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第 20 号 企業の社会的責任( CSR )活動に貢献する逆転発想による創造的リスク対策( 2004 年 9 月)

TRIZ Letter 第 20 号掲載

学校法人産業能率大学 総合研究所 教授
TRIZスペシャリスト 澤口 学

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    1.はじめに
    今回は、 CSR 活動のどの部分に逆転発想思考によるリスク対策手法が貢献するのか整理してから、本手法が CSR活動に貢献する具体的内容について考察することにしたい。

    2.CSR 活動に役立つ逆転発想思考
    CSR は、概ね次の3つのステップで説明することができる。
    第 1 ステップ:企業倫理・法令遵守等によって社会責任を果たす(必要条件)
    第 2 ステップ:事業活動・革新的商品開発等によって社会革新を促す(十分条件その1 )
    第 3 ステップ:事業外投資によって社会貢献を促す(十分条件その2)

    CSR 活動全体を住宅に例えれば、その第1ステップは“住宅の基礎の部分”にあたり、この基礎を強化するためのコンクリートや鉄筋等の役割を果たすのが“逆転発想思考によるリスク・センシティブ・センスの向上”である、というのが筆者の主張するところである。

    3.倫理欠如が生み出す典型的なヒューマン・エラー“事実隠蔽行為”
    企業の不祥事例は、「リスクマネジメントの不備が招いた結果」とも言える。この背景には、最近発生するリスク(不祥事=クライシス)の大部分には、ヒューマン・エラーが絡んでいるという問題がある。筆者はヒューマン・エラーを発生させる大きな原因系の一つに“倫理欠如”があると考えている。

    4.逆転発想思考による創造的リスク対策の概要
    逆転思考アプローチを展開する中で、原因追求型アプローチ(どのようにして、なぜその問題が起こったか)だけではなかなか思いつかない革新的なストーリー展開も可能になり、過去の失敗の教訓だけでは学べないリスク対策も可能になる。そして何よりも、リスクそのものに対する感受性が高まるので、それが最終的には人間(ヒューマン)が常に抱える倫理性の欠如防止にも役立つということである。

    5.まとめ
    本手法は、“人間(ヒューマン)の倫理強化”という面から CSR 活動の第 1 ステップのみならず、第2・第3ステップでも有効であることを触れた。しかし第2ステップでは、その効果以上に、商品開発に関わるリスク対策(将来上市する次世代商品に関して先読みしたリスク対策など)というより実務的な面で役立つことが期待できる。
    さらに、第 2 ステップ(あるいはその先の第3ステップも含めて)の場合、本手法の適用によってリスク対策を行なう他に、TRIZ-DE( Directed Evolution : TRIZ レターNo. 15 ~ 17 参照)を活用して、“やがてくる社会潮流を先読みした商品開発”や“各ステークホルダーの利益(便益)を予測した事業戦略の立案”に役立てて、 CSR 活動全体をよりダイナミック、かつ合理的に進める効果が期待できると筆者は考えている。

    本要約は、極めて簡単に要約したものですべてをお伝えしていないことをお含みおきください。

    TRIZ のマーケティング活動に向けた応用展開の考え方

    学校法人産業能率大学 経営開発本部
    教育・コンサルティング部研究員
    TRIZ スペシャリスト 安達 隆男

    1.はじめに
    TRIZ の思考様式を科学技術だけではなく、ビジネスに適用する幾つかの試みがこれまでに行われてきた。私の今回の試みも同様のものであるが、異なったアプローチをとっている。この目論見は決して容易なことではないが、先人たちの知恵を大いに活用させていただくことで、可能になるだろうと考えている。

    2.TRIZ とその領域について
    TRIZ は科学技術を主領域として生まれ、進展を遂げてきた。しかし、技術システム(製品と製造プロセス)の進化は、市場との関係性を切り離して語ることはできない。
    TRIZ においては、技術と市場の関係を、「技術領域におけるリソースの組み合わせとその変遷には、複数の道筋が存在する。そのなかで市場におけるリソースと結びつくのは、特定の道筋だけである」という見方をとっている。

    3.イノベーションと技術のリソース
    TRIZ を特徴づけるものとして、「問題解決に活用可能な資源」を“リソース”と呼び、これに着目して問題解決を図ろうとする思考様式をあげることができる。そこでは、リソースを発見・認識し、それを問題領域へと導入し、その適切な組み合わせを明らかにすることが問題解決をもたらす、と考えるのである。
    TRIZ は問題解決に有用なリソースの獲得を促し、その組み合わせパターンを提供することにより、イノベーションを促進する役割を果たすものである。しかし、イノベーションとは決して技術上の領域に留まるものではない。TRIZにおいても同様の役割が期待できるはずである。

