共有することも生きた情報です。それがお互いにとって今後につながる有益な内容であればこそ「セミナーに参加された意味がある」というものですから。
そのことからも、通学セミナーとは違う「研修の場やそこにいる研修仲間が醸し出すもの」をどのように作り出そうかと考えました。
オンラインであるがゆえにどうしても研修が受け身になりがちです。「一人でポツンと部屋で画面を見ているのではない」「ライブ感をもって受講していただく」ことに腐心をし、参加者の皆さんにも乗っていただきました。あえて、受講者にリアクションを大きくとってもらいセミナーに参加してもらい(誰も見てないから恥ずかしくありません)、講師からの問いかけを多くすることで、参加者の発言する機会をつくり、クラス全体で、情報共有してくことを意識しました。

――Q.セミナーをオンラインで実施することのメリットは?

【鈴木講師】
これまで行われてきた集合型の対面するセミナーには、やはりそのいいところがあります。
しかし、オンラインはそのいいところを形を変えて提供できる。ネットのこちら側と参加者側がうまくセミナーを作り上げることだってできる・・・そう考えています。

集合型の対面セミナーの場合は、控えめで発言の少ない受講生がいます。特に新人だと話し出すのに気後れする参加者もいるようです。グループの中に、ぐいぐい引っ張っていく人がいると、黙っていることが許されることがあります~講師は許しませんが(笑)~でも、オンラインだと黙っていることができないですね。ブレイクアウトセッションで順番に話すときに「私は何もありません」をグループのメンバーが許さず、すかさず突っ込みやアドバイスが入ります。今の世代だから特にそうなのかもしれませんが、別のテーマのマネジャー研修などでも同様でした。

【金澤講師】
そうですね。
オンラインでは、受講者それぞれが集中し、リーダーシップを発揮して、進行しないと、グループ・ディスカッションがうまく進められないことがあります。いつもとは異なる環境で、自分の新たな1面を知るきっかけになるかもしれません。新しい学びの選択になると思います。

――Q.講師として、このオンラインセミナーのお薦めのポイントは?

セミナーの様子を見ていると、休憩時間や終了後に、皆さんが通学でもオンラインでも共通におっしゃることがあります。
たった1日ですが、このセミナーでは、一人の社員として、自分の仕事の棚卸をし、+αの観点を知り、振り返り、考え、周囲の声を聴き、上司や先輩の視点を知ることができる。
「・・・こんな時間の余裕はなかった」「そういう見方もあったんだ・・・」「そんなに見てくれているとは気づかなかった・・・」と皆さんおっしゃいます。
この機会を提供できること、少しでもアドバイスができる場を提供できることがおすすめポイントですね。

鈴木講師
そして、先にも申し上げましたが、このセミナーはセミナーを受けておしまいではなく、職場で仕上げることができるというところが最大のポイントです。

上司(先輩)の方、人事セクションの方も多忙な毎日をお過ごしだとは存じますが、新入社員本人と「育成に関する真剣なやり取り」を行うチャンスとしてとらえていただけたらと思います。

もちろん、このセミナーのご参加で1STEP進んでいただけるように完結させています。
可能であるならば、このプログラムは、最後は、上司・先輩の方や人事部門の方に、参加者本人と振り返り、彼らの考えたことを聞き、アドバイスをしていただくことで「仕上げ」ていただきたい。私たちはそう考えています。