【第7回】情報技術を企業活動に⽣かすための「ITガバナンス」

情報技術と企業活動

情報技術の活⽤は、企業活動にはなくてはならないものとなっています。あらゆる業態の企業が、さまざまな情報技術の恩恵にあずかりながらビジネスを遂⾏するのが当たり前という状況です。

⽇本情報システム・ユーザー協会が実施した「第20回企業IT動向調査2014」によると、程度の違いこそあれ、全ての業界で「ITなしではビジネスモデルが成り⽴たない」と考えている企業が過半数を占めています。(下記グラフで“どちらかといえば”を含む)

もはや、情報技術をいかに活⽤していくかは、ほとんどの企業において不可避の課題と⾔っても過⾔ではありません。
化学や電⼦⼯学や機械⼯学に関わる技術は特定の業界における技術経営の対象ですが、情報に関わ
る技術は、全ての業界に横断的に存在する課題領域であると表現してもよいでしょう。

IT活⽤は⼗分か

これだけ企業活動における存在感が増した情報技術ではありますが、その活⽤の実態を⾒ると、まだまだ⼗分とは⾔えないところが多々あると感じます。

筆者が指導のために訪問した企業での深刻な例として、「相当のコストをかけて導⼊した情報システムがほとんど使われない状態で放置されている」、「システムの使いにくさを我慢したまま運⽤しているので、思ったほどの投資効果を⽣んでない」、「セキュリティー上の配慮とは関係なく特定の⼈でないと操作できないシステム機能があり、極端な属⼈化が進⾏している」といった状況が⾒受けられました。

ここまで極端でないとしても、似たような状況が皆さんの職場にも存在するのではないでしょうか。
あなたの会社のIT資産は、⼗分に管理され、しかるべき投資効果を上げて、ビジネスプロセスの質の向上に寄与していると⾃信を持って⾔えますか?

必要とされる「ITガバナンス」

ITの活⽤は、経営的な視点からその導⼊や運⽤のための投資、リスク管理などに全社的課題として取り組む必要があります。 企業活動の中⼼に組み込まれた“IT”を情報システム部門任せにしてしまわず、企業の内部統制の⼀環として⾒ることが、今後ますます重要となってくるでしょう。

企業の経営全体を統治することを指して「コーポレートガバナンス」と⾔いますが、企業活動に関わるIT投資を統制するための取り組みを「ITガバナンス」と呼びます。
ITガバナンスをしっかりと⾏うことは、時代の要請と⾔えるかもしれません。

学校法⼈産業能率⼤学 総合研究所 経営管理研究所 吉澤 郁雄
※所属・肩書きは掲載当時のものです。

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