総合研究所の概要

お問い合わせ

資料請求リスト

第 27号 Sカーブ分析と技術進化のパターンに基づいたイノベーション活動のすすめ( 2007 年 12月)

TRIZ Letter 第 27 号掲載

Sカーブ分析と技術進化のパターンに基づいたイノベーション活動のすすめ

学校法人産業能率大学 総合研究所教授
TRIZスペシャリスト 澤口 学

1.はじめに
今回は、近年企業においてその重要度が増している“イノベーション・マネジメント”の効果的なアプローチ方法について、“Sカーブ理論”と“TRIZの技術進化のパターン”の観点から提案するものである。
“イノベーション”にフォーカスして、技術者に対するイノベーション・イメージ調査の考察結果に留意しながら、イノベーションの4パターン分類を試みることにした。
後半では、この4パターン分類に基づいた効果的なイノベーション活動向けテクニックである 「Sカーブテンプレートに基づいた未来予測法」を紹介する。
2.イノベーションの4パターン
製品開発のイノベーションは、製品化技術の新規性から「技術的不連続=新技術(radical innovation) vs.技術的連続=既存・改良技術( incremental innovation)」の観点で分類が可能である。一方、ある業界(あるいは既存市場)の主力企業の存続を脅かすか否かで「破壊的イノベーション(disruptive innovation) vs.持続的イノベーション(sustaining innovation)」の観点からの分類も可能である。これらの分類はクリステンセンのイノベーションの観点を参考にしている。なお「新技術vs. 既存・改良技術」と「破壊vs.持続」の観点から2×2=4タイプのイノベーションパターンに整理することも可能である。

1)Sカーブとイノベーションの4パターンの関係
 各イノベーションパターンをSカーブや要求品質・性能ラインの観点から整理すると、各イノベーションパターンの特徴が明確になってくる。

a.イノベーションパターン1~【破壊的×技術的不連続(新技術)】イノベーション
b.イノベーションパターン2~【破壊的×技術的連続(既存・改良技術)】イノベーション
c.イノベーションパターン3~【持続的×技術的不連続(新技術)】イノベーション
d.イノベーションパターン4~【持続的×技術的連続(既存・改良技術)】イノベーション

3.Sカーブテンプレートに基づいた未来予測テクニック
前章を通して強調したかったことは、いずれの“イノベーション進化の予測経路”も最終的には“イノベーションパターン4”に必ず戻るということである。したがって、Sカーブの4ステージの特徴を常に意識することは必須であり、イノベーションパターン4を前提としてSカーブの発展予測テンプレートを開発できれば、他のイノベーションパターンへの移行等も、より合理的な思考で検討することが可能になるということである。
上述した背景に基づいて、イノベーション予測テクニックの一つとして極めて単純な“Sカーブ発展予測テンプレート”を作成してみた。

4.Sカーブテンプレートに基づいた事例
Sカーブ 発展予測テンプレートを活用して、いわゆるカセット式ウォークマンの発展経緯の事例を作成してみた。
ウォークマンの基本有益機能自体が新市場を創出させた革新的な機能だったので、特に成長期(第2世代~3世代)も、この機能のさらなる強化をめざして軽量化努力が継続したことがわかる。軽量化を実現する成長期段階にかけてはSカーブテンプレート(標準版)が示すように「矛盾の展開による進化(モーターの性能と大きさの二律背反の解決)」や「人間介在減少による進化(テープのオートリバース機能)」なども確認することができた。

5.まとめ
前半部でイノベーションに関する技術者のイメージ調査を通して、イノベーションに対しては多様なイメージが存在することを明らかにした。しかし、その一方で、モノづくりに関するイノベーション活動はある程度パターン化できることも筆者は示し、4つのイノベーションパターンを提案してきた。そしてこの4パターンのイノベーションは有機的に関連し合っており、その原点はイノベーションパターン4(改善活動)にあることも示した。このような背景のもとで、イノベーションパターン4の未来予測ができれば、他のイノベーションパターンへの切り替えタイミングも可能になることから“Sカーブ発展予測テンプレート(標準版)”を開発し、それを本論文の後半部で提案してきた。そしてこの手法の有効性について、ひとつの事例(ウォークマン)での検証も試みた。一つの事例だけで断定的なことはいえないが、他の事例でも現在検証中であり、ほぼ家電製品の範疇では“当てはめ性がよいこと”が確認できている。
今後は家電製品などの領域を中心にこのテンプレートを活用して、次世代製品の未来予測等に有効活用していきたいと考えている。

本要約は、極めて簡単に要約したものですべてをお伝えしていないことをお含みおきください。

TRIZをベースとしたイノベーション実践型プログラムの開発

学校法人産業能率大学 経営管理研究所 主任研究員
TRIZスペシャリスト 安達 隆男

1.はじめに
本プログラムは、平成18年度経済産業省「MOT人材育成プログラム導入促進事業」~特定企業と密接な連携のもとに実施する「技術経営プログラム開発事業」~において採択され、開発・実証授業を行ったプログラムである。
本プログラムの目的は、技術領域またはその周辺における問題解決が、顧客のニーズの充足を果たし、経営上の戦略に資するものであることを、エンジニア自身が明確な認識をもって取り組むことができる考え方の枠組みと、それを可視化できる進め方を開発するものである。TRIZを発展的に展開して、経営環境と技術的な事柄を一元的に記述する方法を開発しようとする試みである。