    4.イノベーションと人間社会のリソース
    著名な経済学者であるシュンペーターは、イノベーションを「新しいモノを生産すること、または新しい方法で生産すること」と定義した。同時に“新しいもの”“新しい方法”については「物質:Material」と「力:Force」の新しい結合のありかたであると定義している。これはまさに、TRIZにおけるリソースの組み合わせの考え方と一致している。また、シュンペーターは、イノベーションを技術的領域だけではなく、社会システムにおける事柄でもあると述べている。     
    5.技術システムと社会システムの対称性と相似性
    ここで、技術システムと社会システムの進化を概観し、ひとつの解釈を提案したい。検討の結果として、2つのシステムの対称性と相似性を表わすものとなった。
    5-1.技術システムの側面
    技術システムの側面においては、技術的問題解決により進化がなされていく。この進化の方向はマクロからミクロに向かっている。
    進化の流れは、(メカニカル=蒸気機関車)→(化学=ディーゼルカー)→(電気=電車)→(磁気=リニアモーターカー)などの推移を事例としてあげることができる。その進化の目指す方向は、有益機能の強化・増大と、有害機能の減少・削減という理想性の向上である。

    5-2.社会システムの側面
    社会システムの側面においては、社会的問題を解決することで社会の進展が図られている。ここではミクロからマクロへと問題が提起され、解決が図られてきた。
    では、社会システムは何が新結合して進展するのだろうか。今日において、最も重要な資源は人であり、人のもつ知識や知恵(ここでは総じて“知”と表現する)であろうし、それを現実に展開する“人の活動”であるとすることが適切であると考える。それら“知”と“人の活動”は共通の“目的”によって結合するのであろう。より高い目的を実現するには、より多くの“知”と“人の活動”がコミュニケーションによって結合しなければならない。

    5-3.技術システムと社会システムの結合
    このように見ていくと、技術システムと社会システムには対称性と相似性が存在することが分かる。また、社会システムの進展には技術システムの進化が関わる可能性が高く、それは“不可欠”でさえある。技術システムを領域とするTRIZは、社会システムを領域とする問題解決と同時に扱われることにより、その有効性が飛躍的に高まるのである。

    6.ネットワーク型社会とビジネスモデル
    社会システムにおける問題解決…というと大変に複雑で困難な命題に思えてしまう。しかし、これまで述べてきたように、この問題を『社会システムの理想性を高めるために、人の知と活動を目的に向けて合意をもって結合させること』と最小化できるならば、少しは気分が楽にならないだろうか。
    現在、まさに社会の構造変革が、ピラミッド型からネットワーク型に向けて進んでおり、それはシステム構造を呈している。そこでは絶えず新結合が生まれ、問題を解決しようとする。この状態を意図的に設計したものを、一般的な言葉ではビジネスモデルと呼んでいる。

    私は、社会システムにおける矛盾の解決については、ヘーゲルの弁証法が多くの教示を与えてくれると感じている。アウフヘーベン(止揚)を習得することが重要ではないかと考えている。
    社会システムは技術システムと異なり、過去の成功パターンが現在から将来に向けた成功を導いてくれるとは限らない。それどころか逆に、過去の成功パターンは現在から将来の失敗の元とすら言われる。このようななかで、どのようにビジネスTRIZを構成していくのか課題は多いが、実に楽しみなことでもある。

    本要約は、極めて簡単に要約したものですべてをお伝えしていないことをお含みおきください。

    (株)富士写真フイルム・三原氏の論文について

    学校法人産業能率大学 総合研究所 教授
    TRIZ スペシャリスト 澤口 学

    (株)富士写真フイルム人材開発センターの三原氏が執筆された " USIT の解説論文”についてご紹介させて頂きます。三原氏と私は、富士写真フイルムの技術者に TRIZ マインドを浸透させるために「 TRIZ 基礎コース」を担当してほしいと依頼されて以来のお付き合いです。すでに3年以上経過し、20 数回 TRIZ 基礎コースを担当いたしました。今でもほぼ1 ,2 ヶ月に1回は担当させて頂いています。
    一方、三原氏は、TRIZ マインドを学習された受講生を中心に、実務的な面での効果をあげるために、TRIZ 研修で学んだテクニックをより簡便化して使えるUSIT法を活用することで、TRIZ 手法の思考を生かしつつ、実務的な効果もあげてきておられます。もちろん USIT 以外にも、VE(価値工学)、QFD(品質機能展開)などとコンバインして TRIZ の実務的効果をあげる工夫をしている企業の方々もおられるでしょう。今回三原氏が紹介する USIT 法も、TRIZ の効果を企業内ですばやく上げていくための一手段として捉えて頂ければ幸いです。

