日本の外資系企業も十社十色③ ~“やる・やらない”のメリハリは大切!~

日本の外資系企業も十社十色③ ~“やる・やらない”のメリハリは大切!~

前回前々回のコラムでは、外資系企業のお国柄による“色の違い”や“その色が事情によって変わる”ことをとりあげました。
コラムの最終回は、“一見色は違っても共通すること”についてお伝えしたいと思います。

ヨーロッパ系メーカーのコンサルティングに関わる中で感じていることは、いずれの企業も戦略を明確に定め、利益の追求を最優先に考えている点です。具体的な3つの例を紹介します。

その1:製品ラインアップの重点化

ある産業機械の分野では機械の大きさに応じておおよそ6段階の分類があり、この分類は世界共通で用いられています。この分野で世界シェアトップの地位にあるヨーロッパのメーカーでは、全段階の内、真ん中の中型機械を重点に製品ラインアップを構成しています。その理由は、グローバルで見たときに最も需要の多いセグメントであることがあげられます。また重点化する領域を明確にすることで、自社の認知度・ブランド力を高める効果をねらっていました。
つまり世界中で事業を展開する上で、自社の存在を効果的に顧客に知ってもらい、その国で一定の導入実績を早期につくることでビジネスの基盤を確立するという意図が明確になっていました。
それに対して同業の日本メーカーは、総じて小型から大型までフルラインアップしている傾向があります。そのため量産効果が出にくく、コストダウンに限界が生じやすい構造となっています。この背景には、顧客からのさまざまな要望に応えるために”一通りの製品を揃えておくべき”という考え方が根底にあります。

あるヨーロッパ系の自動車関連メーカーでは、ブランドフィロソフィーを明確に設定し、それをよりどころにして製品のラインアップを徐々に広げています。それゆえ各製品に共通していることは、ブランドフィロソフィーに合致した付加価値を有しているという点です。
つまり必要に応じて製品のラインアップは広げるものの、その際に明確な条件や基準を設けることにより、高付加価値で利益率を期待できるところを選定しています。

    しかしながら社内からは“さまざまなニーズに対応しないとチャンスを逃すことにならないか?”という声も少なからずあがっています。それでもブランドフィロソフィーが合致する市場に製品のラインアップを広げるというスタンスを変えることはありません。

    その3:標準品かカスタマイズ対応か

    BtoB系の電機メーカーでは、対象顧客を客先設備用途(エンドユーザー向け)と客先機器に組み込まれる用途(セットメーカー向け)を2本柱として製品(システム・サービスを含む)を提供していることが多くあります。このようなビジネスでは、いずれの場合も顧客ニーズに応じてカスタマイズ対応をしています。
    この点に関して、日本のメーカーでは、総じてカスタマイズ対応のウエートが高めであると感じています。この背景には、“さまざまな顧客の要望には応えるべきという顧客第一主義”という考えが感じられます。
    一方ヨーロッパ系のメーカーでは、ゼロからのカスタマイズ対応ではなく標準品もしくは標準品をベースにカスタマイズを加えて対応することが基本です。
    これらの背景には、品質・信頼性の面、コスト面、納期対応面など“QCD(※)のトータルバランス”を重視するべきとの考えが色濃くあります。そして、QCDの向上により顧客にメリットを提供し、自社も適正な価格で適正な利益を得ることでWin-Winの関係をつくる”という明確な方針がありました。

    色は違っても共通することは

    今回は「製品ラインアップ」、「ブランドフィロソフィー」、「カスタマイズ対応」の面から特徴的な例をあげてみました。これらは各社各様の特徴ではあるものの、視点を変えると以下の点で共通していると捉えられると思います。

    ① 自社の強みを活かせるフィールドを明確に設定していること
    技術・ノウハウやブランド力など自社の持つ強みにこだわり、それを活かせる製品領域や市場を選ぶ。
    ② 顧客価値の提供と自社の収益のバランスポイントを見極めること
    顧客ニーズへの対応と自社の収益が両立できるかを重要な判断基準として意思決定をする。
    ③ 慎重さと大胆さのメリハリ
    あらゆる市場機会を捉えようとするのではなく、上記①と②を踏まえて慎重に見極める。そして意思決定後は重点的なリソース投入やインパクトのある戦略施策を立て、一定期間の中でスピーディーに実行する。また、目論見通りいかないときは早期に撤退の意思決定をする。