日本企業は真のグローバル企業になれるか。なるべきか。-"真のグローバル企業”の姿-

日本企業は真のグローバル企業になれるか。なるべきか。-"真のグローバル企業”の姿-
【第4回】

グローバル市場は実在しないことを理解する

これからグローバルマーケティングに関わる人のために、グローバル市場の捉え方についても触れておきたいと思います。
グローバルという表現はまるで世界に国境がない単一の市場が実現するように捉えられますが、「単一のグローバル市場」は現実には存在しません。
必ず国境が存在し、国境を越えた瞬間から言語、文化、宗教の違いを背景とする価値観の違いが事業のリスクとして存在します。

このカントリーリスクは、海外事業拡張の際に売上高を増加することができても、かえって収益性を低下させてしまう原因となります。
あまり理解いただけていないのですが、私の専門のブランドマネジメントとは、国境を超える共通の価値観をブランドというコンセプトに意味づけすることでカントリーリスクを最小限にして事業収益を獲得することを目的としています。
世界レベルでの全体最適を実現するためのマーケティング手法であり、グローバル企業の企業価値に影響を与える経営命題なのです。

「真のグローバル企業」は、国境を意識し違いを尊重して協働する

私が日本代表をしていたグローバルコンサルティング会社では、ロンドンで金融会社の合併案件があれば、世界中から金融セクターの経験を持つスタッフが集まりプロジェクトチームを構成します。
チームメンバーの国籍は7か国、6言語という多国籍軍となり国籍を意識することはありません。ただし皆、国境を越えて発生するわずかな違いを強く意識します。互いの価値観の違いを尊重した上で、侃々諤々とやりあい解決策を見つけ出します。


組織の中に国境がありカントリーリスクを内在しているからこそ、チーム内で課題を解決でき、クライアントにグローバルなソリューションサービスを提供できるわけです。

このように、多様性に富んだ人材がチームとなり協働するプロセスがシステムとなっている会社が、「真のグローバル企業」の姿だと思います。

    本コラムの最後に、産業能率大学 小々馬ゼミの「クレド(信条)」を紹介させていただきます。当ゼミは「グローバル人材開発」を強く押し出していませんが「個人レベルのグローバル化」を心がけています。
    これからの社会では、たとえ海外に赴任せずに日本国内で働いていても、多国籍な人材が同僚となってチームで仕事をすることが当たり前となると予測しています。
    そんな未来環境を前提として多様な価値観の違いを楽しみ、対話(ダイアローグ)から新しいアイディアを創造できる資質を養うために、国内外の実務家の方々との協働を通じて体験的に習得しています。

    グローバルビジネス時代の人材開発は、グローバル企業を志向するか否かに関わらず、働く者の個人に必須な要件だと考えてます。

    産業能率大学 経営学部 教授 小々馬 敦


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