セミナーレポート 人気セミナー「1日でわかる!ロジカルライティング」オンライン版の内容とは?

1日でわかるロジカルライティング 1日でわかるロジカルライティング

本学では、ビジネススキル研修として人気のセミナー「1日でわかる! ロジカルライティング」を、オンラインでも開講しています。今回は、実際に行われたオンラインセミナーをリポート!

セミナーがどのように進められるのか、オンラインにおけるPOINT、登壇講師がオンラインセミナーを行う際に意識していることなどをご紹介します。

担当講師

学校法人産業能率大学 総合研究所
経営管理研究所
技術経営&コミュニケーション研究センター

主幹研究員 金田 良子

  • 所属・肩書きは掲載当時のものです。

プロフィールの詳細はこちらから

金田 良子 研究員の写真

「1日でわかる!ロジカルライティング」オンライン版について

「オンラインで初対面の人たちと学ぶことに抵抗がある」「セミナー内容を理解できるのか心配」など、これまで対面でのセミナーに慣れている人は不安に感じる人もいらっしゃるのではないでしょうか。

当セミナーでは、対面のセミナー同様の学びが得られるように工夫するだけでなく、オンラインだからこその利点を活かしてセミナーを進行します。

オンラインセミナーを行う際には、以下のことを意識して準備・進行しています。

  • 資料作成を工夫し、シンプルに説明することで、参加者がワークで戸惑わないようにする
  • 講師と受講者間の反応を高めるための工夫と、受講者が飽きない仕掛けをする
  • 個々にライティングした文章をすぐに全員で共有するなど、オンラインの画面共有の利点を活かす

セミナー内容のご紹介

セミナーは、以下の2点を「ねらい」として進めていきます。

セミナーのねらい

  • 論理的思考を活用し、他社が納得しやすい文章の書き方を習得する
  • 確実かつ迅速に情報を伝達するための論理的でわかりやすい文章作成方法について、理論実践を通じて修得する

それでは、実際に行われたセミナーをリポートします!

セッション1.オリエンテーション

まずは、自己紹介を通じたチームづくりからスタートします。

初対面同士で少し緊張している全員の顔の表情が、エピソードの紹介や他の方々へのメッセージを通じて、笑顔に変わっていきました。

オンラインセミナーの様子
オンライン上で自己紹介

つぎに、オンラインの操作に慣れるために、チャットを使って「今どこから参加しているか?」を各自投稿します。

会社やご自宅、中には普段は海外駐在なのにコロナの影響で日本から現地に戻ることができない方もいらっしゃいました。ご自宅の人は、お子さまや愛犬が登場することも。オンラインならではのご愛嬌ですね!

さらにチャット投稿と併せて、オーバーアクションの練習も行います。これは、相手の反応を理解することで相互理解を深めるための、大切な練習です。

オンライン学習を行う準備が整うと、本題に入ります。

セッション2.ロジカルライティングの全体像

このセッションでは、ロジカルライティングの基礎知識を学んでいきます。

このセッションの流れ

  1. 「ロジカルな文章のイメージ」の相互共有と、「コミュニケーションとは何か?」について各自の考えを発表
  2. 講師から、ロジカルライティングの定義と大原則を紹介
  3. メンバー間で気づきを共有

1.相互共有と発表

まずは参加者にとっての「ロジカルな文章のイメージ」を、オンライン上で相互共有します。
その後、ロジカルライティングの前提なる「コミュニケーションとは何か?」について各自の考えを発表し、コミュニケ―ションの目的を全員で確認します。

2.講師からロジカルライティングの定義と大原則を紹介

講師からは、本日の学びのポイントとして、ロジカルライティングという言葉の定義とロジカルライティングを進める上での大原則を紹介しました。

ロジカルライティングとは、
“期待する効果”の実現を目指し、読み手からみて“筋道が通っている”文章を書くこと

文章の「論点」を特定する
 文章で展開するべき点(外してはならないポイント)が何か、明確にする

メッセージの道筋を整理する
 相手の理解・納得のため、自分のメッセージの「ロジック」を整理する

スムーズに理解・納得できるよう表現する
 理解・納得に向け相手の思考がスムーズにすすみょう、表現で道筋をつける

3.メンバー間で気づきを共有

セッションの終わりには、このセッションでの自身の気づきを言語化しチャットに投稿します。これにより、メンバー間で気づきを共有することができます。
この振り返りは各セッションの終わりに必ず実施します。