2.TRIZの経営戦略への適用
近年、戦略を「意図」として解釈する考え方が広まってきている。組織内部に、意図した事柄である「有益機能」と一方、意図にそぐわない事柄である「有害作用」が発生しており、矛盾が存在することが明らかである。
組織の内部環境においては、「有益機能」と「有害作用」の定義が可能であり、ほぼそのままの形でTRIZを用いて、その構造とメカニズムを捉えることが可能である。しかし、外部環境は、組織が“意図しようとしまいと”動き続けており、有益か有害かを判断することが極めて難しい。
従って、TRIZの「有益機能」と「有害作用」に良好なインターフェイスをもった、環境を表す切り口を設定しなければならない。なぜならば、外部環境と内部環境を一元的に記述したいからである。

そこで、「意図」と「事象」という表現を用いた定義を試みた。
「意図」=目的をもった行動や思い、考え。
「事象」=主体となる人の意図に関わらず発生している現象や心の中に思い浮かんだこと。
「意図」は目的と手段の関係で連鎖し、「事象」は因果関係で連鎖しており、この関係は「有益機能」と「有害作用」と同じである。

戦略の基本的なプロセスをこの「意図」と「事象」で表すことが可能である。環境把握→SWOT分析→クロスSWOT分析というプロセスでは、環境把握と分析を「事象」で、クロスSWOT分析を「意図」で表現できる。

3.内部環境と外部環境を結合し矛盾を表出する
技術的問題を含む内部環境と外部環境を繋いで一元化する。その目的は、内部環境と外部環境の間に生じている進化の違いによるギャップを明らかにすることであり、ギャップを発生させている矛盾を浮かび上がらせることである。
ここで、用いたのがSWOT分析の性質である。強み、弱みは現在の(厳密には過去の)内部環境であり、機会と脅威は将来の外部環境なのである。従って、SWOT分析の強み、弱み/機会と脅威を連結すれば、その間に矛盾の構造が表出することになる。
この矛盾を解消することは、社会的ニーズの充足や顧客満足および、競合他社への優位を実現することに繋がる。

4.問題解決と今後の研究課題
この一元図によって矛盾を解消しようとした場合、そのポイントが技術に関わる領域とは限らない。技術以外の人間的な解決方法が最も適切かもしれない。それこそが、この研究の成果として期待したいところなのである。

本プログラムに関する経済産業省公表資料URL
http://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/mot/mot2006main.pdf

本要約は、極めて簡単に要約したものですべてをお伝えしていないことをお含みおきください。

センコー(株)おけるヒューマンエラー防止への取組み

センコー 株式会社
執行役員 人材開発部長 森本 康司

物流業は労働集約型の代表業種であり、物流機能全てに人が密接に関わり、マンパワーに頼るところがほとんどです。それゆえに、人的エラー・ミスも多く発生します。ヒューマンエラー対策はどの物流企業にとっても重要な課題となっており、当社も過去からこの対策に苦慮しながら取り組んできています。

過去、当社が具体的に取り組んできたものは主に次のようなものです。

1.ヒューマンエラーの特性を作業者がよく理解すること(人間特性の教育)
2.重大事故の対策については横展開をする(事故の状況、原因、対策の共有化)
3.現場作業者を中心にしたヒヤリハット活動で早めの手を打つ(HHK活動の推進)

しかし、人間の注意力に多くを頼り、根本的なシステム対策でない限り大きな成果を上げることはできていませんでした。

このような時、TRIZの手法の一つが、ヒューマンエラー対策に活用できることを知りました。当社が注目したのは、「リスク感覚の向上」と「ヒューマンエラーの発生プロセスを理解しないと手が打てない」という2点でした。TRIZの、意図的にヒューマンエラーを発生させ、創造的な解決法を取るという点が活用できると判断しました。

ヒューマンエラー防止の社内研修は、管理監督者を対象に2日間の日程で行いました。従来対策との違いが明確にでき、未然防止の道筋ができたと評価しています。逆転発想という考え方で、現在のオペレーションシステムを点検するため、見逃していたエラーや、オペレーションシステムそのものの欠陥なども発見できること。また、リスク発生のメカニズムの解析によってそのプロセスに非常に効果的、具体的な手を打てる事が理解できました。
これを社内に広く展開するためには、専門教育を受けた人材を中心に、「研修と実践プロジェクトの組み合わせ」による展開で、底辺まで拡大していくことが望ましいと考えます。

本要約は極めて簡単に要約したもので、すべてをお伝えしていないことをお含みおきください。

ページ先頭へ

  • 導入のご相談、提案のご依頼、各種ご質問はこちらからどうぞ
  • 資料をご希望の方はこちらからどうぞ(無料)
  • デジタルカタログはこちらから
  • 官公庁・自治体職員向け研修案内
  • 総合研究所 経営管理研究所
  • グローバルマネジメント研究所
  • サンノーWebサポート
  • SuperGrace Web成績管理システム
  • マナビバサンノー
  • sannoメール登録

他のコンテンツを見る

SANNOが大切にしている活動スタンス
理想のイメージをお客様と共に創り上げるために、大切にしている活動スタンスをご紹介します。
人材育成・研修 用語集
人材育成・研修に関する用語集です。実務にお役立てください。