【SANNOエグゼクティブマガジン】日本語が通じない・・・~最近の傾向・ご支援から見えること

浸透しているのに、浸透していないという実感

「日本語ではグローバル市場では戦うことはできない」……そんなお話をしたいわけではありません。国内の会社や職場で「通じていない日本語」、ありませんか?はじめに結論めいたことを書いてしまえば、「日本語が通じていなければ組織は動かない」。いかがでしょう?みなさん、そう思われませんか?

もう10年以上ということになってしまいますが、21世紀を迎えるにあたって、新たにビジョンを設定したり、経営理念を「●●Way」として刷新したりした企業は、組織の大小を問わず、少なくないように思います。それをきっかけに、始業時に唱和するようになった企業も多くお見かけします。

ある程度の時間をかけてきたにもかかわらず、経営層の方々から「浸透していない」というお悩みを聞くことがよくあります。そうした企業で共通しているのは、理念やビジョンという、ある意味“高いレベル”の問題以前のこと。日々の現場レベルにおいて、「日本語が通じていない」「日本語が分かっていない」ケースが散見されるということです。

「日本語が分かっていない」と言ったときに、私が思うのが、「戦略」「マーケティング」「顧客満足」など。多くの企業、またマスコミなどでも日常的に使われている言葉ですね。では、「戦略とは?」「マーケティングとは?」と尋ねられて、即座に回答できるかたはどれぐらいいらっしゃるでしょうか?

そうした質問をすると、「ウチの会社の戦略は…」とお答えいただく場合がありますが、訊いたのは「戦略とは」、いわば言葉の定義です。コンサルタントという仕事をしていると、お客様である企業の中期経営計画書や“戦略”と名のついた資料類を拝見する機会が多くあります。そうした資料を読んでいる最中に、戦略の他、戦略課題・戦略目標(確かに「目標値」ではなかったりする)、方針や方向性、指針など、どれがどう違うのか、本文を読んでもよくわからないものがたくさんでてきます。「これは戦術だろうな…」と思える本文に、戦略というタイトルがついていることも。
こうした企業内でもし、「戦略を考えろ」といわれたら、「みなさん、どう対応しているのかな…」と思ってしまうのです。

「ウチの会議では質問が少ないんだよね…」。あるいは「議論がなかなかかみ合わない」。これらは当たり前なのかもしれません。「日本語が通じていない」のですから。