【SANNOエグゼクティブマガジン】財務に強い次世代リーダー育成を~社会動向から世の中を見る

経営数字を起点としたマネジメント

本学で開発したチーム対戦型ビジネスシミュレーション「新・戦略経営」を活用し、長年企業研修をお手伝いした経験から、管理職を中心に財務・計数のスキルが十分習得されていない現状を目にしてきました。

損益計算書は何となく感覚的にわかるが、貸借対照表やキャッシュフローについては、ほとんど理解していないという声をよく聞きます。

そこで次世代を担うリーダー層には、ぜひ経営者と同じ目線で財務諸表が読める能力を身につけて欲しいと考えています。

財務諸表を読むには「ツボ」があります。
企業活動の、(1)利益を得る(パフォーマンス)、(2)資金を調達する、(3)資金を使う、(4)現金収支をプラスにする、を数字で表したのが財務諸表で、まず各表の特徴と意味する内容・構造を理解します。

次に各表の数字の繰越しや留保、差額の調整等、つながりを順に追いながら最後に経営者目線で一体理解します。さらに財務諸表の数字を図解し、ビジュアルな同縮尺の図にすると、かなりのレベルで読むことが可能になります。

財務諸表が読めるようになったら、今度はマネジメントに活用します。

Plan→Do→Seeは有名なマネジメントサイクルですが、現代は先が読めずにPlanを作るのが非常に難しく、結局「昨対・前年比」の形になってしまいます。

そこで財務諸表を一体理解して、そこから得た課題を認識したことをSeeのステップとし出発します。

この課題は「フォーカス指標」と呼び、全社員が目標としてベクトルを合わせる指標に設定します。(例︓売上高営業利益率5%、営業キャッシュフロー100億円など)
Doは目標指標に対して、各部門でできる行動計画を立案し実施します。

最後は、やりっぱなしに終わらぬよう、Doの結果をアップデートした財務諸表をSee(一体理解)することにより、マネジメントサイクルが毎年機能する状態を継続できるようになります。