【SANNOエグゼクティブマガジン】未来型ビジネスイノベーション~社会動向から世の中を見る

プラスαが鍵となる

明治維新のころ、日本の人口は3,000万人、アメリカは3,200万人でした。
太平洋を挟んで隣国のアメリカは、天然資源が何もない小さな島に、読み書き算盤のできる勤勉な人々がたくさん住んでいることに驚き、脅威を感じました。そして日本人は、先進国のプロダクトを模倣して、改善することにきわめて優れていました。すなわち、プロセスイノベーションに長けていたわけです。今も昔も日本の最大の資源は、きわめて勤勉で真面目な人々が沢山いるということだけです。

それから百年経った今も、日本企業のイノベーションのレベルは、第2世代(プロセスイノベーション)にとどまっており、次世代のイノベーションには乗り遅れているように思われます。

歴史的に、イノベーションには、5つのレベルがあります。

 第1世代 “商品”のイノベーション
 第2世代 “プロセス”のイノベーション (日本人の気質に合った、模倣と改善)  
 第3世代 “ビジネスモデル”のイノベーション
 第4世代 “ビジネスモデル+商品”のイノベーション
 第5世代 “ビジネスモデル+商品+α”のイノベーション(未来型)

昨今話題のiPhoneやiPadなどは、第4世代の“ビジネスモデル+商品”のイノベーションと言えます。 しかし、これを模倣しても日本は周回遅れです。日本は第3世代、第4世代のイノベーションで勝負するのではなく、民・官をあげて、第5世代のイノベーションに取り組む必要があると思います。

すなわち、日本は第2世代のイノベーションから、「ビジネスモデル+商品+α」の第5世代のイノベーションに一気に飛躍し、市場を創造し、競争優位を実現するのです。
それでは、その担い手は誰でしょうか。日本企業の担い手はミドル層ですが、イノベーションの場合、ミドル層で考えるよりも、執行役員が考え、社長が果敢に意思決定することが必要だと考えています。イノベーションのスピードを上げなくてはなりません。
ちなみに、“プラスα”は、“プラスZ”と表現してもよいかもしれません。日本海海戦のZ旗ではありませんが、「後がない」という強い意志をもって取り組みたいものです。今こそ、歴史から想像し、創造することが大切だと思っています。