産業能率大学の海外研修プログラムとグローバル教育(4)~「異文化体験研修」~

最終回となる今回のコラムでは、本学「異文化体験研修」基本プログラムとなる「ベトナム国家大学ホーチミン市人文社会科大学(USSH)International Exchange Club(IEC)」メンバーとの異文化交流についてご報告いたします。 我々の到着初日、ホーチミン・タンソンニャット国際空港午前5時50分着であったにもかかわらず、IECメンバー2名が出迎えに来てくれていた件は第2回目のコラムでご紹介しました。この2人はバス内での自己紹介やプログラムの流れの紹介だけではなく、ホテルでの部屋割りやルームキー渡しまで手伝ってくれたのでした。
翌日午前中、早速IECメンバーによる歓迎会が行われました。緊張している本学学生達の気持ちをほぐそうと、出来るだけ明るく、平易な英語で話しかけてくれながら、アイスブレーク的なゲームを実施してくれました。本学学生達も、ぎこちないながらも笑顔で返しながら出来るだけコミュニケ-ションを取ろうと努力している様子でした。ここで連絡先を交換できた学生達は、その後の研修フリータイムで一緒に食事に行ったり、観光や買い物に行ったり、遊んだりしたようです。

研修6日目は、明治大学の学生達も交えて大人数での交流会となりました。日本の流行歌に合わせて踊りのパフォーマンスを披露したり、ゲームをしたり・・・。日本人学生がアオザイを着て、即興ファッションショーンなども行い、教室は沸きに沸きました。素直に楽しんでいる学生たちの様子を見ながら、楽しいことに言葉の壁はないと、教員も再確認できた日でした。 10日目の「ピースビレッジ」訪問後赴いた、川やプールで遊べるホーチミン市近郊のアクアアミューズメントパークには、IECメンバーも5名来てくれました。
一緒に楽しく水遊びができるはずだったのですが、雨が降ったためか川もプールもだいぶ濁っており、本学学生たちが水に入ることを嫌がり、異文化の壁を実感してしまうことになってしまいました。がっかりしたベトナムの学生たちは、自分たちだけで遊び始めてしまいそうだったので、ここは教員が自ら体を張って、濁った川の盥ボートに乗ったのでした。私の後に、2年生たちが付いて来てくれたため、何とか面目を保つことができました。

12日目はUSSH校内でIECメンバーの力を借りながら、最終プレゼンテーションの準備を行いました。もちろんここに至るまで、自由時間を利用し、各グループでそれぞれ自分たちが設定したテーマについて研究を進めていました。例えば、「ベトナム人の結婚・結婚観」グループは、IECメンバーにインタビューやアンケート調査をしたり、「ベトナムにあったら嬉しい日本製品」グループは、日系企業訪問でAEON様を訪れた際に、日本の店舗ではよく見かけるがベトナムでは見かけない物の調査を行っていました。「ベトナム料理~ゲテモノは本当にゲテモノなのか?検証~」グループに至っては、それこそ体を張って、日本人の味覚感覚だとゲテモノの部類に入る食物に、果敢に挑んでいました。ゲテモノが割と大丈夫な私も、このグループの学生たちと食べた「ホビロン(孵化前のアヒルの卵)」なるものは、今後進んで食べたいとは思えないものでした。けれど、ホーチミンのレストランビュッフェや屋台で普通に見かけたので、ベトナムでは一般的な食べ物であると言えるでしょう。彼らの検証の結果知った新事実です!
研修13日目は、最終プレゼンテーションとフェアウェルパーティーです。学生たちは、パワーポイントで発表資料を作り、原稿を英訳し、暗記し、当日ギリギリまで練習していました。教員も、英訳や英語のプレゼンテーションの仕方などについてアドバイスをし、支援しました。結果、彼らの英語力をもって伝えたいことが全てIECメンバーに伝わったかどうかは分かりません。しかし、その伝えたいという熱意は伝わったようです。
5グループの発表はそれぞれ個性に富み、できるだけ分かりやすく、楽しい発表になるよう工夫が施されていました。20人近く集まったIECメンバーは、皆熱心に聞いてくれ、盛んに質問の手も上がりました。最後にUSSHの教員から修了書を渡され、発表に対するお褒めの言葉をいただきました。後半のパーティータイムでは、お菓子を食べたりお喋りをしたり、やっと連絡先を交換したり・・・。

ここでほとんどのIECメンバーとはお別れでしたが、なんと翌日の出発日夜に、空港まで見送りに来てくれたメンバーも何名かいて、学生たちは感動していました。「ぜひ、日本にも遊びに来てほしいね!」「またホーチミンに来たいね!」「たった2週間前だけど、すっかりベトナムに慣れたね!」など学生たちの感想を聞き、この異文化体験研修はそれぞれにとって成功だったのだと、胸をなで下ろし、帰国の途に就きました。 2017年6月3日、「異文化体験研修事後授業」を実施しました。ここで本当に嬉しかったことがあります。何名もの学生が、「先生!今年度の『異文化体験研修』にまた行きたい!」と言ってくれたのです。また、「11月にIECメンバーの1人が東京に遊びに来ることになったから、この授業を履修していた皆で歓迎しよう!」という報告とお願いも受けました。残念ながら、この研修プログラムに二度参加することはできませんが、この研修が大成功だったことが証明された瞬間でした。 本学の「異文化体験研修@ホーチミン」の報告は以上です。2017年度は、台北での異文化体験研修も始まり、本学の学生たちのグローバル化は、ますます推進されると予想されます。異文化比較が専門の教員としては、本当に楽しみな産業能率大学学生たちの今後です。