グローバルマネジメントのハードルは高いか低いか?

グローバルマネジメントのハードルは高いか低いか?よく聞く言葉である。
私が思うに結論から言うと、高くもあり低くもある。どっちなのだ?と思われる方もおられると思うが、ハードルが高いか低いかは、それにあたる私たち自身のハードルの高さなのだと思う。自分自身が高いと思えば高いし、低いと思えば低いのだ。

どのようにしたらハードルを下げることができるのか?
それは一歩下がって、相手をよく理解することから始めることが大切だ。彼らはなぜそう考えるのか?なぜそういう行動をとるのか?それには長い歴史や文化、 教育や習慣が根底にある。それら背景についてよく理解を深め、彼らがなぜそう考え、行動するのかを裏の裏まで考える事が大切だ。そしてようやく理解が深 まってくるとおのずと指示、指導のやり方も変わってくるはずなのだ。
私は中国でビジネスに携わってきた。彼らは出身地が違えば同じ国民とは思えないほど別人なのだが、根底にあるのは中国人だ。しかし、私は意外と彼らとうまくやっていた(と、私自身は思っている)。
私はゼロから中国ビジネスを立ち上げた経験を持っている。当然ほぼ白紙状態で来る中国人を採用し、教育してきた。しかも創業期は赤字続きであるから、ろくな給料やボーナスは払えない。本来であれば次から次に辞めていくはずなのだ。しかし、私が責任者の間は、主要メンバーはほぼ辞めなかったのだ。

創業当初は中国人とのぶつかり合いだ。私の指示について彼らも分かったとは言うが、結果なかなか理解していない。数字も上がらず、指示に対しても実行は半分にも満たない。しかもボーナスや昇給のたびに呼び出されて不満をぶちまけられる。しかし、そのたびにトコトン彼らと話し合った。現在の状況、仕事の進み具合、将来の夢、そして協調の大切さ。彼らは日本人ではなかなか理解しがたい考え方を持っているのは、皆さんも想像に難しくないだろう。しかし、それには長い歴史の中で心の奥にまで刻まれた背景があるのだ。それらを理解したうえで話し合えば、理解は深まり信頼関係も醸成出来るのだ。
最後には、彼らは『給料だけを考えたらさっさと転職している。しかし、ここには共に成長する楽しさがある』と言ってくれた。その後も給料やボーナス時には呼び出されることもあるが、その時は不満から相談に変わっていた。家のこと、家族のこと、将来のことについて相談に来るのだ。そうなると、信頼関係も出来上がり、仕事の指示もスムーズになり、結果も徐々に上がってくるのだ。

グローバルマネジメントで大切なことは、まずは、相手はまともに話しても理解しあえないと認識する事。その上で相手のことをよく理解し、なぜそう考え、行動するのかをよく考える事。そして、それらを踏まえてできるだけ多くの話す機会を設ける事。そうすることによって、本当に理解し合える関係が構築できると私は思っている。皆さんはいかがだろうか?

プロフィール

廣井 正義(ヒロイ マサヨシ) 学校法人産業能率大学 総合研究所 兼任講師

【学歴/職務経歴】
1982年3月 大阪産業大学 経営学部 経営学科 卒業
1982年4月 井村屋製菓株式会社(現井村屋株式会社)入社
 ・営業、海外(台湾)マーティング、海外子会社経営、新規事業開発等の職種で活躍
 ・営業、新規事業開発部門において組織マネジメントを経験、中国現地法人の経営を経験
2012年1月 廣井ビジネスコンサルティング株式会社設立 現在に至る

【研修活動領域】
・KAIZEN研修(食品製造業・中堅社員対象)
・損益分岐点研修(食品製造業・管理職対象)
・中国におけるビジネス展開のポイント研修(IT系コンサルタント業・企業担当者対象)
・海外での営業・マーティングの基本研修(公的機関・企業担当者対象)

【資格】
・中小企業診断士
・一級販売士