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「やる気」を科学する(1)~「やる気」を生み出す脳のしくみ

ビジネスパーソンのための自分を変える新たな視点 第3回 人材開発プロデューサー・研修講師 最上雄太

「やる気」を知ることで目標に近づく

何か新しいことを始めるために気持ちを立ち上げる。
次々とやってくる「やる気の壁」に立ち向かう。

私たちは、目標に向かっていくために、いつも「やる気」と向き合う必要があります。
「やる気」のメカニズムや性質を知り、自分の手に入れたい目標に近づくためのヒントを得ましょう!

モチベーションとは何か

モチベーション(motivation)の語源はラテン語のmovereと言われています。これと同じ語源を持つ単語はmove(動かす)です。つまり、モチベーションには何らかの目標に向かって「動かす」という意味が含まれており、目標があってこそ、モチベーションが成立すると言えます。
私の研修では「モチベーションとは、目標に向けて、行動を立ち上げ、方向づけ、支える力」とシンプルに定義しています。ここで言う目標とは、プロジェクトの目標、組織の目標・ビジョン、営業のノルマ、個人の行動計画などを指します。注目してほしいのは「行動を立ち上げ」という言葉です。モチべーションは、行動することが前提にあり、頭の中だけで考えて「上がった・下がった」を論じることではないのです。

また、「方向づける」とは、どこに向かうかというベクトル感や、どの程度の力を注ぐかという力加減のようなものです。さらに、「支える力」は、モチベー ションを維持・継続していくことを意味しています。前回(第2回)でお伝えした、次々と迫り来る「やる気の壁」を乗り越えながら、行動を始めた時のモチベーションをいかに維持・継続させていくこと。それがモチベーションを考える上で大切な命題になることを示しています。

    モチベーションを高めること、維持・継続させていくことは、どちらも重要な観点です。それがないと、未完了の目標が増え、結果的に全体の「やる気」を低下させてしまうことになります。

    「やる気」は、いかに続けていくか(継続の観点)がカギ

    「やる気」は脳で創り出されている

    近年の脳研究のめざましい発展により、人間の脳には自分が本当に叶えたい、手に入れたいことを、あたかも目の前で起きているかのようにイメージすることで、自らのモチベーションを高め、必要な行動を無意識に選択していく機能があることがわかってきました。

    大脳生理学を量子論(物理学)で分析するなど、人のやる気のメカニズムについて詳しい大木幸介・元信州大学教授は、著書『やる気を生む脳科学』の中で、脳 の中には側座核という「やる気の脳」と呼ばれる部位があり、その部位は前頭連合野と呼ばれるイメージの脳を支配している、と解説しています。

      前頭連合野は、大脳新皮質の中でも直接的に人間の創造行為などを担当している部位であり、蓄積された情報や五感から伝えられた情報を統合・整理し、必要な 行動を起こすための指令を出しています。また、過去・現在・未来という時間の観念を生み出しているのもこの部位であり、サルと人間の知性を分け隔てる、脳 の中でも特に重要な部位となっています。

      イメージすることがやる気につながる

      その前頭連合野は、何かを強くイメージすることでやる気の脳(側座核)に刺激を与え、行動のためのアクセルをどんどん踏み込む機能を持っています。

      つまり、やる気を生み出すために前頭連合野が求める情報は、数量で表せるような物質的な結果ではなく、「その結果を得ることで自分は何を知覚できるか」という、感覚的な証拠なのです。

      例えば、「リンゴを食べる」で考えていくと、物的な結果はリンゴを手に入れ、食べることとなります。一方、「自分は何を知覚できるか」は、リンゴの甘い香 りや口にした時の甘みを感じる(身体感覚的な証拠)、サクサクとした食感を味わいながら飲み込む(身体感覚的な証拠)、頭の中で響く「リンゴはうまい」と いう喜びの声を聴く(聴覚的な証拠)、一緒に食べた人と笑顔になる(視覚的かつ身体感覚的な証拠)です。

        このような感覚的な証拠を、あたかもいま起きているかのように鮮明に思い描くことで、私たちの脳の中では前頭連合野が興奮し、やる気の脳が刺激され、行動を立ち上げるために必要な情報を自動的に探しはじめます。このように、目的を鮮明にすればするほど、脳は秘められた機能を発揮します。

        目的を鮮明にすればするほど、目標達成に向け脳は機能を発揮する

        こうした不思議な脳の機能を、航空機の自動操縦装置にならって「脳のオートパイロット機能」と呼ぶこともあります。

        ここで強調したいのは、この素晴らしい脳の機能が、一流のスポーツ選手やビジネスパーソンだけに備わっているものではなく、誰もが生まれながらに等しくその機能を持っているということです。単純に考えても、魅力が感じられない無機質なモノに向かっていくのと、強い魅力を感じるモノに向かっていくのとでは、大きな違いが感じられるはずです。そしてそれは、私たちの脳の働きにも大きな違いを生み出します。

          参考資料 : 最上雄太(2011)「連載・行動を変え