シリーズ「駐在員が見たインドの実態、コロナの話。」(1)インドってどんな国?

赤裸々リポート!駐在員が見たインドの実態、コロナの話。

執筆者プロフィール

善光 昌樹 氏
(ぜんこう・まさき)

FUJIFILM India Private Limited シニアマネジャー





ランチでの一場面が、人生の転機

皆さんは、“インド”についてどんなイメージを持たれていますか?

暑い、カレー、不潔、ターバン…。
私もインドに行く前は、詳しく知りませんでした。

当時の上司に、「世界中どこでもいつでも駐在しますよ!」と、昼飯の時につい言ってしまったのが、私のインド駐在のきっかけだったと記憶しています。
まぁ、人生の転機はどこに転がっているかわかりません。
「インドに駐在するってすごく大変なんだよ!」と、誰かが言っていましたし、インド駐在は拒否権があるとかないとか…、要はみんなが行きたがらない海外駐在先がインドでした。

初めてのインドと肉体の進化

2010年7月15日。私が初めてインドに来た日です。
まだ今のデリー空港のターミナル3ができる前のぼろいターミナル1でした。「なんとも貧相な空港だなぁ」というのが第一印象です。そして、車でグルガオンに向かう道路はボロボロだし、牛はあちこちにいるし、「えらいところにきちゃったぞ」と心の中でつぶやいたものです。

外はとにかく暑くて不快です。インド料理はおいしいのですが、着任翌日に下痢になり、連日のようにお客さんとの会食でスパイスの効いた食事が提供されるので下痢は一向に治まりません。
日本から持ってきた胃腸薬は全く役に立たず、もしかしたら一生下痢が治らないかもと不安になりました。着任から1か月半が経ち、あきらめモードでインドの薬局で下痢止めを購入しました。そして、飲んだ直後、あんなに悩まされた下痢が完治してしまったのです。嬉しい反面、ちょっと恐ろしくもありました。

南インドの典型的な料理「ミールス」右手でいただきます

以降、人間は進化するもので、辛い物もどんどん食べることができるようになったし、下痢はなってもすぐ治るようになり、日に日に体がサイボーグ化するのを感じました。

インドの魅力とはズバリ?!

インドの魅力は、13億人いる「人口」。それに尽きます。

貧困層が多く経済的にはまだまだ未熟ですが、以前の中国のような今後の成長と発展が大いに期待できます。
インド人は商売人気質の人が多く、世界中で活躍しています。とにかく“ダメ元”で交渉してくるので、最初はとまどいます。しかし、非常にウェットな気質も兼ね備えているので、懐に入ることでそれまでと違った人間関係を築けます。根はとてもいい人が多いのです。

一方で、東南アジアなど比較にならないほど極悪非道な詐欺師が多いのも事実です。なかなか素人には攻め込むのに時間がかかる土地であるのは確かです。

インドの街並み。道路は凸凹、ごみだらけ。
街には牛があちこちにいます。

インド英語をマスターしても…

インドでは70%ほどがヒンディ語をしゃべると言いますが、それも100%ではなく、異なる言語が500以上もあります。
イギリスの統治があった影響で、よいか悪いか英語が公用語となりました。インド人の英語はかなり癖があり、米国英語を習ってきた我々日本人からすると「何語?」と戸惑うこともありますが、間違いなく英語です。
インド人が英語をしゃべれることが、世界で彼らが活躍できる大きなファクターだと思います。
日に日にインド英語に慣れていき、言っていることも聞こえてくると、自分のしゃべる言葉もそこによってきます。そうなると、どんどん欧米英語から離れていきます。インド英語では、TOEICの点数はあがりませんので、そこはご注意ください(笑)

インドで一番有名な世界遺産タージマハール。16回行きました。

とにかく、どデカい国土で、パキスタンとはもめていますし、中国とも国境問題でもめています。
原発ももっているし、核保有国でもあります。
しかしながら国は貧しく、汚職は多い。思想も土地も凸凹した国です。
BJPという政党がこの国を引っ張り、モディ首相がこの国をよくしてくれるだろうとインド国民は期待していますが、どうなるか?まだまだ途上のようです。大多数のヒンドゥ教徒が引っ張りながらも、ムスリムもクリスチャンも相当数いて、貧富の差がすさまじいのも全然解決しません。
こんなアンバランスな状態がインドであり、大国でありながら、まだまだ発展途上国のレッテルを外し切れていないような気がします。

(2020年8月15日 インド)

今回は、皆さんの知っているようで知らない“インド”の実態を筆者の視点でお伝えしました。次回は、インドの駐在生活についてリポートします。