Backstage at the 3rd Place
独服の茶
〜 第7夜を振り返って 〜
Written byAkiko ASANO

茶事が終わってお客様を送り出した後、ホスト役の亭主は茶室にもどって、お客さまやその日の茶事について想いをめぐらしながら一人でお茶をたてて飲む。
自分
への反省やご褒美でもあり、これを「独服の茶」といいます。私たちのリフレクションミーティングも、
この「独服の茶」になぞらえて、お茶をいただきながら実施しました。

バックステージ通信ならではのエピソードも交えて、いささか散文的ですが、思いつくままにご紹介させていただきます。
仮説:「対話空間」に必要な3つの要素
今回の企画を進めるにあたり、私たちは「イブニング・ダイアローグ@代官山の場」=「対話空間」とし、そこに必要な要素とは何か?を考えました。何度も会議を繰り返し、意見をぶつけあい、色々な人の話を聞き、書物にあたり、そして以下の3つの要素にたどりつきました。
(2)参加者の心がけ
(3)関係づけるしかけ
あたりまえといえば、あたりまえの事ばかりですが・・・これは私たちの考える仮説にすぎず、正解でもありません。
第7夜では、参加者・ゲストスピーカーの皆さんとの「対話」を通して、一緒に考えさせていただきました。
当初のご案内からプログラムが変更になった訳
企画当初は、福田さん・西村さんのお二人には、別々にお話をしていただく予定でした。
打ち合わせを進める中で、偶然にもお二人から「対極の世界にいる二人なので、対談形式にしたら面白そう」というご提案をいただきました。そこで忙しいお二人のスケジュールをなんとか調整していただき、福田さん・西村さん・そして私たち企画スタッフ(浅野・末廣・高橋)の5名で会うことになり、福田さんの料亭「なべ家」で、賄い飯をいただきながら(さすが料亭の賄い飯!美味しかったです)、なんと3時間近くも話し込んでしまいました。話題は、身近なビジネス現場から壮大な宇宙まで様々に飛び交い、意気投合したゲストお二人の会話が、とても面白く、私からお二人に「もう、そのままイブニング・ダイアローグで話してください!」と言ってしまったぐらいでした。
また、会場のレイアウトについても、お二人から「できるだけ参加者の皆さんと距離を近く、対話できるようにしてほしい」というご要望があり、その場でレイアウトも一緒に考えていただきました。
その結果が、当日のプログラムとなって登場した訳です。
福田さんと西村さんの絶妙なコンビネーション
福田さんの素敵なお話と、それを引き出しながら、そっと解説を加えていく心優しい西村さんのファシリテートがマッチして、当日は、とても楽しい対談をお聞きすることができました。
ここでは、参加者の皆さまからいただいたアンケートの一部ご紹介をさせていただきます。
・福田さんのお話を聞いて、実はとても単純なんだと思いました。
西村さんの穏やかな話と的確な進行にかなり感激しました。
・お二人の掛け合いが面白かったです。
・西村さんから福田さんへの質問で、より深いお話しが聞けたと思います。
・福田さんの凛とした背筋の伸びる言葉の数々にうたれました。
西村さんのゆるやかなファシリテート術盗みたいです。
お茶室の準備は大変でした

茶道では、寒くても、暑くても、あるがままを受け入れ「徹底的に季節に寄り添い」それを楽しもうとします。
お茶室に飾る花は「野にあるように」と言われますが、秋の季節を皆さんに感じていただけるよう、自然の花を用意しようとしたのですが、これが都会では身の回りに意外と少ないのです。
公園や個人宅のお庭にはありそうなのですが、まさか勝手にいただくことはできないし、お花屋さんには、キレイだけれど華美な花しかなく、近所のお寺の紅葉の枝を切るわけにもいかず・・・
結局、自由が丘の本学キャンパス内を物色し、植え込みによじ登り、落ちそうになりながらもなんとか手に入れることができました。また、イチョウや紅葉の葉をデコレーション用に使うべく、本学のご近所にある九品仏浄真寺の境内へ落ち葉拾いに行ったりもしました。境内はイチョウの落ち葉がまるで黄色い絨毯のようでとても美しく、つかの間、秋の景色を楽しました。
「利休七則」
茶事を成功させるために、千利休は次の7項目を教えとして残しています。
2.冬は暖かく
3.炭は湯の沸くように置き
4.花は野にあるように
5.刻限は早めに
6.降らずとも雨の用意
7.相客心せよ
とてもシンプルなことばかりですが「あるがまま」を受け入れることで、自分自身にとっても、他人との関わり方も、ビジネスの現場でも、生きやすくなるのかもしれません。
お茶の世界は本当に深い、でもとてもシンプルでわかりやすい、まだまだお茶から学ぶことがたくさんありそうです。
素敵なお客様に恵まれて
今回は番外編ということで、いつもは黒子の私がステージにあがり「狂言回し」という役どころで進行を務めさせていただきました。立ち位置が変わると、今まで見えなかったものが見えてくるものです。
イブニング・ダイアローグにお越しくださるお客様は、積極的で、意識も高く、寛容な方々ばかりであるということを、いつも以上にヒシヒシと感じました。生意気なことを申し上げているかもしれませんがご容赦ください。
「場」をつくるのは、主催者の心遣いだけではなく、やはり参加者(お客様)の協力あってこそという、私たちが考えていた仮説は、間違っていなかったと確信しました。
主客一体を、文字どおり体感できたひとときでした。そして、体験することはやっぱり大切です!
第7夜を終えてみて
率直な感想は、「楽しかった〜!!」そして「疲れた〜ぁ」です。
でも、この疲れはとっても心地のよい疲労感です。
以前、福田さんからお聞きしたことがあるのですが、お茶事では、亭主7:客3の割合で楽しいのよ〜と。全くそのとおりだったかもしれません。
多くをこちらから発信せず(大変だったこと、時間がかかったこと、特に工夫を凝らした箇所等、主催者側の苦労話ばかりされても、興醒めですものね)、説明せずともゲストの皆さまに感じ取っていただき、そこからイマジネーションを広げていただけるような「場」を提供することが、私たちのミッションだった訳ですが、結果はどうだったのでしょうか?
私の勝手な思い込みかもしれませんが、及第点はいただけたような気がしています。
2010年12月21日
浅野 明子







サードプレイスの舞台裏(Backstage)で起きていることを紹介しながら、
私たちスタッフが感じたこと、気づいたことを綴っていきます。