1日で分かるロジカルライティング
チャットで気付きを共有している様子

このセッションにおけるオンラインのPOINT

自分の気づきを言語化してチャットに投稿することで、簡単に受講者全員の気づきを共有することができる

開始から1時間経過、ここで少し長めの休憩をとります。
オンラインセミナーに不慣れな方のためにも各セッションを1時間以内とし、通常のセミナーよりも休憩を少し多く設けることで、集中力が落ちないように配慮しています。以降、同様のリズムでセミナーは進行していきます。

セッション3.メッセージの展開検討

本セッションは、文章の作成前に「メッセージの道筋をしっかりと設計する」ための重要なセッションです。

このセッションの流れ

  1. メッセージの論点の特定とロジック整理についての説明
  2. 実践に結び付けるための演習
  3. メンバー間で気づきを共有

1.メッセージの論点の特定とロジック整理についての説明

ここでは以下の2点を受講者のみなさまにお伝えし、詳細についても説明していきます。

  • メッセージの論点を特定するアプローチ方法
  • ロジック整理に必要なピラミッドストラクチャーの理解と活用

論点を明確化するうえで大切な「3つのポイント」

  • 自身と相手のコミュニケーションニーズ分析
  • ピラミッドストラクチャーの3つのルール
  • ピラミッドストラクチャーの各階層の繋がりと展開方法

2.実践に結び付けるための演習

つぎに、これらを実践に結び付けるために、ケース演習から自社の問題状況をロジカルに記述する演習を行います。

演習の流れ

演習1:ケースに基づく論点・テーマの作成演習
演習2:メッセージの作成演習
演習3:自社の問題状況をテーマとしたピラミッドストラクチャーの作成演習

このセッションの演習では、講師からの問いかけに対してチャットで回答するやりとりと、ブレイクアウト機能※1を活用したチーム演習を行います。

講師はブレイクアウト演習中に各チームの演習の様子を覗きながら議論の内容を把握し、適時助言を行います。
また、各チームの発表(アウトプット)では、発表者の内容について講師や他のチームの参加者がコメントし、発表者はその場でアウトプットの修正をします。

※1 ブレイクアウト機能とは

Web会議システム「zoom」に搭載されている機能で、オンライン会議(ここではセミナー)に参加している参加者を、小さなグループに分けることができます。

セッション中は、講師から受講者に情報を伝える際、フリップボードに要点をまとめて直接カメラから投影しています※2。アナログなツールと組み合わせることで、画面に変化や動きが生じるため、受講者の集中力を維持するために効果的です。

1日で分かるロジカルライティング
※2 フリップボードに要点をまとめて受講者に共有している様子。
状況に合わせて記載内容を変更できるという利点もあります。

3.メンバー間で気づきを共有

セッションの終わりには、このセッションでの自身の気づきを言語化しチャットに投稿します。これにより、メンバー間で気づきを共有します。

このセッションにおけるオンラインのPOINT

  • チャット上で講師から共有した演習シートを、受講者が必要に応じてダウンロードして印刷できるため、演習シートを柔軟に活用できる
  • 画面共有機能を利用することで、他の参加者がアウトプットの修正をどのように行っているのか確認しやすい。

セッション4.文章表現の基本

最後のセッションでは、文章表現の基本について学んでいきます。

このセッションの流れ

  1. 伝わる文章に落とし込むポイントを説明
  2. 実践に結び付けるための演習

1.伝わる文章に落とし込むポイントを説明

「文章表現の基本」では、事前に設計したピラミッドストラクチャーを"伝わる”文章に落とし込むポイントを説明していきます。

文章表現で意識する3つのポイント

  • 情報の区切りを表現する
  • 一文を短くする
  • 文と文のつながりを明示する

1.実践に結び付けるための演習

つぎに、前セッションで作成した各自のピラミッドストラクチャーを使い、各自で文章を作成します。

演習の流れ

  1. 各自「文章表現で意識する3つのポイント」を意識して作成した文章をブレイクアウト機能を利用し、各チーム内で相互共有
  2. 各チームの代表者が文章を画面共有機能を利用して発表
  3. 各チームごとの発表内容について、講師からのコメントや他チームからコメントし、その場で修正

最後に、本日の学びの総合演習として「ロジカルライティングのポイント」について、研修を受けていない人を受け手と想定し、メールスタイルもしくはレタースタイルで伝える文章をWordで作成する演習を行います。

