産業能率大学の海外研修プログラムとグローバル教育(1)~「異文化体験研修」~

現在日本は、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、インバウンド需要を見込んでの各企業のマーケティング戦略、外国の方への日本流ホスピタリテイーの提供方法など、外国人・海外への視点が欠かせない時代を迎えています。本学でも、年々学生たちの国際社会や異文化に対する関心が増し、そのニーズに応えるよう、2017年度、経営学部にグローバル・コミュニケーションコースが開講しました。
このコース以外にも、さまざまな英語強化プログラムや海外研修プログラムを用意しています。このコラムでは、筆者が担当している「異文化体験研修」を中心として、本学学生のグローバル教育に関してご紹介します。
「異文化体験研修」の概要は以下の通りです。
2015年度開講、2017年度で3回目を迎えます。情報マネジメント学部及び経営学部合同で後期に開講され、1年次から4年次まで履修可能となっています。ベトナム国家大学ホーチミン市人文社会科学大学との提携のもとに研修プログラムが組まれており、本学教員が2名同行するため、海外渡航が初めての学生でも安心して参加できる、初級者向け海外研修となっています。筆者は2016年度から担当教員となり、2017年2月12日~2月27日の16日間、学生21名、教員2名、総勢23名での研修となりました。

2016年12月3日、自由が丘キャンパスで開催された1回目の事前授業において、初めて履修学生が全員顔を合わせることになりました。21名の学生の中には、海外渡航が初めてで、パスポートの申請方法を教えなくてはならない学生もいます。英語が得意ではないため現地でのコミュニケーションに不安を感じている学生、食生活や暑さに順応できるかどうか心配している学生など、ほとんどの学生が何かしらの心配の種を抱えていました。まずはあらゆる不安を取り除き、海外での生活と異文化研修を楽しみにできる環境づくりが必須であると感じました。異なるキャンパスで学生生活を送る2学部の学生たちがお互いを知るためのアイスブレーク後、各自のベトナム関心内容に沿ってグループ分けを行いました。グループディスカッションで研修テーマを決定してもらい、2回目の事前授業で発表できるよう、各々が調べ、学習をし、グループごとに情報共有をし、プレゼンテーションの準備をするよう指示し、1回目の事前授業を終えました。
1回目と2回目の事前授業の間、本学留学アドバイザーを務めてくださっているIEEF堀江学氏から、ベトナムの文化や生活、ベトナム人の価値観、ホーチミンの特徴などさまざまな情報がFace bookを通して提供されていました。ところが、本学学生のFace book利用率は低く、積極的な反応が非常に少なかったのです。「果たして今年度履修の学生たちは異文化に対する関心が本当にあるのか?」「実際にホーチミンに行った際に、異文化で生活し、ベトナムの人々と交流をすることができるのか?」不安要素が満載でした。
2回目の事前授業は渡航の1週間前、2017年2月4日に実施しました。この頃には事務的な手続きも全員ほぼ終えていたので、教員は渡航に向けて皆の気持ちを上げていく雰囲気づくりを心がけました。各グループの設定テーマ視点が面白く、学生たちも渡航後のフィールドワークや調査を楽しみにしている様子が伝わってきて安心しました。12日の出発に向けて体調管理を万全にし、「とにかくパスポートを忘れずに!」を合言葉に、事前授業を終えました。

次回は、いよいよホーチミンに旅立った21名の学生の、異文化体験の詳細をお伝えしていく予定です。