日本の知財立国とは【第6回】

日本の知財立国とは ~音楽で外貨を稼いでこれるか~ ⑥

エイベックスにいた頃の私であれば、「そうはいっても浜崎あゆみやEXILEのヒット曲を簡単に使用許諾させるわけにはいかないし、ましてや1曲ごとに価値も背景も違うから、そうそう簡単にまとめて許諾はできない」と考えるのが当然でした。ところがエイベックスを退任した後でしたので、直に友人の相談にのることができ、しかも彼の一言で自分のこれからやるべき『日本の音楽を海外に紹介し、外貨を稼いでくる』というライフスタイルの原型が決まりました。

彼は「シンガポールにある日本料理のレストランに食事に来た家族が、食事が終わるまで3時間滞留して、その間にEXILEの曲がかからなかった、と文句を言うことはない」と言ってきたのです。つまり、送り出す側は浜崎あゆみやEXILEなどのブランドを尊重して、それによってビジネスをしているのですが、受け取る側は必ずしもそうではない、アーティストブランドは、そのアーティストを知らない顧客には何の意味も持たない、ということなのです。

    それから私は、どこのレコード会社とも契約をもたず、ジャスラックのような管理団体とも契約していない音楽クリエーターの作った音源を集め、シンガポールに送り出し始めました。幸いなことに、これらの若手クリエーターは、いつか大ヒットを夢見て、大物アーティストの歌う候補曲となるべく、デモ音源を常にストックしています。しかしそれらの音源は、一度プレゼンに提出し、ボツになって戻ってくると、二度と日の目を見ることはありませんでした。そのような死蔵されているボツ音源を集めて海外に送り出し、喜んで使用してもらい、そして少しでも外貨を稼いでくる(そしてクリエーターに経済的に還元される)のであれば、反対するクリエーターは誰もいませんでした。

    2年前にシンガポールで始まったこの事業は、シンガポールでの成功をきっかけに徐々にですが、近隣の東南アジア諸国に進出しており、将来的には大きな市場展開に発展しそうです。そして同じようなスキームで上海の友人とも契約し、上海地区を中心としたレストランなどにも展開を始めました。その後、ロシアやイギリスでも、と夢と企画は膨らんでいるのですが、忙しさにかまけてなかなか着手できずにいます。

    日本の音楽が世界を席巻するには、際立った大ヒット曲や、特別な大物アーティストが、目に見える形で活動したりメディアを賑わしたりするのも必要ですが、そのウラで一般人が普段生活している中で普通に浸透している”その他多数の日本の曲”の存在も必要なのではないかと考え、大きな動きは音楽産業に任せつつ、個人としてはその草の根的な活動を頑張って展開していこう、と最近は思っています。


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    各回 公開日
    日本の知財立国とは【連載】 2016年11月24日(木)
    日本の知財立国とは【第1回】 2016年11月24日(木)
    日本の知財立国とは【第2回】 2016年12月7日(水)
    日本の知財立国とは【第3回】 2016年12月21日(水)
    日本の知財立国とは【第4回】 2017年1月11日(水)
    日本の知財立国とは【第5回】 2017年1月25日(水)
    日本の知財立国とは【第6回】 2017年2月15日(水)
    日本の知財立国とは【第7回】 2017年2月22日(水)

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