全員分のアウトプットを画面共有ながら作成者が各自発表し、それに対して受講者同士でコメントし合います。
講師からは、それぞれ良かった点と改善ポイントをその場で1点づつフィードバックし、本セミナーは終了しました。

このセッションにおけるオンラインのPOINT

アウトプットとして作成したファイルを画面共有機能で簡単に共有できるため、講師がアウトプットに対して即時にフィートバックできる。また、受講者もアウトプットをその場で修正してブラッシュアップすることができる。

登壇講師へインタビュー 登壇講師へインタビュー

本セミナー9:30~17:00までの6.5時間で実施しました。通常の研修とは異なり、オンラインに不慣れな方でも学習に集中できるよう、様々な工夫や仕掛けが準備されています。 その様子を具体的に、担当講師の金田良子主幹研究員に伺いました。

――Q.オンラインとして初めてのセミナーでしたが、登壇された感想はいかがでしょうか?

参加者の方が、非常に前向きでいらっしゃったので、相互のディスカッションや啓発として良かったと思います。
あと、実施前からも少し思っていた事ですが、ライティングの場合、書かなければいけないので、書いたものを画面共有機能でスムーズに共有出来るというのは、フィードバックやブラッシュアップなどの観点から見て、オンラインに利点があるなと率直に思いました。

金田良子講師

――Q.特にオンラインでセミナーを実施する上で、事前に工夫した点や研修中に特に意識した点は?

金田良子講師

事前に工夫した点が大きく2点あります。
1つ目は、受講者にワークに取り組んでいただく際に、取り組み方がわからない受講者が出ないよう、きちんと指示をするための資料を準備したところです。
2つ目は、フォーマットも、なるべく誰もが使えそうなものを準備したことです。対面のセミナーの場合、フォーマット用紙を1枚渡し、他者の様子などを伺いながら説明することで実施できますが、オンラインの場合はなるべくそうしないように意識しました。

さらに、進行上で注意したのは3点です。
1つ目は、展開に飽きがくることが懸念されるため、飽きないような変化を頻繁に細かく入れたことです。
2つ目は、どうしても講師と受講者、受講者間のやり取りの際、反応が薄くなるので、講師としてちょっとオーバー目にリアクションをしたことです。
3つ目は、説明をとにかくシンプルにするということです。

――Q.セミナーをオンラインで実施することのメリットは?

メリットとしては、ワークに取り組んだ後のアウトプットの共有が、とにかくスムーズにできる事です。
特にライティングに関しては、画面を見ながら「ここが良い」「ここがちょっと課題だ」というように検討箇所を全員で瞬時に共有し、画面上で文章を見直しできるのは、対面にはない利点だと思います。

対面の場合のライティングは、パソコンを使用していても、プロジェクターを別途接続することや、作成した文章を講師宛てにメールでいただいたりなど、いろいろな手間がかかります。ですが、オンラインの場合は参加者の方が慣れていれば、画面共有だけで簡単に実現できます。
さらに、対面の場合は、プロジェクターで投影するスクリーンと受講者の距離が遠いことでアウトプットが見えにくいことがありますが、オンラインの場合はそれが無くセミナーを進行できることがメリットだと思いました。

あと、もう1点メリットがあるとするならば、ロジカルライティングだけではないのですが、対面と比較して、受講者がよりしっかりと受講しようという姿勢が見える傾向があるなと思います。
この傾向は、新入社員研修の方が強いかもしれません。見られているという思いから、参画意欲や姿勢が変わるのではないかと思います。

金田良子講師

――Q.金田講師から「ロジカルライティング」のお薦めのポイントは?

金田良子講師

ロジカルライティングでは、自身のライティングに対して周りからフィードバックされる機会を設けています。
ライティング力は他者からフィードバックを受けないとなかなか上達しません。これはライティングだけではなく、ロジカルシンキングも同様だと思います。
オンラインで実施することによって、より効率的・効果的なフィードバックを行うことができるようになりました。

受講者同士や講師から良いところや改善点について、多くのフィードバックをもらえる本セミナーは、受講者にとって貴重な機会になるのではないかと考えております。

様々なセミナーをオンラインで開催しています!

本セミナー以外にも様々なオンラインセミナーを開催しておりますので、以下リンクから是非ご覧ください。 Webサイト上でお申込みも受け付けております。