三つ目のグローバル共通言語【第1回】

気持ちが分かること

わが国においてはビジネスとビジネスパーソンのグローバル化が叫ばれて久しく、またその推進に必要な要件もいろいろな角度から議論されています。筆者自身、アメリカの大学で学び、日本企業の駐在員としてニューヨークで勤務し、帰国後は外資系企業に勤めるなど、奇しくもグローバル化の尖兵となった経験を持ちます。その経験を踏まえ、グローバル化の象徴でもある世界で通用する言語についての一考察を提示できればと思います。

    ニューヨーク国旗

    周知の通り、現時点での世界共通言語は英語だと認識されています。ではビジネスパーソンはTOEIC900点を超えればグローバルに活躍できるのでしょうか。もちろん英語が堪能なことに越したことはありませんが、私の経験では残念ながら十分条件とは言えません。

    昨今、世界で活躍するためには英語だけでなく、論理的思考力、またはロジカルシンキングとも呼ばれる能力が重要だと言われています。コンサルティング会社など一部の企業では以前から採用時に論理的思考力が問われましたが、例え英語ができたとしても、論理的に主張できなければ外国人とは意思疎通ができないという事実がようやく多くの会社で認識され始めたからでしょう。組織運営を上位下達で行うのが当たり前の日本企業の風土と異なり、外国人は議論に基づいて説明責任を明確にし、意思決定を行います。

      議論に基づいた意思疎通を行うには自分の主張を論理的に展開し、相手を説得する力が必要です。外国人との接点がいわゆる一部のエリート社員だけでなく、中小企業や一般社員にも広がった今日、取引先との商談においても、現地法人のマネジメントにおいても論理性が不可欠なことに気づいた結果だと解釈できます。
      しかしスムーズな意思疎通には英語と論理性だけでも足りません。論理性とは対極にある感情能力も三つ目の要素として必要だと私は思います。感情能力とは相手の気持ちを読み取り、理解し、自分の感情をマネージし必要に応じ切り替えていく能力です。

      2.コミュニケーションとは理屈と感情のやりとりである

      テレビを見ていると日本語でも出演者の言いたいことが分からない場合があります。天然系と称されるタレントたちがなぜそのような印象を与えるかと言うと、一般常識や知識が足りないのと同時に、論理的思考ができていないことが大きな原因です。彼らの発言には「なぜその結論に至ったか」の道筋が見えず、納得できないからです。
      一方、見知らぬ外国を単独紀行する番組では外国語ができなくても何とか目的を達成してしまう逞しいタレントたちもいます。彼らはいつの間にか現地の人々と仲良くなり、周りを巻き込んでしまいます。言葉はできなくとも表情や身振り手振りで必死に意図や自分が困っていることを伝えます。相手の気持ちに敏感で自分の気持ちも率直に表現するところが共通しているようにテレビを見ている限りは思われます。
      ビジネスシーンにおいては、外国人から見ると日本人は気持ち悪いと言われことがあるようです。論理性と感情能力の観点から分析するとその理由は問いかけに対し論理的に直接答えないことと、感情表現をせず、あいまいな薄笑いを浮かべており、本心が読めないことだと言えます。外国で言葉も話せないのに目的を遂げてしまうタレントとは間逆です。
      しかし救いはあります。どちらの力も開発可能な領域であるからです。ただ感情能力については日頃意識している人は少ないと思われます。当学経営学部では例えば春季短期英語集中講座の中でも論理的思考力と感情能力についての特別講義を行い、これらの能力の早期育成を図っています。次回は感情の影響についてさらに見ていきましょう。


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      各回 公開日
      三つ目のグローバル共通言語【連載】 2016年10月12日(水)
      三つ目のグローバル共通言語【第1回】
      三つ目のグローバル共通言語【第2回】 2016年10月26日(水)
      三つ目のグローバル共通言語【第3回】 2016年11月9日(水)

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