⽇本・中国・韓国における「⼥性活躍」の現状と展望 ― グローバル経 済の中で⽣き残っていくために
はじめに
⽇本・中国・韓国の3か国は、男⼥の雇⽤格差などを表すGGGI(Global Gender Gap Index︓世界ジェンダー・ギャップ指数)によれば、先進国約144か国のうち中国は99位、⽇本は111位、韓国は116位と、いずれも最低に近い⽔準です。
しかし、⽇中韓の男⼥参画を調査・研究している⽯塚浩美教授によれば、この3か国の状況と課題は各々異なっているといいます。
しかし、⽇中韓の男⼥参画を調査・研究している⽯塚浩美教授によれば、この3か国の状況と課題は各々異なっているといいます。
男⼥間格差が広がる中国、解消に向かう韓国
⼀⽅、韓国はGGGIの⽇本との順位の差が2016年に⼀気に縮まりました。実は、労働市場が固定的で、終⾝雇⽤の⽂化があるのは世界でも⽇本と韓国だけであり、出産でキャリアを中断しがちな⼥性にとって活躍しにくい⼟壌であると⽯塚教授は指摘しています。
「韓国が変わったきっかけは、1997年のアジア通貨危機です。IMF(国際通貨基⾦)から⽀援と引き換えに改⾰を迫られ、ようやく重い腰を上げたのです」。
中でも奏功した施策が、2006年に導⼊されたアファーマティブ・アクション(積極的雇⽤改善措置)です。
これは、同じ産業の⼥性の就業率と管理職⽐率の平均値を出し、その60%未満の企業に対しては、改善に向けた計画書や報告書の提出を義務付ける制度で、「目標設定が⽐較的緩く現実的であったため、着実に効果が出ています。韓国は、実情としては既に⽇本を追い越していると思われます」と⽯塚教授は分析しています。
中でも奏功した施策が、2006年に導⼊されたアファーマティブ・アクション(積極的雇⽤改善措置)です。
これは、同じ産業の⼥性の就業率と管理職⽐率の平均値を出し、その60%未満の企業に対しては、改善に向けた計画書や報告書の提出を義務付ける制度で、「目標設定が⽐較的緩く現実的であったため、着実に効果が出ています。韓国は、実情としては既に⽇本を追い越していると思われます」と⽯塚教授は分析しています。
⽇本の「⼥性活躍推進」とさらなる課題
その上で、男⼥間格差を解消するには、労働市場の流動化や正規・非正規の格差解消を含めた「働き⽅改⾰」が重要と⽯塚教授は断⾔します。「⼈⼝減少と財政⾚字を抱える⽇本がグローバル経済の中で⽣き残るには、潜在的労働⼒である⼥性の活躍が⽋かせません。しかし、現在の⽇本企業の『働かせ⽅』では、⼥性が⼦どもを⽣み、男性並みに働き、男⼥共に仕事をしながら育児と両⽴することは難しい。しかも、単に両⽴すればよいのではなく、そこに安定感や働きがいがあることも重要です。経営者や管理職の⽅々には、従業員やメンバーの『⽣きがい』などのミクロな視点と、⽇本の経済全体や将来といったマクロな視点の両⽅から「⼥性活躍」を考え、推進していくことが求められていると思います」。