【第3回】"本質"を⾒抜けていますか? 〜状況観察学のススメ〜
場当たり的な問題解決になっていませんか?
問題解決をするために、闇雲に解決策を検討してしまいがちですが、それではなかなか成果が出ません。
問題を解決に導くには、目の前の表⾯的な事柄に振り回されるのではなく、“状況をどのように捉えるか”、そしてその上で“どこに⼿を打つのか”を決めることが、非常に重要になってきます。それらができなければ、解決に辿り着かなかったり、場当たり的な問題解決になったりしてしまいます。
こんなとき、どうする?
⾼層ホテルに、2台のエレベータがある。
そのホテルは開業当初、宿泊客から“エレベータが遅い”というクレームが相次いだ。どのようにして解決すればよいだろうか。
そのホテルは開業当初、宿泊客から“エレベータが遅い”というクレームが相次いだ。どのようにして解決すればよいだろうか。
上記について皆さんは、どのような解決策を思いつくでしょうか。このケースの状況を聞いた技術者の⽅々は、「⾼層階⽤と低層階⽤にする」「いいモーターに変えてスピードを上げる」「エレベータの台数を増やす」などの回答をしてくださいます。
確かにこれらは、アイデアとして出していただいてよいものばかりです。ただしこれらは全て、「“遅い”と⾔われているので、待ち時間を短くしよう」という対策案です。
よく考えると・・・
「クレームを減らすためには、お客様に不満を感じさせないことが必要である」と捉えたらどうでしょうか。
待ち時間は短くならなくても、クレームを減らす他の⽅法を考えることができるのではないでしょうか。特に技術者の⽅々は、エレベータそのものに関する、目に付きやすい表⾯的な事象にとらわれてしまいがちなのです。
どこに⼿を打つか
同じ1分間の待ち時間でも、⼿持ち無沙汰で待つ1分間と、鏡を目の前にして⾝だしなみを整えながら待つ1分間では感じ⽅が違います。
「遅いと⾔われるので待ち時間を短くしなければ」と短絡的に考えてしまうと、取り得る⼿段が限られてしまいます。 状況をきちんと捉えた上で、⼿の打ち所を設定しなければ問題解決が難しくなってしまうのです。
学校法⼈産業能率⼤学 総合研究所 経営管理研究所 研究員 福岡 宣⾏
※所属・肩書きは掲載当時のものです。
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状況の捉え⽅が偏ってしまうと、問題を解決に導くことは困難です。
技術者にとっての観察の必要性と、うまく状況を観察できない要因、そして観察を適切に⾏うための⽅法について、レポートにまとめました。