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企業の停滞の3つの原因

最近、領海の問題、若者の雇用の問題と我々を取り巻く内外の脅威が顕著になって きているようです。さまざまな要因があるのでしょうが、突き詰めていけば我国の経済の停滞、相対的な経済力の低下に行き着くの ではないのでしょうか。この10年間、我国の実質GDP(国内総生産)は500兆円前後で変動し、まったく成長をしていないことがわかります。リーマンショック以降は明らかに衰退をしています。この間、中国は3倍弱、韓国は1.5倍に経済が成長をしています。我国の相対的な地位の低下は明らかです。

ここでは、我国の経済の主体である企業の停滞の原因を仮説として提示し、その処方についてマネジメントの側面から省察をしてみたいと思います。

仮説1: 環境変化のスピードが速くついていけない

急速な円高、ICT分野の技術革新の激しさ、コスト構造が圧倒的に低い破壊的イノベーターである中韓企業の台頭、人口の減少等々、グローバル企業にとどまらず、内需 中心の企業にとっても取り巻く環境変化のスピードは速く、不確実性の高いものになってきています。環境に適合した、あるいは先読みした戦略を策定する組織能力が不足しているように思われます。卓越した経営者が積極果断な意思決定をして欲しいところですが、日本ではそのような経営者を意図的、計画的に育成するシステムが遅れており、すぐには間に合いそうにありません。

また、たとえ的確な戦略を策定したとしても、組織の動きは環境変化のスピードに対して遅く、後手に回り機を逃してしまう。

仮説2: 内部統制強化が企業のスピードを落としている

最近、メディアにおける最頻出ワードのひとつとして「リスク」があげられます。2006年にJ-SOX法が施行されて以来、内部統制強化の掛け声のもと徹底したリスク管理が企業内で実施されてきました。

確かにコンプライアンス違反を防ぐことは社会にとって重要なことですが、問題は内部統制強化がマネジメントに与える負の側面です。リスクを低減するためにマネージャー(ここでは経営層から課長層まで含めて捉える)のとる代表的な二つの行動パターンを見ることにします。

一つ目は、チャレンジをしない、リスクをとらない、したがって意思決定を先延ばしにする。ぎりぎりになって横並びの意思決定をして、結果的に競争優位を獲得する機会を逃してしまう。

二つ目は、リスクを低減するために職務範囲を縮小して、よく目がとどくようにすることです。確かに部とか課といった単位でのリスクは低減するでしょうが、企業全体としては、すき間だらけ、つまり落とし穴だらけになって、結果としてリスクが増加する合成の誤謬に陥ってしまう。

仮説3: 企業人の成長意欲が弱くなってきている

現在企業で働いている従業員、経営者の中で戦中戦後の飢餓を経験された方がどのくらいいらっしゃるでしょうか。ここ数年でほとんどゼロに近づいているはずです。生まれたときから豊かな生活を享受した人がほとんどのはずです(もちろん例外はありますが)。

近隣のアジア諸国のハングリー精神との差は歴然としています。近年盛んにいわれている心の豊かさを求めることは、人間にとってなにものにも代えがたい本質的な欲求です。しかし、心の豊かさと経済の成長を二元対立的に捉えるのはいかがなものでしょうか。

是非は別にして、世界の大半の国々が採用しているのは資本主義経済システムです。このシステムの原則の一つに拡大均衡の原則があります。これは経済が成長しないとさまざまなバランスが保てないと解釈できます。ここ20年の状況を振り返ればあきらかです。心の豊かさを維持するための原資に事欠く始末です。

活力を取り戻すために

ここからは、処方について考えていきたいと思います。仮説で提示した原因をすべて解決できるとは到底思いませんが、一つの方向性を示すことができればと思います。

最近リスクを恐れるあまりか、チャレンジという言葉をあまり聞かなくなりました。「チャレンジ?リスクはどうするんだ?そんな恐ろしいことはやめてくれ。」こんな心持になってはいないでしょうか。ここでもリスクとチャレンジが二元対立の構図になっています。

そもそもチャレンジとリスクは対立するものではなくセットです。チャレンジを前提としてリスクを見積もり制御するのです。リスクが前にくるということは本末転倒です。「わかった。企業が成長するためにはチャレンジは欠かせない。そのかわり100%成功させてくれよ。」どこかで聞いたようなセリフですね。天才イチローでも4割は打てないのに普通の企業人に無理な注文ではないでしょうか。チャレンジはしなくてはならない、しかし失敗は許されない。このような100発100中の呪縛にとらわれた矛盾状態では企業人は前に進めません。

それではどのようにすればよいのでしょうか。キーワードは「実験」「権限の委譲」です。成功確率を高めるためには事前の実験による検証が欠かせません。追い詰められていきなり一か八かのチャレンジをするのではなく、事前にリスクを管理しながら周到な実験を行い、学習をしておくのです。仮説の質にもよりますが、実験ですから成功の確率はそれほど高くないでしょう。したがって実験を効率よくたくさんおこなう必要性があります。そのためには実験の前提である仮説をたくさん設定する必要があります。仮説は、シーズ面でもニーズ面でも環境変化の最前線である現場発であることが望ましいことはいうまでもありません。

最近、現場の責任者である部・課長の権限が、責任はそのままに、小さくなってきているようです。無駄な権限委譲をする必要はありませんが、実験の権限を現場の長に委譲し、実験のやり方を創意工夫し組織能力に高めていく意図的な取り組みが、この深刻な停滞を打破する一つの処方になると思います。もちろん実験を促進する制度面の整備も重要な課題です。これらの課題に積極的に取り組み、生産性の高い実験から多くのイノベーションを生み出していきたいものです。

子供のころを思い出すと「実験」はわくわくして楽しかったですね。


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