総合研究所の概要

お問い合わせ

資料請求リスト

メンバーを見る、モニターする【第2回 職場を蘇生させる】

職場の関係希薄化に対して

第1回では、社員は会社に将来性を感じておらず、職場はどんよりし、活力がなくなっていること、管理者は各種トレードオフによる閉塞感を感じ、職場問題に対して、結果後手に回りがちになっていること、そして、それらの現状を打開していかなければいけないことを確認しました。

第2回からは、ではどうしていけばよいのか、その対処法・打開の仕方について考えていくこととします。
まず、管理者とメンバーを取り巻く職場環境に着目して、検討していきたいと思います。

管理者とメンバーとの関係が希薄化し、メンバーを把握しづらい環境

管理者とメンバーの関係が希薄化してきており、管理者はメンバーを把握しづらくなっています。

終身雇用制が崩れ、中途入社の方が増えたり、業務遂行スキルがメンバーの方が高かったりするなど、以前とは状況が随分と変わり、管理者側は戸惑いを感じやすくなってきています。
本コラムの第1回で示した事項も含まれますが、次のようなことが起こり、管理者とメンバーの関係を希薄化させ、メンバーを把握しづらくしています。

管理者とメンバーを引き離す環境要因

このように、管理者とメンバーを引き離す環境要因は増える一方です。

メンバーを見る、モニターする

このような環境を踏まえ、改めて、メンバーとの関係性を保ち、状況を把握することが、必要となってきています。
そこで、関係性を保ち、メンバーの状況を把握するためにも、「メンバーを見ること」「モニターすること」について取りあげていきます。

ここで言う「メンバーを見ること」とは、メンバーに期待を示したり、見てあげていることを伝えていく活動であり、「モニターすること」とは、メンバーとの日常的な(ちょっとしたことでも)コミュニケーションや、やりとりを行いながら、状況を把握していくといったことを指します。
こうした活動は職場マネジメントの土台づくりとして位置づけられます。

メンバーを見ること
~メンバーに「期待されている」という実感を与えることで、主体性や責任感を醸成していく

「メンバーを見ること」のねらいは、メンバー側の「見てもらっている」、「期待されている」という実感が薄くなりがちな状況を回復させることです。そして、「期待されている」という実感をメンバー側に持たせることで、メンバーの責任感を高め、主体性を発揮させていくことです。

「期待されていないという実感」を持ってしまい、主体的な行動を取らなかった例

私が過去にご支援させていただいた企業で、成果がなかなか上がらなかった職場のメンバーの方々からよくお聞きしたのが、「どうせ我々は期待されていないのだから」「我々が自律的に頑張っても意味がない」という、「我々は見捨てられた存在だ」といわんばかりの表現でした。
そもそも、「期待されていない」という実感を持ってしまっているメンバーが、組織の方針に応じた形で、行動を起こし高い成果を上げることは難しいものです。

上司、管理者側にはそのような意図がなかったとしても(逆に実際には高い期待を持っていたとしても)、放っておくとメンバーは「期待されていない」という 認識を持ってしまいやすい状況のようです。期待を示すことや、日ごろのコミュニケーションが疎かになると陥りやすい現象といえます。

また、高い成果を上げる企業では、経営者が現場を頻繁に回ることが見られますが、経営者が現場を回ることの効用の一つは現場メンバーとの心理的距離を縮めることであり、特に若手メンバーにとっては、「自分たちは期待されている」という実感を持つ機会になります。そして、メンバーは、組織へのロイヤリティを 高め、業務遂行へのモチベーションを高めていきます。

自動車販売を生業とする企業の社長の例

この社長は、週末、時間が許す限り各販売店を回り、特に、若い層を中心として、社員個々の名前を呼びながら、「頑張っているか」と声かけをしているそうで す。これに対し、社員側は、「自分の名前を覚えてくれて、声をかけてくれる」、「自分は期待されている、頑張ろう」と思い、また仕事にやる気を出していま した。

ある食品メーカーの生産工場での工場長も同様の活動

進捗管理のチェックなどと合わせながら、現場を回り、メンバーに期待を示す行動を積極的に行っていました。その工場の社員の方々は、「私たちの職場(工場)は、家族的な温かさがあります」と仰っていました。新入社員のときからこのよ うな雰囲気の中で業務を遂行していれば、次に職場に入ってくる新入社員や中途採用者、異動者に対しても温かく迎えることができ、常に気をかけた関係を作り上げるものだと思います。良い意味で「目が行き届いている」環境です。