    USIT(ユーシット)~技術革新のための創造的手法“TRIZ”の実践方法~

    株式会社富士写真フイルム
    人材開発センター 三原 祐治

    1.はじめに
    技術革新のための TRIZ の重要性・必要性について認識を持った方々が少なからずいるのに、TRIZ が会社の中で定着しないまでも、もっと積極的に利用・使用しようとする人がそれほど多くはないというのはどうしてでしょうか。
    その理由は一つに限られるものではないでしょうが、TRIZ の体系が膨大であり短期間にマスターするのはなかなか困難であることが大きな原因になっているのではないかと思われます。
    「学問に王道は無い」とは言っても、TRIZ を実行するのに誰でも簡単に実行できる方法はないのでしょうか?
    実はあるのです。それが「 USIT(ユーシット)」です。

    USIT とは、TRIZ の創始者である G.Altshuller の教えを受けた弟子の一人であるFilkovsky が1980 年代に旧ソ連の崩壊と共にイスラエルに渡り、「 SIT( Systematic Inventive Thinking )=体系的発明思考法」を開発しました。
    これを Ford 社の Dr.Sickafus が、更に企業内技術者向けに利用し易い形に改良を加えて「 Unified Structured Inventive Thinking 」(統合的構造化発明思考法)として確立。上記の頭文字( USIT )をならべたもので、“ユーシット“と呼びます。
    TRIZの現代化( Contemporary TRIZ )の中で、USIT は“ TRIZ を系統化”して、“迅速・容易に”実地適用できるようにしたものです。

    2. USIT の特徴

    A)複数のコンセプトを得るまでの手順が簡単
    B)検討のStepが明確で、メンバー間の合意が得やすく、検討の Refine をするのに無駄なく行える
    C)企業の実地問題でコンセプト生成に迅速に適用

    3. USIT の Step
    < 3-1 .問題定義>
    複雑な問題をそのまま扱うのではなく「最小化」することが必要です。
    問題定義がきっちり出来れば 7 割方対策が出来たと言っても過言ではありません。

    < 3-2 .問題分析>
    閉世界法と Particles 法はどちらか1つだけでも良いし、両方を使っても良い。

    • 閉世界法
    • Particles 法
    • Uniqueness 分析 (時間・空間特性分析)

    < 3-3 .問題解決策生成>
    下記 3 つの方法を繰り返して用いる。

    A)属性次元法( Attributes Dimensionality )
    B)オブジェクト複数化法( Pluralization )
    C)機能配置法( Distribution )

    更に、次の2つの方法によってより良い多くの解決策を得る。

    D)解決策の組み合わせ法( Combination )
    E)解決策の一般化( Generalization )

    この作業を繰り返しつぎつぎに拡張する。

    < 3-4 .優先順位の決定>
    多くの解決策群の中で、どの案が最も適切な解決策かを決定する。

    1)適用に際しての条件の合意
    2)解決策群の分類
    3)評価
    4)順位付け

    4.USITの適用例
    私たちの会社では数十の適用を行っています。その中で例えば、三原らの「プラズマフィルターの血漿抽出率の改善」には USIT を利用して得られた成果が詳しく述べられています。必要な血漿を得るための血液採取量を少なくするために、非常に多くの解決策群が得られています。

    5. USIT の企業での使い方
    ◇ USIT を使えるようになるにはどのくらいの時間が必要か?
    トレーニングは 3 日で一応の理解ができます。しかしTRIZの内容の理解のためにクラシカルTRIZ(基礎的な TRIZ )を学ばれることを強く推奨します。私たちの会社では「 TRIZ 基礎コース」( 2 日間。産業能率大学へ依頼)の受講を勧めています。

    ◇ USIT を用いて問題解決するにはどのくらいの時間・手間がかかるのか?
    標準的な場合で、2~3 時間× 5~6 会合です。1人でもできますが、課題の関係者数人で行う方がより優れたアイデア群が得られます。

    ◇ USIT はどのような利用の仕方をすればよいのか?
    問題を抱えている技術者と USIT エキスパートとが共同作業で行います。
    USITはグループの共同作業に適していますので、関連職場の別の技術者が入っていることが好ましい。1 つの職場 or 1 人のみの実行では、視点が狭くなる恐れがあります。
    是非一度 USIT を TRY してみて下さい。

    本要約は、極めて簡単に要約したものですべてをお伝えしていないことをお含みおきください。

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