公開セミナー体験レポート「体験!ビジネスコーチングセミナー」 

公開セミナー体験レポート「体験!ビジネスコーチングセミナー」

「体験! ビジネスコーチングセミナー」

緑豊かな並木に囲まれた産能セミナールーム代官山教室で開催された「体験! ビジネスコーチングセミナー」。
自社内での研修以外に初めて外部の公開セミナーに参加した森さん(仮名)に、当日のセミナーで実際に感じたことや学んだことを、職場でどう生かすのかを含めレポートしてもらいました。

担当講師

学校法人産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所
人事研究センター 主幹研究員
  関 直治
通常2日間にわたる「ビジネスコーチング研修」の基本的なエッセンスを4時間に凝縮した「体験!ビジネスコーチングセミナー」。当日は18名が参加し、6名を1グループとして3つのグループに分けて研修はスタート。

Profile: 森さん(仮名)

30代女性。製造業の営業部門に所属、今年で入社5年目を迎える。日常的業務として自身の抱える仕事が増える中、チームリーダーとして部下や後輩(メンバー)を指導する機会も増加。今回は同じ会社から3名で参加。

これまで受けた研修とは違う「緊張感」と「刺激」

森さん:
初めて外部の研修に参加したこともあり、会社の雰囲気とはまったく異なり、最初はすごく緊張しました。自社から一緒に参加した2名も別々のグループに割り振られていましたので、初めてお会いする方ばかりのテーブルです。始まってすぐに講師から「順番を決めてお互いの自己紹介を始めてください」という指示があり、グループ内での自己紹介の時間となりました。参加者全員がそれぞれ部下や後輩を抱える方々です。
 最初は皆さん遠慮がちでしたが、誰かが口火を切ると、すぐにそのグループもひとつの組織となり、役割と言いましょうか、グループ内での立ち位置がなんとなく決まったことが面白いと感じました。このように初対面の人と協働するときの緊張感は自社内では決して感じることができませんので、気持ちが高ぶりました。しかも他の皆さんはまったくの異業種の方々で年齢も役職もさまざまです。
仕事柄、決まった業種の方々とご一緒することが多いため、その点でもたくさんの刺激が受けられるのではないかと開始直後から感じました。 講師が冒頭に 「このセミナーは聞くセミナーではなく参加するセミナーです」とおっしゃっていたのですが、これから4時間、ビジネスコーチングをテーマに、これだけいろ いろな立場の方々と意見交換や交流をしながら学ぶことに大きな期待感と楽しみを覚えました。

90年代から他社に先駆けて実施してきた産能マネジメントスクールのビジネスコーチング研修は、経済のグローバル化の進展や日本を取り巻く経済環境の変化、社員個々人の価値観の多様化など、さまざまな要因を鑑みて、内容のブラッシュアップをしてきた。
しかし軸となる「ビジネスコーチング」の定義は変わらず浸透している。
ビジネスコーチングとは、『「組織の目標達成」と「人材育成」のために、1対1で相手の主体性を引き出す考え方とスキル』
ビジネスコーチングの必要性は民間企業に限らず、すべての組織に該当し、時代が変化するにつれてその重要性はますます高まっている。

コーチングの核は相手の主体性の引き出し方

森さん:
コーチング4コーチングと聞いて、セミナーを受ける前は“自分の思い通りに相手を導くスキルが学べる”ものだと考えていました。ところが、「メンバーの主体性を引き出す考え方とスキル」という、私の考えとは違った方向でスタートし、とまどいと期待の中でセミナーが進みました。主体性とは一体何か。
いままできちんと考えたことはありませんでしたが、講師の解説によるスライドを見ながら自分が属する会社組織と私個人との関係について再考する良い機会になりました。
「上司が言うからやる」ではなく、主体性を持って行動するにはどうしたらいいのか。具体的な考え方やスキルの解説の前に、まずはグループ内でそれぞれ自分のメンバーに主体性があるかどうか、そして主体性がある人と主体性のない人の違いなどについて話し合いました。
この話し合いで気がついたことは、業種は違えども、主体性があるメンバーの特徴と主体性のないメンバーの特徴はそれぞれに共通するところがあることでした。つまり、個人の価値観や考え方の問題だけでなく、何かしらの解決策があるのではないかということです。
その後、各グループの話し合いの結果について、それぞれのグループの代表から発表がありましたが、思わず頷いてしまうような意見や違った角度からの意見も あり、各々参考になりました。異業種であっても、同じようにメンバーを抱える方たちと話すことによって、自分の抱える問題を共有し、客観視できたという大 変大きな収穫を得ることができました。これは自社内の研修では決して得られない体験です。
相互啓発を促進させ、異業種交流による研修効果を高めるために体験学習型のプログラムを組んでいる公開セミナー。
セミナー内での自分自身のアウトプット、他のメンバーや講師からの新鮮なフィードバックが参加者の飛躍的な成長へとつながる。

