三つ目のグローバル共通言語~生産性は気持ちで左右される~(2)

1.オフィスのコミュニケーションは落とし穴だらけ

グローバル競争の視点の一つに企業の労働生産性が挙げられます。日本企業の工場におけるブルーカラーの労働生産性は高いという調査結果が出ていますが、オフィスのホワイトカラーは低いと言う結果も出ています。私も同感です。
例えば無駄な会議。開催目的があいまいなので何を期待されているかを探ることで時間が半分過ぎます。定量データのないままに憶測での議論。「そもそもさあ」と過去の議論を蒸し返す。結局声の大きい人の意見が通る。反論や意見を言うと自分の仕事が増えるのでダンマリを決め込む。結局何が決まって何をするのかがあいまいなまま終了。何度「何のための会議だったの?」と愚痴を同僚とこぼしながら仕事場へ戻ったことでしょう。やる気はダダ落ちです。
または「大至急まとめて」と意味の分からない資料作成を急に振られる。会議のたびに「方針が変わったから」とせっかくの作業のやり直し。徒労感を抱いたまま、「なぜこうなったのかの説明くらいしてよ」とも思っていました。当然作業の能率は上がりません。
オフィス問題の統計を見ると人間関係やコミュニケーションに関する悩みが上位を占めます。また企業が採用時に求めるスキルはコミュニケーション力がダントツで一位です。企業活動における円滑な意思疎通がいかに重要視されているかがうかがわれます。その裏で下手なやりとりの結果、抱いてしまったネガティブな感情が生産性を阻害している図式が見えてきます。

2.会議や指示だけでなく、人事考課も大きな課題

日本企業の場合、いまだに評価結果の理由や根拠がキチンと説明されない企業があるようです。フィードバック面談などで結果に納得できないまま、次に何をすれば評価が上がるかが分からないまま、会議室を後にする社員の数は計り知れません。一方、外国人社員は昇給や昇格以前に自分の評価に対する合理的説明、意欲を高めるやりとりを求めます。自分のキャリアを会社まかせにはしません。日本人は「もやもや」しても我慢するかも知れませんが、彼らはさっさと見切りをつけ、自分が成長できる会社へ転職してしまいます。また彼らは不満を隠しません。時によって公然と言葉にします。そうなると収束させるのに多大なパワーがかかります。
取引であれ人事考課であれ、相手の気持ちに配慮した意思疎通ができるかが問われます。それは決して相手に無条件で迎合することや機嫌を取ることではありません。相手がメッセージをどう受け取り、どんな感情を抱くかを想像することです。自分の意見、主張があったとして、その上で自分がどうのように相手が理解し納得する伝え方をするべきかを考え実行することです。このような主張方法をアサーションと呼びます。
心理学の分野では人間の抱く感情は人種間で差がないという学説が主流です。だからこそ外国語ができないタレントでも海外で現地の人と心を通わせることが可能なのでしょう。ビジネスの場面ではお互いの利益を確保するためには社内外問わず、ぎりぎりの線まで交渉を繰り返します。納得できる妥協点に辿り着くには論理性と感情能力の両方を最大限発揮する必要があるのです。