自動車技術のグローバル展開(1) ~環境問題と自動車の規制~
はじめに
クルマのある生活を選ぶ
異常気象と地球温暖化問題
しかし、気象庁はこの異常気象の理由を「例年とは異なる気圧配置」という説明で済ませてしまっており、なぜ「例年とは異なる気圧配置になってしまったのか?」という真因にまでは言及しておりません。おそらく、真因を言及できるまでの根拠には行き着くことができないからだと推測されます。ただし、定量的に言えることは「地球温暖化」が進行しており、平均気温が上昇していることは間違いない事実です。
地球温暖化への対策は複数ありますが、今回のコラムでは「自動車が排出する二酸化炭素(CO2)削減」に向けて、全世界の自動車メーカーが協力して取り組んでいることに注目してみたいと思います。
法的規制による自動車開発の縛り
中国政府も「一定の割合を電気自動車にする」ということをメーカーに義務づける規制の導入を計画しています。またアメリカ合衆国のカリフォルニア州では今年(2017年)秋から「ハイブリッド車をエコカーの対象から外す」ことを決定しました。すなわち、秋以降はたとえプリウスに乗っていてもフリーウェイで「カープール専用レーン」をドライバー一人だけで走行すると違反になってしまうかもしれませんね(詳細は、未定ですが・・・)。
さて、日本政府はこの世界的な動きをどう見ているのでしょうか?「10年ひと昔」と言われた時代はとうに過ぎ、今や「1年ひと昔」と言われるくらい、市場環境や技術革新は凄いスピードで我々の生活に変化をもたらし、1年先がどうなっているのか予測できない時代になっています。
製品の「ライフサイクル環境負荷」の低減
日本ではすでに「ごみの分別回収」や「冷暖房の設定温度」を意識するなど環境へ配慮する行動が自主的に行われています。 クルマに関しても「ハイブリッド車」に代表されるように、できるだけ燃費が良いクルマを選び、CO2の排出量が少ないクルマを選ぶ消費行動が多く見られるようになりました。
しかし、「環境問題の改善」で考えなければならない重要なことは「製品のライフサイクル環境負荷」という概念です。すなわち、製品が「原材料から部品が製造され、組み立てられ、使用され、廃棄されるまで」生まれてから死に至るまでの間に環境に悪影響を及ぼす総合量(原油使用料、電気使用量、材料使用量、CO2排出量など)が重要であるということを忘れてはなりません。この観点から考えると、駆動源を2種類常備(ガソリンエンジンとモーター、大容量バッテリー)しているハイブリッド車は、既存の同セグメントのガソリン車に比較して、部品点数も多く、組み立て時間も長く、かつ重量も重く、大容量バッテリーという厄介な部品の廃棄のことを考えると「ライフサイクル環境負荷は高い=環境に優しくない」と言わざるを得ない皮肉な結果となっていることは、一般には知られていないことです。 筆者がIT機器製造会社で商品開発・設計をしていたとき、まさしく「量産レビュー」時点で、「ライフサイクル環境負荷値の改善」を厳しく品質環境部門にチェックされたことは言うまでもありません。
次回「第2回コラム」では、「若者のクルマ離れと自動車業界動向」に関して、お話しさせていただきたいと思っています。