東京ディズニーランドの運営でご活躍された福島文二郎氏は、著書(「9割がバイトでも最高のスタッフが育つディズニーの教え方」中経出版)の中で、ディズニーにおける人の育て方の一つとして、「後輩には『いつも見てくれている』と意識させる」環境づくりが重要であることについて言及しています。
9割がアルバイトのスタッフで構成されるような、まさに関係が希薄化しやすい職場環境だったからこそ特に意識化されたのだと思われます。

ここに示されたように、上司(あるいは場合によっては先輩)が見てあげ、期待を示すことで、メンバーは責任感を感じ、そして主体的な活動を始めていきます。

ただし、あくまでも認知する主体はメンバー側であるため、メンバーが「期待されている」という実感を持っているかどうかが重要であるという点は忘れないよ うにしたいところです。
実際の職場での業務推進の担い手は管理者ではなく、メンバー自身であるので、特に強調したいことです。

メンバーをモニターすること~個々のメンバーの個性をさらに活かすために

「メンバーをモニターすること」のねらいは、「メンバーをさらに活かすために、メンバー個々の状況に関して情報収集を行い、把握する」ことです。詳しくは、本コラムの第4回で触れますが、メンバーを活かし、職場の成果を高めていくためには、個々のメンバーのことをしっかりと把握していくことが重要です。

そのときには、メンバーのこれまでの経験、志向性や得意・不得意といった部分だけではなく、今どのようなことを考えているのか、どのような想いを持っているのか、といったオン・タイムでのメンバーの状況を把握・キャッチしておくことです。

これは「らしさ」という観点で捉えてみることも有効です。
“Aさんらしさ”、“Bさんらしさ”、とはどのようなものなのか?答えられるようなモニターが必要となります。

管理者として、各メンバーの長所・短所をどの程度しっかりと捉えているか、そして、今、長所を活かし短所をカバーすること、あるいは短所も『強み』として活かすようなことが出来ているのかが重要です。

すなわち、長所が『強み』としてより活かされるような形で業務を担当してもらうとともに、短所が『弱み』として把握され、他者からサポートを受けるなどカバーされているかです。たとえ長所が少なく、短所が多いという場合であっても、短所を『強み』として業務上活かすことができないか、という可能性を探っていくことです。

メンバーをモニターすること ポイント

ちなみに、株式会社NTTデータ研究所が平成22年に実施した『働きがいに関する意識調査』によると、以前と比較して働きがいが高まったと回答した人の50%強がその理由として、「今の仕事は、自分の適性に合っていると感じているから」を挙げていました。

自身の適性にフィットした業務へとうまくアサインしてくれていると実感できる環境かどうかが、働きがいに影響を及ぼしていることが伺えます。

日常的に把握する~声かけ、期待の伝達、情報収集

声かけなど、日常的なコミュニケーションをとりながら、期待を示すことでも、メンバーの情報を得られるはずですが、放っておいても状況は変わりません。
メンバー側も期待を確認でき、一方、管理者もメンバーの状態や考えていることを常に把握できている(モニターできている)関係を保つことが大切です。

「メンバーを見ること」「モニターすること」は、関係の希薄化を食い止め、メンバーに期待されているという実感を与え主体性を引き出すために、かつ、メンバー一人ひとりの個性・能力を今後の職場活動へさらに活用していくために重要なことですので、まず、最初に取りあげました。

メンバーを見る、モニターする 対処・対策

次回は、管理者のマネジメントを今一度見直す観点についてさらに深く検討していきます。

(産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所 中村 浩史)

【連載】職場を蘇生させる

テーマ 公開予定日
第1回 オリエンテーション 2012年2月13日(月)
第2回 メンバーを見る・モニターする~職場の関係希薄化に対して 2012年2月27日(月)
第3回 相談文化の醸成で組織を強くする 2012年3月12日(月)
第4回 適材適所の実現:メンバーを活かす前提を変える 2012年3月26日(月)
第5回 全体のまとめ

ページ先頭へ

  • 導入のご相談、提案のご依頼、各種ご質問はこちらからどうぞ
  • 資料をご希望の方はこちらからどうぞ(無料)
  • 総合研究所 経営管理研究所
  • 官公庁・自治体職員向け研修案内
  • グローバルマネジメント研究所
  • サンノーWebサポート
  • SuperGrace Web成績管理システム
  • マナビバサンノー
  • sannoメール登録

他のコンテンツを見る

SANNOが大切にしている活動スタンス
理想のイメージをお客様と共に創り上げるために、大切にしている活動スタンスをご紹介します。
人材育成・研修 用語集
人材育成・研修に関する用語集です。実務にお役立てください。