マレーシアで感じた東南アジアの特徴と気質

私の前職の会社は、海外に13カ国21拠点に生産拠点を持っており、業務上、私も様々な海外拠点に出向き、現地でのシステム構築やスタッフとの打合せ、研修などを行ってきました。そういった体験の中から、幾つかお話をしたいと思います。

私自身も30半ばの頃、マレーシアに開発センター設立時の赴任要員としてピックアップされたことがあり(結局、組織変更のため赴任はお預けとなりましたが)、東南アジアとの縁は深いものがあります。

その時、赴任メンバーとして私のチームに入ってきた1人のマレーシア人がおりましたが、彼が日本に来て1番苦労したのは、言葉の問題だったそうです。日本に来てから2年間日本語学校に通った後、日本の大学に入学したのですが、なかなか日本語がうまくならない。しかし、彼女ができたら、スムースに話せるようになったというのだから現金なものです。
ちなみにマレーシアでは、 多くの民族が混沌となって暮らしているので、数カ国語をしゃべる人も結構多い。だから工場の休憩室での彼らを見ると、英語やマレー語、場合によっては中国語が飛び交いそれぞれで何となく会話ができている不思議な光景に出会います。(中国系のメンバーは比較的集まっていることが多いですが…)

また、東南アジアでは宗教の影響が大きいのも特徴ですね。私のチームにいたマレーシア人の彼も、仏教徒だったので、牛肉は食べないなど、かなり徹底していました。
食べ物も、イスラム教は豚がダメなので、折衷案として鶏が出る場合も多かった。
マレーシアに行くと、早朝(日の出直前)からモスク(イスラム教の礼拝堂)で「コーラン」が鳴り響き、多くの人がお祈りを捧げます。ホテルに宿泊していると、朝方にたいていこの音で目が覚めます。工場内には礼拝場所もありますし。
お祈りの時間は1日5回ありますが、まとめて行うことも可能らしい。いずれにしてもこういったことも考えながら就業管理を行っていかねばなりませんし、宗教が生活に占める大きさにも理解を示さなければなりません。

東南アジア全般に言えることかもしれませんが、彼らはいたって真面目です。ただ、先を読んで何か行動するということには慣れていないので、業務フローをしっかり作り、異常が発生した時に歯止めがかかるしくみを考えておく必要があります。
それと、多くの人はのんびりしていて、日本人とは根本的にペースが合わないので、計画策定時にもその部分は考慮する必要があります。
彼らは「日本人はいつも『早く!』としか言わない」とよく言います。そんなに急いでどこに行くのだろう?というのが、彼らから見た日本人の行動のようですね。

プロフィール

顯谷敏也(アラヤ トシヤ) 学校法人産業能率大学 総合研究所 兼任講師

【学歴/職務経歴】
1986年3月 関西大学大学院 工学研究科 修了
1986年4月 シャープ株式会社 入社
・情報システム部門、生産技術部門、工場革新プロジェクト、全社緊急プロジェクト、生産技術開発部門、海外生産企画部門にて活躍
・全社緊急プロジェクトのマネジャーとして、物流設計、生産性改善、業務プロセス設計、協力会社改善指導に携わり、新工場建設に貢献
・工場、システム開発、システム企画部門において、組織マネジメントを経験
・海外の生産拠点の人材育成においても活躍
2012年4月 中小企業診断士として独立 現在に至る

【研修活動領域】
・仕掛品・過剰在庫徹底削減研修(公開型・工場長・製造部門マネジャー班長対象) ・工場レイアウト徹底改善研修(公開型・工場長・製造部門マネジャー対象) ・生産管理のカンドコロ研修(公開型・経営者層対象) ・コミュニケーションスキルアップ研修(NPO法人・リーダークラス対象) ・FaceBookでつくる自分色ブランド研修(イベント企画会社・経営者層対象)

【資格】
・中小企業診断士
・ファイナンシャルプランナー2級技能士
・販売士2級
・システムアドミニストレーター