日本のグローバル化を考える(1) ~グローバル化を促進する政策とは~

グローバル化を促進する政策とは

これから4回に渡り、日本のグローバル化についてお話しさせていただきます。初回はごく個人的な「グローバル化」の話題から、始めたいと思います。
私の父(故人)は1922年生まれで、日露戦争時の日本海海戦の英雄「東郷平八郎」にちなんで、極めて日本的な名前である「平八」と名付けられました。海軍二等兵として太平洋戦争を終えた父は、その後、外国航路の船員として世界の海に出掛けることになります。1952年に私が誕生しますが、「これからの日本人は、外国人と対等に付き合っていかなければならない」との考えから、私にGeorge(ジョージ:譲二)という名を付けたそうです。

幼い頃は、航海から帰った父から海外のさまざまな国の様子を聞かされました。また、父が航海に出て家にいないときには、父がアメリカから持ち帰った地理雑誌『National Geographic』 のカラー写真をよく眺めていました(もちろん 当時の私には英語の記事は読めません)。こうした子供時代を過ごして、将来は海外に行けるような仕事がしたい、と自然に考えるようになります。大学4年の夏に日産自動車に就職が内定してからは、人事部の担当者に海外事業部門に配属してくれるように、強く希望を出していたことを覚えています。

    入社後は運良く海外事業部門へ配属され、主に欧州関係の仕事に従事しました。英語の習得では苦労したものの、会議で欧州人の話す英語を聴き、そして自ら話し、英文の議事録をつくることができるようになりました。さらに、現地に出張しては新車展開の際の価格交渉を行い、また新車お披露目のマーケティング会議を主催するなど、さまざまな仕事の機会を利用して自身の英語力を高めることができました。

    1999年に退社し、47歳にして大学院の入試を受験した際にも、実務で培った英語力が役に立ちました。英語論文の一節が問題文として出されていましたが、もちろん経営学の専門用語の正確な意味は分かりません。しかし、単語の構造と前後の文脈からなんとなく意味がとれて、的外れではない解答を書くことができました。大学院に入学してからも大量の英語文献を読みこなしましたが、こうした一連の経験が、当大学でのグローバルマネジメント研究所での仕事に繋がっているのだと思います。

      さてそろそろ、今回の本題に入りましょう。
      私にとってサラリーマン時代に縁の深かった欧州に目を向けてみましょう。EUにはドイツのように健全な国家財政を維持している国があります。日本でバブル経済の崩壊が始まったのは1990年ですが、同じ年に当時の西ドイツは社会主義経済の国であった東ドイツを統一したことで、統一ドイツとしての国家経済は最悪の状態を迎えました。ただし、東欧圏が社会主義経済から資本主義経済に転換する過程で、この地域に潜在力のある未開の市場を発見することになりました。この市場はまだまだ小さかったために、旧西ドイツの大企業よりも中堅・中小企業が先行して進出しました。東西ドイツの統一から27年を経た現在、日本や他の国の企業と比較しても、ドイツ企業が国外へ多く進出していることが分かります(表は、2014年データ)。

      1990年当時から現在に至るまで、ドイツの首相は、コール、シュレーダー、メルケルと3人しかおらず、長期的で継続的な政策が維持されたことが想像できます。一方の日本では、海部、宮澤、細川、羽田・・(その他)・・鳩山、菅、野田、安倍と16人の首相がこの27年間に登場しています。バブル経済の崩壊から続く「失われた20年」が生まれた要因は、一貫した経済政策の欠如だと言っても過言ではないでしょう。

        では、仮にドイツの経済政策を参考にしてみた場合、日本の今後のグローバル政策はどうあるべきなのでしょうか?
        戦後の日本は多くの技術を米国から学びましたが、これを1992年以降の中国社会主義市場経済の歴史と重ね合わせてみましょう。改革開放以降発展してきた中国は、2001年にWTOに加盟し一気に経済発展を加速しました。ただし、戦後の日本の地道な技術導入とは違って、世界最先端の技術をさまざまな税制の優遇措置などによって強引に獲得しているように見えます。それ故に、個別技術の間にひずみが存在することも事実です。つまり、最先端の技術を持ちながら、実はその先端技術を下支えする中間技術や基礎技術の裾野が狭い、という問題です。
        日本は、1970年代の二度のオイルショック、1990年からのバブル経済の崩壊、2008年のリーマンショック、そして2011年の東日本大震災などを経験して、省エネ、環境技術、省電力技術などが世界でも飛び抜けて進んでいます。こうした技術は、大企業のみならず中堅・中小企業の中に分散して存在するのです。しかも、これらの技術は先進諸国でも必要とされるでしょうし、さらにはこれから発展していく国々でも当然必要とされるものです。
        日本の経済政策がこうした技術の海外への移転に重点を置くならば、大企業のみならず中堅・中小企業にも海外進出の機会が大幅に増えることでしょう。
        次回は、日本企業のグローバル化についてお話しします。


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        各回 公開日
        平田 譲二 プロフィール
        日本のグローバル化を考える(1)~グローバル化を促進する政策とは~ 2018年1月17日(水)
        日本のグローバル化を考える(2)~企業のグローバル化とは~ 2018年1月31日(水)
        日本のグローバル化を考える(3)~個人のグローバル化とは~ 2018年2月14日(水)
        日本のグローバル化を考える(4)~教育のグローバル化へ~ 2018年3月1日(木)

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