『グローバル人材』の要件とは【前編】

『グローバル人材』の要件とは【前編】

昨今、企業の教育現場でよく耳にする言葉に『グローバル人材』がある。

聞けば「我が社もグローバルに通用する人材を育成しなければならない」であるとか、「グローバル人材を育てるプログラムを導入しなければならない」といった内容である。
そこで「今まではグローバルに通用しない人材を育てていた訳ですね?では、どのような点がグローバル人材になるために不足していたのでしょうか?」と尋ねてみると、「まぁ、いろいろあると思うんですよ。う~ん、たとえば語学力とか…」といった具合で、実に歯切れが悪い。

確かに英語や中国語などの語学力は必要だと思うが、それだけなのか。どうも『グローバル人材』という言葉そのものに酔っているような気がしてならない。

    榊原 康成(サカキバラ ヤスナリ) 学校法人産業能率大学 総合研究所 主幹研究員

    先日、外資系の自動車部品メーカーで管理職研修を実施した際、休憩時間に受講者から「最近、インド人や中国人の現地社員と技術移転に関する打合せをよくするのですが、彼らは自分たちの意見をガンガン言ってきて、こちらの話をなかなか理解してくれなくて大変なんですよ」という話を聞いた。
    どういうことなのか事情を改めてよく聞いてみると、相手がガンガン主張してくるのが問題なのではなく、実は自分たちの考えを相手にわかりやすく伝えて説得するスキルが不足していることが問題だとわかった。

    世界には人種や母国語が違っても通用する共通言語がいくつかあり、その中の1つが『論理』(ロジック)であるといわれる。つまり、言語が違っても自分の考えを『論理的に説明する』ことはグローバルに通用するのである。
    テレビでアメリカ人の子供がインタビューに答える場面を見ても、「I think __,because __.」というように結論と根拠を紐付けて論理的に意見を述べている。

    これに対して日本の子供は、「僕は○○がいい」と言うだけでその主張を支える根拠や理由を説明することはほとんどない。一般的な日本人同士の会話においても、相手が「私は○○するべきだと思う」と言うと、「なるほど、そうですね」などと相槌を打って肯定し、その理由を質すことはあまりない。これが摩擦や対立を生まない日本的な対人術なのだと思うが、この論理性のないコミュニケーションがグローバルなビジネス場面では全く通用しない。

    外国人は「なぜなのか?」と理由を必ず聞き、その理由に納得できないと自分の主張を論理的に繰り返す。こうしたコミュニケーションにおける文化の違いが、先に述べた外資系メーカーの管理職の苦悩であり、日本の企業がグローバル人材を育成するために真っ先に克服しなければならない課題なのではないかと思う。

    プロフィール

    榊原 康成(サカキバラ ヤスナリ) 学校法人産業能率大学 総合研究所 主幹研究員

    【学歴/職務経歴】

    1986年~日本アイ・ビー・エム(株)勤務を経て、組織・人事系コンサルティング・ファームにて大手企業から中堅企業までを対象にコンサルティング活動に従事
    2003年学校法人産業能率大学入職 現在に至る

    【研修活動領域】

    ◆ビジネス研修領域
    1.各種階層別研修(部長/次長/課長/係長/主任など)研修の実施
    2.各種職場マネジメント研修(Driving Force / OJD活性度診断)の実施
    3.人事制度の各種運用支援研修(目標管理/人事考課/キャリア開発)の実施
    4.営業職の体系的なスキル・アップ研修