ウズベキスタン共和国・キルギス共和国 現地講師育成研修

担当講師
石川 嘉代子 ISHIKAWA KAYOKO
学校法人産業能率大学 総合研究所
経営管理研究所 主幹研究員

※所属・肩書は掲載当時のものです

ウズベキスタン共和国・キルギス共和国について

ウズベキスタン共和国とは

ウズベキスタン共和国は中央アジアの国で、旧ソ連の構成国でした。モスクや霊廟、中国と地中海地域を結んだ古代の交易路(シルクロード)に関連する史跡で知られています。シルクロード沿いの主要都市サマルカンドには、レギスタン広場をはじめ、さまざまなイスラム建築の歴史的建造物が残っています。人口は3200万人。領土は広大な砂漠(キジルクム砂漠)と険しい山々で占められ、海へ出るためには国を2つ越えなければならない、いわゆる二重内陸国となっています。

ウズベキスタン共和国の国旗
ウズベキスタン共和国の地図

キルギス共和国とは

ウズベキスタン共和国と隣接するキルギス共和国も中央アジアの国で、地形の険しい中国と地中海を結ぶシルクロード沿いにあります。首都はビシュケク、人口は590万人。旧ソ連を構成していた中央アジア5カ国の中で「最も民主的」と言われています。圧倒的な存在感のある天山山脈には、ユキヒョウ、オオヤマネコ、羊などが生息しています。南部にある1000年の歴史を誇るオシュは、シルクロードの宿場として栄えた街で、活気のある大きなバザールがあります。

キルギス共和国の国旗
キルギス共和国の地図

研修実施の背景

JICAが途上国の経済発展を推進するために各国に展開する「日本センター」。
同センターの現地講師の能力向上と育成を目的に「国別現地講師育成研修」が実施されています。
本学はこれまで、ベトナムやモンゴルにある同センターの現地講師育成に携わってきました。
今回は、ウズベキスタン共和国およびキルギス共和国にある同センター所属の講師と職員の9名が、日本の経営管理全般やインストラクターとしてのスキルを学ぶために約2週間の日程で来日されました。本学は、このうち「インストラクション」と「プログラムデザイン」を2日間にわたって担当しました。

研修のねらい

(1)自信と自覚をもった講師としての意識を強化する。
(2)受講者の学習を促進するために教育場面で求められるインストラクションスキルの向上をめざす。
(3)指導目的に合致した講座を実現するためのプログラム作成とノウハウを習得する。

研修プログラム

時間 1日目 2日目
10:00~17:00 オリエンテーション
自己紹介を通じて、研修に対する目的意識を醸成する。

教育方法の基礎理論
時間・空間・教材などを含めた受講者とのコミュニケーションの重要性を学び、教育場面での展開を考える。

明日の発表に向けた準備
3人1組となって、講座プログラムをデザインするための準備を行う。
プログラムデザインの骨格づくり
鳥瞰図を用いて、講座の設計を考える。 事前課題をもとに、自分の講座の鳥瞰図を作成する。

プログラムデザインの発表(チーム)
・発表
・受講者&講師コメント

まとめ
・質疑応答
・総合コメント
今回の研修生は全て女性だったこともあり、研修はときに笑いもこぼれる中、終始和やかに行われました。

研修の主な流れは、まず研修初日に教育方法の基礎理論や受講者の学習を支援するための基本的な話し方、動作、講義の進め方など実践的で具体的なスキルを習得しました。
研修2日目は、学習者の立場に立った講義の設計のポイントを学び、実際に模擬授業を行いました。参加者同士、自由闊達な意見交換が行われるとともに、担当講師から講義の進行や所作についてフィードバックを受けました。
研修生の皆さんはとてもまじめで、多くの知識を吸収しようと積極的な姿勢で臨まれていました。

研修風景(写真)

研修生の感想

  • どのように発表し、講義を進め、講義プランを作成すればよいか、多くのことを学びました。また、同僚の発表を聞くことにより、各講師が自分のメソッドを持っていて、それらについても取り入れていきたいと思います。
  • 石川講師に、実践的で具体的なメソッドと実例を示していただき、とても感謝しています。おかげで研修プラン、プログラム、プレゼンテーションの作成、受講者とのコミュニケーションに関するスキルを向上させることができます。また、プレゼンテーション手法についても、数多くの助言が得られました。
  • 教授法の実例がとてもよく示されていました。学習者の視点に立った講義を設計する際に活用することができます。石川講師は、どう教えなければならないのか、どのように手際よく対象物を提示するか、いかに揉め事を解決するか等、具体的に示してくれました。

講師所感

受講者は皆、理解度が高く、ひとつでも多くのことを学び、自国に持ち帰って、現地の発展に寄与したいという姿勢で臨まれていました。自分が納得できるまで、講師に質問する姿勢は、私たち日本人が忘れているものだと感じました。
講師も受講者も通訳の方も全員が女性ということもあり、とても華やかで、ソフトな雰囲気で研修を進めることができました。学ぶことに国境はないということを実感できた2日間でした。

知識欲旺盛な受講者には、講師として、もっともっとお伝えしたいと思うことがあり、2日間では短すぎると感じるほどでした。問題と課題の意味づけの違いは、かなり紛糾しましたが、女性ならではの「ダイエット」を例えにすることで、理解していただけたことは、今思い返しても、楽しいエピソードでした。機会があれば、また彼女たちと学びを深めていきたいと思っています。