【通信研修】「多様さのマネジメント」。それは、今そしてこれからの⽇本企業の課題であり、コース開発の課題でもあった。ダイバーシティ・マネジメント⼊門コース

「ダイバーシティ」という⾔葉の多様さに翻弄された企画初期

2017年4⽉にリリースされた通信研修「ダイバーシティ・マネジメント⼊門」コース。テキスト1冊、添削指導2回というシンプルな構成ですが、開発に当たってはさまざまな⽣みの苦しみがありました。本コラムでは、そうした企画開発のプロセスを少しご紹介しながら、本コースのねらいや魅⼒をお伝えできればと思います。

「ダイバーシティ(多様性)や働き⽅をテーマにした研修は、早晩きっと、必要とされるときが来る。」そう思うようになったのは、今から3年ほど前のことでした。偶然なのか必然なのか、周囲のさまざまな⽅がさまざまな⽂脈で、この⾔葉を使う場⾯に居合わせるようになったからです。ある⼈事・教育部門の⽅と話をしていたときには、今後の労働⼒不⾜を補うには、⼥性社員にもっと活躍してもらわないといけないのだけれども、なかなか現場の理解が進まなくて、と真剣に悩んでおられました。その数⽇後、とあるCSRの研究会に参加した際には、⼤⼿製造業のCSRご担当者様が、事業と共にCSRをグローバル展開していく中で、⼈の多様性や⼈権に関する感覚が国内と海外拠点の担当者間で非常に違っていて、電話会議などでは解決できなかった、というプレゼンテーションをされていました。さらにその後、マクロ労働経済学を専門とされている⼤学教授とお会いしたときには、少⼦⾼齢化を前にして、あらゆる労働⼒を活⽤できるようにしなければ、これからの⽇本の経済は絶対に⽴ち⾏かなくなる、そのためにはジョブ型の働き⽅への移⾏が不可避だ、と⼒説されていました。

これらの⽂脈の中で使われていたキーワードが、いずれも、「ダイバーシティ」だったのです。

特に本コースの企画時の拠り所となったのは、「組織としては施策を充実させつつあるのだけれども、現場の、特に管理者層の“本⾳の”理解がなかなか得られなくて」という、組織の推進ご担当者様のお悩みでした。総論賛成各論反対。
それは、おそらく、これまで⽇本の企業が得意としてきた-そして、強みの源泉であった-マネジメントスタイルを、根本から問わなければならないような課題であるからではないのか? 本コースの企画は、こうしたやや⼤胆な仮説から出発し、「現場の管理職の⽅々に、ダイバーシティの必要性はもちろん、それを実現するにはどのような変⾰が必要なのかを、できるだけ具体的に、でも⼿軽に⾝近に、捉えていただけるコースを作ろう」というコースの基軸は、かなり早い段階で定まっていました。

しかし、⼤変だったのはその後です。何しろ、ダイバーシティという⾔葉の意味⾃体がダイバーシティ。⼈事ご担当者様が、CSR部門が、マクロ労働経済学者が、それぞれの問題意識と信念のもとに使っていらっしゃる。どれか1つに依拠すれば楽だけれども、おそらく現場の⽅々にとっては、そのどれもが、同じぐらい⼤切な課題になるのではないか。そう考え、「ダイバーシティ」を要請する⽴場とその目的を整理し、図表1のように図式化してみました。

図表1 ダイバーシティを要請するさまざまな⽴場とその目的

最もマクロな経済環境の視点からは、ダイバーシティは⽇本の労働⼒確保のために必須の⼿段として期待されている。少し視野を狭めて企業(経営者)の目線に⽴ってみると、労働⼒確保もさることながら、イノベーションや競争⼒の源泉として、ダイバーシティが「戦略的に」着目されつつあるという流れも⾒えてきました。そして現場の管理者・リーダーにとっては、すでに待ったなしのしかも未経験のマネジメント課題になりつつあり、実は多くの⽅々が“試⾏錯誤”されているという状況。さらに個⼈のレベルでは、例えば⼥性や障害のある⼈、あるいはその後⼈⼝に膾炙したLGBTなどのいわゆるマイノリティの⽅々を中⼼とした⼈権の問題として、⼿段ではなく目的として、扱われるべき側⾯もある、と思われました。

3⼈の著者によるオムニバス⽅式のテキスト+インタビューコラム

このように「ダイバーシティ」という概念を整理してみた結果、コースで扱う範囲、すなわちストライクゾーンはできるだけ広く取りたい、企業組織やある後受講者様が「今」直⾯している課題はこの図のいずれかだとしても、浅くてもなるべく広いかたちで、ダイバーシティにまつわる考え⽅を扱いたい、という欲がでてきました。そこで、図表1の整理をベースに、「ダイバーシティ」を⼤きく3つの領域に分けて、各々の領域の専門性のある⽅に執筆指導をお願いする、オムニバス形式でテキストを開発することにしました。その3つの領域とは、「価値観」「働き⽅」「属性(⼈権)」の3つ。詳しくは、図表2をご覧ください。

図表2 本コースで扱う「3つの多様さ」

幸いなことに、領域各々について、非常に専門性が⾼い先⽣⽅にご賛同いただき、原稿執筆を進めていただける運びとなりました。また、各章に1つずつ、実務やアカデミックの観点からのインタビューコラムも配し、テキスト1冊ながらも多様な観点から、ダイバーシティを考え、実践に活かすことのできるプログラムとなっています。
コラムの内容は以下のリンク(関連情報)でお読みいただけます。

下記のコースタイトルをクリックすると詳細がご覧になれます。

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