【第6回】『新商品・サービス』システム創出に向けた機能分析やTRIZの貢献

機能分析やTRIZの適⽤領域を広げてみる

⽣産領域においては多くの⽅法論や⼿法が適⽤されているが、いずれも技術システムを適⽤対象としています。
ここで取り上げる機能分析は、管理技術であるVE(価値⼯学)の主軸となる研究⽅法であり、TRIZ(発明的問題解決理論)も基本的な適⽤対象は技術システムです。

機能分析(VE)やTRIZをさらに拡⼤、普及させるためには、ビジネス、経営およびマネジメント分野の課題に対しても貢献できる⽅法論や⼿法であることを事例研究により検証していくことが求められるのではないかと思われます。

喫緊のビジネス課題は、『新商品・サービス』システムの創出にある

事業を取り巻く環境は、多くの要因が絡み合って変化し続けています。このことから、イノベーション(⾰新)という⾔葉がどの組織にも当てはまる今⽇です。
こうした状況の中で、企業にとって根幹にあるまた喫緊の課題は、『新商品・サービス』システムのコンテンツを市場のスピードに合わせて合理的に創り出すことだろうと思われます。

仮説を⽴てて事例研究をしてみる

機能分析やTRIZが『新商品・サービス』システムのコンテンツ創出に適⽤できるか仮説を⽴てて事例研究を⾏うことにします。

仮説1.⽭盾の発⾒とその解決が有効

既存の「商品・サービス」システム対して利⽤者(顧客)の抱える⽭盾(ジレンマ的要求)の解決案が「新商品・サービス」システムを創り出すコンテンツの中核的アイデアとなるのではないかという仮説を⽴てる。

仮説2.進化トレンドの適⽤が有効

【進化トレンド:TRIZの要素で多側⾯でのシステム進化を⽅向づける知識】 ニーズとシーズが適合すれば、創り出された全ての「商品・サービス」システムを市場が受け⼊れるのかといえば、それは必ずしも保証されないと考えられる。 そこで、進化トレンドの適⽤が、「新商品・サービス」システム創出の的確な⽅向づけとコンテンツ創出に有効ではないかという仮説を⽴てる。

事例研究を踏まえて『新商品・サービス』システム創出の枠組みを構築してみる

多くの「新商品・サービス」システムを市場に打ち出しても、多⼤なる資源投⼊による開発の割には市場に受け⼊れられる「商品・サービス」システムは多くないのが現状であります。

そこで、持続的な成⻑・発展を確実なものとしている事業と提供された「商品・サービス」システムを事例として、その機能や特性を経年的に解析します。
そして、⼆つの仮説に基づいた考察から、「新商品・サービス」システムを創り出せるのではないかという枠組みを構築します。

ビジネス(事業)
・ある⼀定の目的の達成のために⾏う協働活動(新版 ビジネス・経営学辞典 中央経済社)
「商品・サービス」システム
・利⽤者が必要とする機能を達成する媒体で、技術システムと⼈間活動システムとが創発する機能
や特性を有するシステム
「新商品・サービス」システム
・市場に受け⼊れられる新たな効⽤を有する「商品・サービス」システム


学校法⼈産業能率⼤学 総合研究所 経営管理研究所 吉澤 郁雄
※所属・肩書きは掲載当時のものです。

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