【第1回】今ふたたびIE 〜⾒える化・可視化の⼿法〜

IEとは?

IE(インダストリアル・エンジニアリング)は、仕事を上⼿に進める管理技術の⼀つで、⼀⾔で⾔うと「経営資源の有効活⽤のための考え⽅」です。
発祥は1911年のテイラーによる『科学的管理法』で、もともとは製造現場の作業効率化に活⽤されていました。

IEには製品⼯程分析や作業分析などさまざまな分析⼿法があります。製造現場を対象にした場合には、原材料から完成品に⾄るまでの物の動きや、作業者や機械の動きをチャートに表現することができます。
近年、ビジネス環境においては“⾒える化”が⼤きなテーマとなっていますが、実はIEの分析⼿法は技術者にとって、⾒える化・可視化に⼤きく貢献できる⼿法なのです。

研究開発とIE

「製造現場のIEが研究開発に︖」と疑問を持たれる⽅もいるでしょう。
研究開発者にとって⾒える化・可視化する対象は、⼯場の作業者ではなく製品を使うユーザーです。

例えば、お客様が駅の券売機でICカードをチャージするときに、どのよう
な動きをしているでしょうか?
下図にその分析例を⽰しています。お客様の動き(左)と券売機の処理(右)を並列に書くことによって、どの作業に時間がかかっているのか、どのタイミングに待ち時間ができるのかを表すことができます。
さらに、「⼿を伸ばす」といった動作レベルで作業を⾒てみると、カードや紙幣の挿⼊⼝が券売機の左側にあるため、お客様の右⼿がクロスして、やりにくそうな動きになります。

このように、研究開発においてヒューマン・マシン・インターフェースを検討する際に、IEの分析⼿法は⼤きな効果を発揮します。技術者の観察する⼒を向上させるために、IEはふたたび注目されています。

製造現場の技術開発とIE

製造現場においては、労務費(⼈件費)の低減にとどまらず、材料費の低減も⼤きな課題となっています。
ある⾷品メーカーでは、原料⾁の解凍処理⼯程において、原材料のロス削減の取り組みを⾏っています。それをプロブレム・フォーミュレーション(PF)という⼿法で表すと下図のように、問題状況を⾒える化・可視化できます。

学校法⼈産業能率⼤学 総合研究所 経営管理研究所 研究員 齋藤 義雄
※所属・肩書きは掲載当時のものです。


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