イベントリポート「〜学習環境デザインで『学び』を変える!〜 これからの企業内人材育成のあり方」


去る2018年11月19日(月)に、東京大学 大学院 情報学環 教授の山内祐平氏をお招きし、SANNOフォーラム2018「~学習環境デザインで『学びを変える!』~ これからの企業内人材育成のあり方」を開催しました。

開催概要

日時:2018年11月19日(月)13:30~17:00
会場:産業能率大学 代官山キャンパス(産能マネジメントスクール)

第1部 はじめに「チェックイン」

ファシリテーターを務めた産業能率大学 総合研究所 主任研究員の米井隆から、「何かの答えを提供するイベントではないこと」「基調講演は大学の学習環境が主なテーマであるため、それを踏まえて自組織について考えていただきたいこと」「基調講演を受けて、参加者同士の意見交換や情報交換を積極的に行っていただきたいこと」について、説明させていただきました。

第2部 【基調講演】新たな時代の「学び」のあり方とは

学習環境のイノベーションを専門としている山内先生から、「これからの企業内人材育成」を考える上でベースの知識となる社会動向や、それらを踏まえて必要になる学び、山内先生が携わってこられた学習環境に関するプロジェクト事例について、解説いただきました。
以下にて、お話しいただいたキーワードをご紹介します。
東京大学 大学院 情報学環 教授 山内祐平氏

これからの社会動向と必要な学び

  • AIなどの技術進展に代表されるように、社会変化のスピードが速い
  • 『人生100年時代』を迎えると80歳くらいまで働き続ける必要がある
  • 約60年間働くには、大学までの学習だけではカバーできない。学び続ける必要がある
  • 『転移可能な高度一般能力』の習得と知識のアップデートが大切

学習環境に関するプロジェクト事例

  • MOOC(誰でも無料で学べるオンラインの講座)の開催
  • アクティブラーニング(能動的に学ぶ学習方法)の導入
  • SNSを活用した日常的に交わらない人からの情報収集
  • 反転学習(講義型の授業を事前学習にして、演習や応用を教室で行う学習形態)の活用

第3部【対話セッション】企業内人材育成の「今まで」と「これから」

第3部では、ご参加いただいた皆さんに4~6名のグループに分かれていただき、企業内人材育成の「今まで」と「これから」を考える対話と、その共有(発表)を行いました。人材育成担当者という同じ立場の方が多かったこともあり、どのグループでも積極的に意見交換が行われ、自組織の事例などを交えた濃密な対話が行われていたことが印象的でした。
なお、基調講演を受けて、自組織の人材育成に活用したいと考えた人が多かったのが「アクティブラーニング」と「反転学習」です。

山内先生に対する質疑応答においても、「アクティブラーニングの導入のポイント」や「事前課題に取り組まなかった人に対する対処方法」など、かなり具体的な質問が多く飛び交いました。また、山内先生の的確なアドバイスに納得いただくご参加者が多くいらっしゃいました。
企業における人材育成は、それぞれの企業の置かれている状況や、所属している人材が異なるため、“正しい”育成方法はありません。さらに、変化の激しい時代を迎えて、過去の実績をベースに考えるだけでは、うまくいかなくなっていることも多いのではないでしょうか。 産業能率大学では、このような人材育成担当者が抱えている課題の一助となることを考え、生きた情報の収集や意見交換ができる、本フォーラムを開催いたしました。本フォーラムが、ご参加いただいた皆さんの課題解決の一助となることを願っております。