他者との接点を通じてこそ見えてくる「新しい発見」

森さん:
主体性がなくなる原因として、評価制度への不満や仕事そのものに対してのモチベーションの減少などがあげられました。しかし、一方的に「この仕事をもっと楽しんで」と言っても、それは価値観の押し付けにしかなりません。どうすることが主体性を失わせる原因の解消につながるのか。とても難しい問題でした。
セミナーでは、映像教材を使った具体的事例を見て、気がついた点を各人が書き出し、それをグループ内で発表、比較検討、意見交換する時間が設けられました。
グループメンバー全員の意見を聞きながらグループとしてひとつの結論を出すという作業でしたので、最初の話し合いとは異なり、それぞれの感じ方や考え方のプライオリティの違いなどがはっきりと分かりました。他の参加者から率直な指摘をもらったり、講師の方から見落としている点を教えてもらった上で、再度グループで話し合ったりなど、非常に活発な議論をすることができ、質の高い有意義な時間となりました。
グループとしてひとつの結論を出したあと、他のグループのまとめとも照らし合わせながら再度全員で意見を出し合いました。ここでも新しい視点に気づかされましたし、講師からも自職場に置き換えることができるような具体的な発問がいろいろあり、そのあたりから「主体性を引き出すために何が必要なのか」という難題への答えが見えてきたように思いました。
ビジネスコーチング研修は、表面的なコミュニケーションスキルを学習する研修ではない。 相手の心の動きや考え方を理解し導くためには心理学的なバックグラウンドが不可欠である。 こうした学術的に裏打ちされたプログラムは産能マネジメントスクールが選ばれる理由のひとつでもある。

3つのスキルと実践へのロールプレイング

森さん:
具体的事例などを通して、自分が実際の職場で直面している課題とその解決への方向性が見えてきたところで、いよいよメンバーの主体性を引き出すためのコーチングスキルを学びました。「状況説明」、「発問」、「傾聴」、この3つのスキルがしっかりできているかと自身の行動を振り返ったとき、足りない部分が多々あったことに気がつき、はっとしました。
なぜ分かってくれないのか、どうしてできないのか、とメンバーに対して答えを求めることばかりで、わたし自身はメンバーの立場や気持ちをふまえた状況説明 ができていなかったんです。状況を丁寧に説明することはメンバー個人の目標設定の指標となりますし、仕事そのものの意味を納得してもらうために必要なことです。
それが十分にできていなかったために、同じ方向のベクトルを持てなかったのではないかと反省しました。仕事を割り振る際には一方的な要求や押し付けになら ないように気をつけていましたが、メンバーの考え方をもっと引き出し、自然に気づきを与えるような発問も必要であると改めて感じました。
そして、何よりも 重要だと思ったのは傾聴の姿勢です。自分の仕事に手一杯になってしまうこともあり、なかなかメンバーの気持ちや考えをきちんと聴ける状態になかったことや、聴いても否定をしてしまいがちでした。
心理学的な根拠を聞いて、耳を傾ける行為の大切さをいまさらながら痛感しました。それらを踏まえて、最後にグ ループ内で3人1組(メンバー役・コーチ役・観察者役)のロールプレイングをおこないました。現実の場面を想定したものでしたので、気持ちを込めて取り組 むことができ、かなり大きな成果をつかんだと実感しました。職場のメンバーはそれぞれの個性とスタイルを持っています。3つのスキルとロールプレイングで 確認できたことを実践に生かし、しっかりとメンバーの育成にあたりたいと思います。今回のセミナーによって、コーチングのモチベーションがかなりアップしました。

1日を振り返って(森さん)

これまで受けた研修は、長時間座学で講師の話をただただ聞いてメモを取るだけなので、参加前は正直言うと面倒だと思っていました。しかし、今回このセミナーに参加して、「きちんとプログラムされた体験学習型のセミナーはこれほど自分の力になるんだ!」と感動し、あっという間の4時間で、もっときちんと学 びたいと思いました。講師も事例や具体例を多くあげてくださって、職場にそのまま置き換えて考えることができ、いますぐ会社に戻って実践したい!と思いました(笑)
コーチングは、メンバーの主体性を引き出し、課や部、そして会社全体の経営目標を達成することにつながりますが、それと同時 に自分自身の成長につながると実感しました。一緒に参加された皆さんとも業種、職種を越えていろいろな情報交換や意見交換ができましたことも、非常にありがたかったです。

ビジネスコーチング研修

学校法人産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所 研究員
関 直治


「ビジネスコーチング」では、ある特定の仕事を「計画に沿って確実に習得させる」場面や、「習得させつつそのプロセスでメンバーに解決策を考えさせ主体性を育てる」という場面で指導を行う際のコーチングを中心に取り上げます。 メンバーの個性と能力レベルに合わせた指導・育成の方法が日常の職場で展開できるように学ぶプログラムです。その理解と定着のために昨年度から総合ロールプレイングをさらに追加して開催いたします。
この「ビジネスコーチング」という「鍵」を手にして日々の指導育成に臨むことで、メンバーの能力や可能性を最大限引き出すことができ、ご自身や職場の成長・職場目標の達成にも繋がるはずです。

自律型メンバーを育てるためのクリエイティブビジネスコーチング

学校法人産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所 研究員
佐々木 順子


やり方が決まっていない仕事、指導する場面で自分に経験がない仕事でのコーチングを行う方々が年々増えてきて、メンバーに試行錯誤させつつ考え方や手順を創造させ、自らチャレンジしていくよう指導するコーチング(CBC=クリエイティブ・ビジネスコーチング)について、もっと知りたいという声が聞かれるようになりました。
このコースでは、CBCに絞って学び、その際に求められるビジネスコーチの考え方や行動のしかたについて学びます。