次代を担う経営幹部をいかに育成するか

【1】 お客様が抱え、直⾯している問題状況とは

経営を取り巻く環境が⼤きく変化し、過去の経験則や分析だけで将来を展望するということが⾮常に困難になってきています。そういった現状認識を前提に、どのように企業経営のあり⽅を強化していくかという問題意識はどのお客様も共通で持っていらっしゃるようです。ただし、共通しているのはそこまでで、それから先の具体的な相談内容というものは、やはりお客様の業種や規模、企業⽂化といったものでかなり変わってきます。

もうひとつ共通しているのは、経営者になりうる⼈材を、社内に幅広くプールしておきたいという考えです。ある特定の、あの⼈ということではなくて、実際に役員になられる⽅の数倍規模の⼈材をプールしておきたいという要望です。当然、経営⼈材というのはさまざまなタイプの⽅がいらっしゃいますから、その都度、環境変化に合わせて適切な⼈材を役員に登⽤するためにプールをつくる、そういった意味で企業が該当者を選抜して毎年、あるいは隔年ごとにトレーニングしていきたいということのようです。

また数年前から、⼀⼈ひとりの経営幹部候補者を客観的にアセスメントして欲しいという要望が増えてきました。こうしたニーズに対しては、お⼀⼈に2名体制で2時間以上かけて⾯談をします。その「⾯談アセスメント」の結果を含めて、各⾃がまとめた事業課題提⾔のアウトプット評価とプレゼンテーション評価、それから経営⼈材特性診断の4点評価を⾏い、最終的に報告会を実施します。

【2】 産業能率⼤学 総合研究所ならではのソリューションとは

本学の創⽴者である上野陽⼀は、⽇本で初めてコンサルティングを⾏った⼈物です。つまり実学に根ざした伝統を持っているわけです。また経営管理研究所の研究員・講師は社会⼈教育に携わっていますから、理論と実践の中間領域をつなぐという考え⽅です。理論と実践をつないだ中間領域の展開を、実際の企業の環境に応じてできるのが本学の強みでもあると考えています。

研究員の仕事というのは、セミナーで講師をする「研修講師」という役割と、コンサルティングという仕事もあります。本学の研究員は、ほぼ主要な業種のコンサルティング経験があり、研修経験、ワークショップ経験もありますので、現実の企業が抱える課題に実際にきちんと対応できるのです。
つまり普遍的な理論とメソッドを持っているので、さまざまな業界固有の情報もうまく整理して体系化できるのです。

【3】 産業能率⼤学 総合研究所が考える「経営幹部育成」とは

本学の経営幹部育成プログラムの特徴というのは、⼀つは通信研修です。経営幹部育成に特化した通信研修、いわゆるMBAの領域と思っていただくとよいと思います。これをかなりの品揃えでラインアップしていますから、それを受講していただいて、その後、通信教育だけだと完全には⾝につきませんので、ケース研修を受講していただきます。通常、ケース研修というと事例研究が多いと思います。実際の企業事例を分析して、なぜうまくいったのか、あるいは、うまくいかないのかについて、分析を主体としてアプローチする⼿法です。それに対して、本学が実施しているのは、事例研究の中でもケースメソッドという⼿法のものです。

教育⽤に実事例を加⼯して、過去を分析するのではなくて、その事例を元にこれからどういう経営戦略やマーケティング戦略を⽴案するべきだろうか、という将来を考える。ですから当然答えがありません。答えは探してもない。過去の事例を分析する場合、いろいろ調べていって、ああだった、こうだったと答え探しになるのですが、将来を考えるわけですから答え探しができない。ですから、わたくしどもの経営幹部育成⼀連のプログラムのひとつのキーワードは、「答えは探さない、答えは創る」ということになるかと思います。

さらに、こうしたプログラムと合わせて、経営幹部になるには覚悟が必要ですから「経営マインドセット研修」という新しいプログラムも出しています。これは危機対応と変⾰、理念の浸透という3つのテーマに焦点化したもので、簡単なショートケーススタディを通じて、危機対応なり変⾰なりを実際に意思決定するというプログラムです。厳しい状況を設定してストレスのかかる状態で、反対意⾒だとか⼀⼈ひとりがばらばらの状態をあえてつくり、そこを経営幹部として貫き通せるかということを実際にロールプレイングでやっていただくものです。

こうしたマインドセットなどに加え、さらに各種ケースメソッド研修、事業設計ワークショップなどがあります。

「経営幹部育成」について本学が提供できるさまざまなソリューション

【4】 お客様の反応、そして評価は

こうしたプログラムについて、おおむね⾼い評価をいただいています。いずれも実際に受講していただいたお客様の声ですが、「マネジャーとしての意思決定と経営者としての意思決定をロールプレイング体験してみると、マネジメントと経営はまったく⼀線を画すものであった」、「⾝をもって体感してみると⾮常によく分かった」という反応を多くいただいています。ビジネスという現場、経営の意思決定という局⾯で、⾮常に役に⽴つという評価をいただいていると⾃負しています。

ひとつのプログラムは1年から2年かけて開発しています。さらにプログラムに即した教材を作り、パイロットセミナーという形でテストランして、さらにフィードバックを受けてまた修正を加え、本格的なプログラムにしていきます。例えば事業の中でA社を買収するという状況を設定する場合、実際にその現場なり状況を知っていないと説得⼒のあるプログラムはできません。
したがってM&Aをする場合であれば、実際に市場調査をするのはもちろん、その会社に⾏っていろいろな情報を聞いてくる。アナリストにも聞いてくる。企業価値評価をして、M&Aをするなら実際どのくらいの⾦額になるのかを算定する。そうした情報の収集と分析・評価を通じてプログラムを作っています。