駐在生活を楽しむ秘訣!~渡米4年間を振り返って~ 【第5回】(最終回)

駐在生活を楽しむ秘訣!~渡米4年間を振り返って~ 【第5回】(最終回)

駐在家族の強いつながり

 渡米後、初の我が家への訪問者は主人と同じ会社の旦那様を持つ奥様たちでした。まだ日本からの荷物もすべて届いておらず、とても皆さんをもてなすことはできない状態ではあるものの、日々の買い物や学校のことなどを誰かに聞きたい、そんなちょうどよいタイミングでの訪問でした。私の心の中では、海外駐在といえば(ドラマで見ていたような(笑)、)奥様同士の難しいお付き合いや、最初にうまく溶け込めるかどうかで主人の会社での立場が変わったり、私自身の今後の付き合いが決まってしまったりしてしまうのではないだろうかという不安もありましたが...。結果、来ていただいた方々はとても親身に話を聞いてくださり、私が分からないことを丁寧に教えてくださいました。もちろん、奥様たちの関係が主人の仕事に影響するなどということはドラマだけの話でした(笑)。4年を過ぎてつくづく思うのですが、駐在生活の長い先輩たちとのおつき合いは、私たち家族の心の支えとなって、駐在生活を安定的なものへと導いてくれています。この奥様同盟と呼べる関係は単に楽しい時間を過ごすだけでなはなく、日々必要な情報を入手できる場となっています。

 もちろん、日本にいる両親や友達にメールなどで愚痴を聞いてもらったり、やり取りしたりすることで助けてもらうことも多いのですが、出張の多い主人の不在時など、急に困るようなことが起きたときは、まさに海の向こうの仲間より近くの駐在家族仲間です。例えば、ここミシガンでは冬に想像以上の積雪があります。初めての冬は分からないことも多く、車に何を積んでおくといいのか、雪道の運転のコツも分からない私は「困ったときは遠慮なく電話して、すぐに行くから」という言葉によって、安心して雪国生活を送ることができました。ですので、私は当時お世話になったときの気持ちを忘れずに、日本からきて生活上のことで困っている人には惜しみなく情報提供することを心がけています。日本にいたら出会うことがなかったであろう奥様たちとの出会いは、今後の私の人生においても貴重な財産となることでしょう。

 そんな奥様方と「ポットラック」と呼ばれる持ち寄りの食事会をたびたび開いています。一人一品持ち寄るのが基本ルールなので、7人で集まれば7種類の料理が並びます。それぞれの主婦歴に応じて持ち寄る料理はとてもおいしく、効率よく、私の大好きな時間です。

自宅でのポットラック

自宅でのポットラック

ポットラック(ハロウィン)

 それらお料理をいただきながら話題に上るのは育児のこと。ここアメリカにおいて駐在期間中子供をどのようにどのような手段・方法で育てるべきかはたいていの母親が試行錯誤していることです。平日現地の学校に通い、英語を毎日7時間以上聞いている子供たちに、日本の教育を日本と同じように行うのは大変なことです。第4回で紹介した補習授業校は土曜日のみの年間42日。週6日の過ごし方について、子供の年齢に応じていろいろなツールや方法で家庭学習している話を意見交換したり、時にはアメリカ人(だけとは限りませんが)女性の職業観・人生観・子育てに関する考え方・見聞きしていること・肌で感じていることを伝えあったりします。海外駐在を機に日本でのキャリアをいったん打ち切ってきた奥様も多く、アメリカ人の働く母親の話を聞くとふと自分のキャリアについて考えてしまうことがあります。このまま専業主婦を続けていていいのだろうか、日本に戻った後は私に何かできる仕事があるのだろうかと。以前近所に住んでいたアメリカ人女性は私と同じ年の子供がいたのですが、私立の学校に子供を通わせていました。彼女は仕事をしていたので、朝夕子供たちを自家用車で学校に送迎、帰宅後は宿題と習い事。平日はほとんど会うことがなく、我が子たちとは週末しか遊べる機会がありませんでした。同じ公立の学校ならバスで登下校も一緒、帰宅後はもっと子供たちを仲良く遊ばせる機会が多かったはずなので、私は彼女に「なぜ子供たちを公立の学校に行かせないのか」と聞いたことがあります。彼女ははっきり言い切っていました。「(彼らにとって私立の学校に通わすことが)私たち夫婦にとっても一番いい選択肢だと思ったから」と。共働きの多いアメリカ人夫婦にとって、子供たちの教育環境も重要であるし、自分たちのキャリアも大切。苦労してでもまずはキャリアの継続を考えるのだと。

