【SANNOエグゼクティブマガジン】未来を描きにくい時代だからこそ~社会動向から世の中を見る

組織を変えていくための鍵・人

組織員一人ひとりが将来ビジョンを描きづらい時代になってきました。
社会が低成長の時代になり、組織が社員にキャリアを保証できなくなったわけです。

本来、ビジョンを描く力は、組織、個人にとって、時代や状況に関わらず必要なものです。ただ、これまでは自分で描かなくてもよかったのです。

明るい将来ビジョンが、人生へのエネルギーを創り出します。それが、仕事へのエネルギーを高め、結果的に組織全体のエネルギーを高めるのです。人生の何かの分野(仕事、人間関係、趣味等)でエネルギーを高めることで、他の分野にもよいエネルギーを生み出します。

ビジョンを描くためには、次のような観点が必要です。

まず一つ目は、“肯定的なビジョンを設定すること”です。人は行動する際に、楽しいから行う行動(達成型などと呼ばれます)と、苦痛を避けるための行動(回避型と呼ばれます)があります。楽しいから行う行動には持続性があります。

しかし、実際には、回避型になっている人が多いのです。怒られたくないから(やむなく)仕事する、悪い評価をもらいたくないから(やむなく)仕事する、といった具合です。
正しいビジョンとは、苦痛を避けるためのものではなく、わくわくするものでなければなりません。

二つ目は、“長期的視点”です。人は短期的な結果を求め、達成しやすい目標を立てたがります。1か月や3か月で達成できるような目標です。しかしビジョンとは、10年後に自分はどうなっていたいか、という長期的なものです。短期間で実現できるようなものでは、ハートのスイッチは入らないのです。

もうひとつは、“十分な理由”があることです。ビジョンを実現したい理由は何でしょうか。ビジョンの実現に向けてのエネルギーを創り出すためには、それを実現するための十分な理由が不可欠なのです。

組織は、正しいビジョンの設定方法を、組織員一人ひとりにトレーニングすべきなのです。