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「若手・中堅社員を育てる」(1):通信研修を活用した階層別教育構築

企業が求める若手・中堅社員への期待とは

さて、まず始めに、昨今の企業が求める若手・中堅社員への期待は何か? ということから考えていきましょう。
若手社員や中堅社員への期待については、本学や各種機関によってさまざまな調査が行われています。こうした調査結果をはじめ、日々の営業活動でお伺いするお客さまからの生の声、受講者のコメントなどを通じて感じることを私なりに整理してみますと、以下のような点が挙げられます。

  ・仕事への主体的な取り組み姿勢・意欲
  ・仕事の基本の徹底(PDSの徹底やQCDの配慮など)
  ・組織やチームのメンバーとして、協働する力や姿勢・影響力
  ・仕事を最後までやり遂げる実行力

成果志向が強まっている中、1人ひとりが強い実行力を発揮すること、さらにはチームで成果を生み出すためのコミュニケーション力や影響力を発揮することが強く求められるようになってきているのが、昨今の若手・中堅社員への期待の特徴といえます。
その一方で、仕事の基本の徹底や、主体的な取り組み姿勢への期待もより一層強まっているように感じます。つまり、能力だけではなく、仕事への姿勢や意欲も含めて、と1人の「仕事プロフェッショナル」して早く成長し、存分に活躍して欲しいというのが、若手・中堅社員に対する組織側の期待といえるでしょう。

若手・中堅社員育成にあたっての視点

では、そうした意識や能力はどうしたら身につくのでしょうか。ここでは、人の“熟達”という視点から、若手・中堅社員の育成を考えていきます。

例えば、入社したての新入社員に、難しい契約をまとめるような交渉をやらせてみてもうまくはいかないでしょう。しかし、こうした新入社員も経験を重ねていくうちに、だんだんと仕事を覚え、上司や先輩から指示されたことが確実にできるようになり、そして自分なりの仕事のスタイルを確立しながら、そのうち複雑な交渉ごともこなせるようになっていきます。

これは、新入社員がその職務に“熟達”していくプロセスを示しています。このように、誰しもさまざまな経験や学習をすることで、できなかったことが次第にできるようになります。若手・中堅社員の成長とは、こうした職務への熟達と言い換えることができます。若手・中堅社員が熟達するということは、先に述べた彼・彼女らへの期待に応えられるように成長している姿ともいえるのです。

ところで、熟達した人のことを熟達者と呼びますが、その定義は研究者によってさまざまです。
代表的な定義は、「特定領域において、専門的なトレーニングや実践的な経験を積み、特別な技能や知識を習得した人」(Wagner&Stanovich,1996)です。分かりやすく、熟達者とは「その領域における仕事のプロフェッショナルである」と言えばよいかもしれません。

しかし、「石の上にも3年」ということわざがありますが、こうした意識や能力は一朝一夕に身につくものではありません。次の図をご覧ください。

上図は人の熟達の過程を示したものですが、ここで見ていただきたいことは次の2つです。

第1に、「熟達は段階的に行われる」ということです。
ビギナーがいきなりエキスパートになれるわけではなく、ビギナーから中級者、中級者から上級者というように、少しずつ順を踏んで成長していくのです。

第2に、「熟達していけばいくほど、個々の技能から全体的なものへ、基本的なものから応用的なものへと意識することが変わってくる」ということです。

例えば、名刺交換の際、新入社員であれば言葉遣いや名刺をどう受け渡すかで精一杯かもしれませんが、熟達してくると、名刺を渡すタイミングで気の利いた話をしたり、どのような関係性が築けそうかを瞬時に察することができるでしょう。その際、新入社員のときに気にしていたような言葉遣いやマナーなどは、意識せずとも自然にできているはずです。

このように、段階を踏んで熟達していくにつれて、今まで意識していたことが自然とできるようになり、もう少し高い次元で悩んだり苦労することが出てきます。
これはつまり、熟達の段階によって課題が異なることを意味しています。

若手・中堅社員の熟達の支援

熟達は段階的に行われるということを述べました。
では、ここからは熟達するためにはどうすればよいのか考えていきましょう。
ポイントは次の2つです。

  (1)熟達の過程とは「経験」の積み重ね
  (2)経験から学ぶには「知識」が必要

まず大切なことは「経験」をするということです。
実際にやってみないことには始まりません。ただし、ここで気にしなければならないのは、ただやればよいというものではないということです。今までと同じことの繰り返しや意味のないことをやっても、それは熟達につながる経験をしているとはいえません。

重要なことは、「良い経験」を積み重ねるということです。
良い経験とは、よく考えられた練習a.課題が適度に難しく明確であること、b.実行した結果についてフィードバックがあること、c.何度も繰り返すことができ誤りを修正する機会があること)を積むことです。上述したように「経験の長さ」より「経験の質」が熟達には必要です。

身近な例でお伝えすると、職場の中で管理職やメンターがOJTを通じて、良い仕事が実践できるように“経験の場”を意図的に与え、本人の状況に応じて知識やスキルを習得するきっかけをつくることが大切だといえます。

このように、良い経験の場を提供することが、熟達を支える第1の要件になります。


では、良い経験を重ねればそれでよいのでしょうか。
経験はもちろん大事ですが、それだけでは限界があります。経験を次につなげるためには、それを生かす知識が必要です。なぜなら知識こそがその経験を振り返る材料となるからです。
ここで、知識を理解しておくことの効用を整理すると

  a.初めてやってみるときの指針となる
  b.経験を振り返り、意味づけるときの材料になる
  c.他者と議論するときの共通の言語となる

といったことが挙げられます。
このように良い経験を支える知識を身につけることが、熟達の第2の要件になります。


「経験」と「知識」は熟達の要件ですが、これらはただ経験を積めばよい、ただ知識を習得すればよいというものではありません。
前ページの図で説明したとおり、熟達の段階によってその人の育成課題は異なります。
従って、この段階では何を学習課題とするのか、そしてそれが習得できたら次の学習ポイントは何なのか、といったように学習課題を順序立てて整理することが大切になります。
順序立てて整理するということは、すなわち体系化するということです。

どのようなタイミングでどのような経験を積むべきなのか、その経験を生かすにはどのような知識がどの段階で必要なのか、そうしたことをさまざまな視点から検討しなければなりません。
若手・中堅社員に対して、体系的な経験の場や知識習得の環境を整えていくことが、指導・育成していく職場の上司・先輩、そして人事教育部門の皆様には求められているのです。

さて、ここまで述べてきたことをまとめてみますと、若手・中堅社員の成長には“熟達の支援”という視点が有効であり、“熟達”はいきなりするものではなく、段階的に行われていくものです。

また、“熟達”していくためには、「良い経験の場の積み重ね」「経験から学ぶための体系的な知識の習得」が大切であるということをお伝えしてきました。若手・中堅社員を育成するにあたって大事な視点は、段階に合わせて、体系的に成長を支援していくことだといえます。


第2回では、そうした視点を大切にしながら「若手社員育成のポイント」についてお話していきたいと思います。

「若手・中堅社員を育てる」


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