ポットラック(クリスマス)

ポットラック(クリスマス)

ポットラック(バレンタイン)

 自信をもって答える彼女を見て、私はとても納得した気分になりました。私たち期間限定の駐在家族も、与えられた条件の中で正しいと思った選択肢を自信もって行うことがきっと子供たちのためにもいい結果を導くはずであると感じた瞬間でした。

 また、しつけの話ですが、現地校のイベントや公園で、アメリカ人の両親が子供に接する姿勢を覗き見ていると、子供に対して小さなことでも何かができたときは大げさなほどにほめる、悪いことをしてしまったときには、どんなに時間をかけても、感情的に怒ることはせず、とことん説明し、言い聞かせるというのを徹底しています。私は毎回そのようなシーンを見ると反省します。忙しさに追われて、子供たちをほめることの大切さ、時間をかけて納得するまで話し合う姿勢、つい忘れてしまっている自分がいます。

最後に~今を楽しむ~

 アメリカでは季節ごとのイベント、シーズンごとのこだわりをとても感じる機会が多く、特にハロウィン・サンクスギビング・クリスマス・バレンタイン・ イースター・独立記念日などは街中でイベントを盛り上げます。今このコラムを書いている9月下旬、ハロウィンの衣装、カボチャ、この季節限定のフレーバー の食品をあちらこちらで見かけるようになってきました。小学校ではハロウィンの日は子供たちは朝から衣装を着てくるように指示があったり、近くの老人ホー ムに仮装したまま歩いてお菓子をもらいに行ったりもします。この、イベントそのものを全員で楽しむ雰囲気、大好きです。

    ハロウィン用のカボチャ

    ハロウィングッズの売り場

     思いつくままに渡米してからの4年間を振り返ってみましたが、今の時代、日本のあちらこちらで予期せぬ海外駐在でとまどっている方々も多いのではないかと思います。駐在者本人は内示を受けた瞬間からさまざまな研修がはじまり、国内での仕事の引継ぎをしつつ、家族の渡米準備も始まります。語学に不安のある方はそれを克服すべく学習も同時にはじめ、部署や同期からの送別会、しばらく会えなくなると思われる友人との別れもあり、心身ともに大変な時期があることでしょう。家族も同じです。働いている家族は退職なのか休職なのかを決断し、加えて育児中の母親は赴任先の国の育児事情を調べ、持っていく物を検討するでしょう。子供たち本人はわけの分からないまま、学校に行けるリミットを知らされ、両親のバタバタをみることになるでしょう。一昔前は海外駐在は金銭面でのメリットが大きいイメージで、日本を離れたらその分戻ってからのステータスが上がるようなイメージだったと思います。私たちが住んでいた東海圏では、海外駐在はもう珍しいものではありません。会社が後ろ盾になって1から10まで何かをしてくれるわけではないのです。日本を離れている間、海外でいかに有益に過ごすかは駐在者が自身で考えて選択、行動していかなくてはならないのです。

    <駐在生活を楽しむポイント>

    ・トライしないと何もできない(何をする機会も与えられない)
    ・言わなきゃ損(主張しないと存在していないのと同じ)

     いい意味で、小さなことは気にせずに、日々の生活を楽しもう!と思って過ごすべきです。日本を離れ、赴任地についたら素晴らしい人たちと忘れられない出来事に出会うことでしょう。そして、きっとその経験は自分たち、子供たちの将来にプラスに働くはずです。何度も大きな失敗をするかもしれませんが、それもまた駐在生活の思い出と、いつか笑って思い出すことができるよう、私は今を楽しみたいと思います。

     貴重な時間を割いて読んでいただいた皆さん、ありがとうございました。
                             

    長瀬 幸子


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