資格コンサルタント 高島 徹治氏 |
さっそくですが、あなたはこんな悩みを抱えていませんか。
少し長いですが、まずは最後まで読んでください。
●「苦労して宅建の資格を取ったが、不動産会社じゃないので、どう活用していいのか分からない。結局ムダだったのかな?」(Aさん)
●「独立できるはずの社会保険労務士の資格は取ったものの、はたして独立して食べていけるのか。先輩には2、3年で事務所をたたんでしまった人もいるようだし・・・」(Bさん)
●「TOEICでスコア730点を記録したが、英語を必要としない職場なので、上司からもまるで評価されないの」(Cさん)
●「漢検2級を取ったが、どう活かしたらいいのかしら。高校の後輩は入試の推薦文書で役に立ったと言っていましたが、会社じゃ推薦制度なんてないですもの」(Dさん)
●「3回目の挑戦で、中小企業診断士にようやく合格。だけど、いやな会社を辞めていざ独立しようとしたら、この資格、独立を保証してくれるわけじゃないそうです」(Eさん)
●「上司の命令で衛生管理者試験を受け一発で合格。でも、職場じゃ名前だけで何の仕事もなし。あの努力は何だったんだ、と虚しい毎日です」(Fさん)
●「介護福祉士ですけど~。仕事そのものは、試験を受けずに講習だけで取れるヘルパー資格の人と変わりません。そんな中、自分の資格の価値をどんな風に主張していっていいか分からないので悩んでいます。」(Gさん)
●「将来のためにと考え、最近話題になることの多い行政書士に挑戦しました。2度目で合格しましたが、開業なんてほんとに出来るんですか?独立したらどうやって顧客をつかむんですか」(Hさん)
●「行政書士の資格を15年ほど前に取ったんだ。だけど、顧客がいないんだ。次に、どんな資格をプラスすれば、顧客がとれるか教えてほしい。マンション管理士かな?それとも管理業務主任者?ほかにどんな資格がいいの?」(Iさん)
これらは、資格コンサルタントである私に尋ねてこられた方の質問を(個人情報の関係もあって)少し変形して載せたものです。いずれも、資格の活用方法についての悩みと、解決策についての相談です。
いかがですか?あなたにも、思い当たる節があるのではないでしょうか。
ここにあげたように、「資格を取っても、なかなか役に立たない」・・・こういう悩みは、決して少なくありません。いや、実は、多すぎるほど多いのです。
資格を取って「やっぱり取った甲斐があった。いま私が今日あるのも資格のお陰」という方は、限られます。多くみて半分くらいでしょう。
そこで、いろいろ資格に対する“恨み節”が起こってくるのです。私は、その“恨み節”が、すべて間違っているとは思いません。しかし、反面、こうも思います。その原因は、資格の側だけにあるのではない。むしろ、資格を活かさなければならない本人の側に潜んでいるのだ、と。
本人側にある一番の問題は、資格を取ればそれだけでバラ色人生がやってくる、という誤解です。それが間違いであることを示すこんな“警句”を紹介してみましょう。
「あなたにとって、資格とは何ですか?」と問われて、ある建築関係の研究者(後に大学教授)が、こう答えました。「整いました。資格とは、足の裏についたご飯粒です」と。
このやり取りは、もう10年以上も前の話です。「整いました」は、お笑いの「ねずっち」さんに引っかけた著者のいたずら表現ですが、このナゾカケ、なかなか言い得て妙なのです。
その心は? 「足の裏についたご飯粒は、取らないと(ネバついて)気持ちが悪い。しかし、取ってみても(汚いから)食べられるわけではない」。ウ-ン、うなりますね。
つまり、資格に敷衍して解説すれば、(回りの人がみんな取っているのに)自分だけ取らないと、能力がないように思われるので気持ちが悪い。しかし、実際に取ってみると、それで食べられる=生活ができる、というわけではない。そのことを端的に表現したナゾカケなのです。
しかし、紹介しておきながら言うのも変ですが、実のところ、私はこの警句に100%賛成しているわけではありません。なぜなら、私は、「資格を活かして食べていくことは、十分に可能である」と考えているからです。
冒頭で紹介した相談のように、「資格では食えない」と嘆いている方は、たくさんいます。しかし、その方々は、「資格で食べる方法」を知らないのです。また、「資格で食べる方法」を真剣に考えていないのです。「資格が役に立たない」と嘆く方の多くは、共通して資格に対する誤解を持っています。いちばん多いのは、先にも述べた、「資格を取ればすべてがうまく行く」という思い込み(迷信?)です。
しかし、資格なんて、私がよく言うように「たかが資格、されど資格」なのです。先程のナゾカケは、そんな誤解をまず捨てていただくために、紹介したものです。
資格の合格証を振りかざしたら、「へぇー」と膝まづくのは、葵のご紋の水戸黄門の時代の名残りです。現代では、どうでしょう。顧客や上司からは、次のような言葉が投げかけられるでしょう。
「あなたが有資格者であることはわかった」
「試験で合格することが大変なこともわかった」
「しかし、それが私にとって、どんな関係があるというのか」
「あなたが有資格者であることも、その試験が難しいことも、私とは何の関係もないことだよ」
「私が気になるのは、あなたが私にどんな利益をもたらしてくれるのか?という、ただそのことだけなんだ」
難しいことではないですね。この顧客や上司からの要求は、CS(顧客満足)の要求にほかなりません。このCSに応えることが、有資格者に求められていることなのです。これからの時代、企業も資格者も、CS(顧客満足)の要求にきちんと応えられないと生き残ることができません。
それなのに、いまだに「水戸黄門の葵のご紋」=「資格の合格証」がものをいうと思っていたら・・・その人を待っているのは、落伍の道だけでしょう。
「資格を取っても役に立たない」という恨み節とは、ここできれいさっぱり決別しましょう。立ち止まってもう一度考えて見ましょう。発想を変えてみるのです。
資格は、これほど世の中で重要性が認められている。
それなのに、なぜ資格をとっても活かせないのか??
原因はどこにあるのか?
恨みを言う前に、このように自分に投げかけてみるのです。すると、次のような原因が挙がってきませんか??
●資格試験には受かったけど、実務面での経験が無いので、自信をもってアドバイスができない
●いろいろある活躍分野の中で、これといった得意分野がない
●顧客を獲得するため営業するなんてまっぴら。それがいやだから、資格を取ったのだから。
●自分を売り込むのは苦手なので、資格を取ったことは他人には言っていない
●試験のときに覚えた内容は、ほとんど忘れてしまった。その後、自己啓発もしていない
●受験時代の仲間とは、ほとんど会うこともないし、専門家向けの研究会がどこにあるのかも知らない
原因が分かったらそれを除去するべく努力すればよいだけの話です。ものごとは、きわめて単純です。その努力を、これから1年間続けてみてください。いままで、「宝の持ち腐れ」だった資格が、見違えるような「宝刀」に変身するに違いありません。
そのためには、どんなことがポイントになるのか。
実は、それについて詳しく述べた本を、今執筆しています。発行は、産業能率大学出版部から、2月または3月に刊行されます。ご愛読いただければ、幸いです。