発展するベトナムから学ぶ(1)
発展するベトナムから学ぶ
身近なベトナム人
高い学習意欲
2007年、私は初めてベトナムを訪れました。日系企業のハノイ拠点に勤めている、ベトナム人マネジャーの研修のためでした。当時のベトナムは、まだ車が珍しい時代です。交通手段はバイクです。日本の原付を少し大きくしたバイクに家族4人で乗ることも珍しくありません。そのような時代にあって一つ驚いたことがありました。それは、受講者の1人が、インターネットで米国のオンラインMBAを受講していたことです。ネット学習とは言え、彼には相当な費用負担だったに違いありません。高い英語力も求められます。また、研修に参加している他のベトナム人マネジャーに目を向けたところ、やはり彼に負けないくらいの学習意欲、熱心さが伝わってきました。現在もそうですが、ベトナムは社会主義国家です。国の統制が強い中にあって、このような個人の学習姿勢に少し違和感を抱いたものです。
今から考えると、国の体制にとらわれない国民の学習意欲の高さこそが、その後のベトナムの急速な発展に寄与した大きな要因であると理解できます。
日本で学ぶ経営幹部
その後、私自身、ベトナムがより身近になったのは、2013年のことです。この頃から円安基調になり、日本を訪れる外国人が増えます。多くの企業や公的組織のベトナム人経営幹部が日本に訪れるようになりました。以来、私はベトナム国家銀行、ベトナム商工会議所、地方自治体などの研修やコンサルティングに携わるようになりました。
今でも、10年前に私が抱いた「学習意欲の高いベトナム人」の印象は全く変わりません。学習意欲こそが、その国の成長バロメーターであるならば、ベトナムはまだまだ発展の余地がありそうです。
今でも、10年前に私が抱いた「学習意欲の高いベトナム人」の印象は全く変わりません。学習意欲こそが、その国の成長バロメーターであるならば、ベトナムはまだまだ発展の余地がありそうです。
現場視察で得た知見や学びを自国に持ち帰り、自組織の発展に応用するのは、訪日研修における学習の基本です。しかし、ベトナムは、共産党一党独裁の国です。全て中央の方針を踏まえて物事が決まります。そのため、どれほど日本のやり方が素晴らしくても、それをそのまま持ち帰ることは難しいのです。
そこで、現場視察の後は、チェンジマネジメント、リーダーシップの学習プログラムを組み入れ、日本の知見の生かし方をいつも討議しています。このような議論は、受講者にとっても講師にとっても、とても緊張感があります。なぜなら、学びの現場(日本)と実践の現場(ベトナム)に大きなギャップがあるからです。研修を行うたびに感じることは、そのギャップを埋めたいというベトナム人の強い意志です。このような場では、講師側である日本人も創造性が試されます。
そこで、現場視察の後は、チェンジマネジメント、リーダーシップの学習プログラムを組み入れ、日本の知見の生かし方をいつも討議しています。このような議論は、受講者にとっても講師にとっても、とても緊張感があります。なぜなら、学びの現場(日本)と実践の現場(ベトナム)に大きなギャップがあるからです。研修を行うたびに感じることは、そのギャップを埋めたいというベトナム人の強い意志です。このような場では、講師側である日本人も創造性が試されます。
ベトナム人から学ぶ
ベトナムでは今、日本食ブームが起きており、ベトナムにおいても刺身はとても身近な料理です。ユニークなのは、それをベトナム春巻きのように食べることです。つまり、海苔の上に刺身や野菜をのせ、ロール状にします。
これは、経営戦略のイノベーション発想です。枠からはみ出た異なるアイデアの結合です。論理ではなく感情、あるいは当事者の意志が求められます。
私にとってベトナム人との出会いは、まさに、普段日本企業で見過ごされている、右脳が徹底的に鍛えられる学びの場と言えます。
これは、経営戦略のイノベーション発想です。枠からはみ出た異なるアイデアの結合です。論理ではなく感情、あるいは当事者の意志が求められます。
私にとってベトナム人との出会いは、まさに、普段日本企業で見過ごされている、右脳が徹底的に鍛えられる学びの場と言えます。