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【SANNOエグゼクティブマガジン】目標による管理・人事評価制度を定着化させる運用ノウハウ抽出・共有化アプローチ 「部下の自己評価指導~自己評価のメリット創出策とデメリット緩和策」

SANNO Executive Magazine 経営・人材育成の課題解決のヒントをお届けします

 これまで著者は、シリーズで目標による管理・人事評価制度を定着化させるためのアプローチ(スキル習得・運用ノウハウ共有化)を紹介してきましたが、今回は、「部下の自己評価指導」を紹介いたします。

1.ないと不安、あれば不満の種となる自己評価

 人事評価は、評価者が自社の人事評価基準に則って、被評価者の職務行動事実にもとづき、評価することです。一方で、近年、被評価者が評価に参加する仕組み「自己評価」が取り入れられるようになりました。この仕組みの導入の背景には、「被評価者に自己PRの機会を与え評価の納得性を高める。評価者が把握できない事実をおさえる場を設けないと評価の公正化がはかれず不安である」ことがあります。とはいえ、仕組みには効用と弊害が並存しています。たとえば「自己PRにもかかわらず期待する評価がされず被評価者の不満が増大した。評価者にとっても、裏づけのない過剰評価が増え、指導しにくいとの不満が増大した」等の弊害が発生することがあります。このため、自己評価の仕組みをやめた企業もあります。
 ないと不安、あれば不満の種となる自己評価にどのように向き合い、被評価者である部下を指導すればよいのでしょうか。

2.主要なメリットを創出し、デメリットを緩和する方法で指導する

 自己評価には、メリットもあれば、デメリットもあります。まずは、そのメリット・デメリットをおさえた部下指導ができるよう手順を紹介します。

ステップ1.評価者として、難易度が高い指導業務であることを自覚する

 被評価者は、評価者と比べて人事評価の考え方や進め方を学ぶ機会が多くありません。したがって、被評価者にとっては評価の難しさや、時に評価にバラツキがあることなど、理解しにくいものです。そのような被評価者に、自己評価を適正に進めさせることは難易度が高い指導業務であることを、評価者は自覚しなければなりません。

ステップ2.代表的なメリットと創出策をおさえる(図表1参照)

 次に、自己評価の代表的なメリットをおさえ、そのメリットが引き出せるようにすることです。特に、公の場(評価面談など)で自己PRできる機会が作れるのは、大きなメリットです。実際に、「自己評価シートに今期の取り組みを記述してくれたので、寡黙な部下のよい取り組みに気づくことができた。また部下も達成感を味わうことができ、自信もついた」とメリットを強調する評価者もいます。

図表1 代表的な自己評価のメリットと創出策

 さらに、メリットを引き出すため、自己評価の際に、評価の証(働きぶりの裏づけとなるもの)を用意してもらうとよいでしょう。参考までに、7つの評価の証とその実例を図表2に挙げます。

図表2 7つの評価の証の特徴と例

ステップ3.特にデメリットに注意し、日常から緩和策に取り組む(図表3参照)

 次に、主なデメリットと対処法をおさえておきます。特にデメリットの「過剰な評価、過少な評価」には、適正に対処しなければなりません。「これだけやった」と感情的に評価面接で自己主張を繰り返す被評価者もいるようです。過剰・過少評価を完全に防げないとしても、評価の証(評価根拠の裏づけとなるもの)で自問自答させ仕事を振り返ってもらったり、評価面談で評価の証に至った状況を説明してもらい、次期への課題を見出すことにつなげます。某組織では、5段階評価で4点以上の場合、評価の証を義務づけ評価の納得性を高めています。

図表3 自己評価のデメリットと緩和策

 また、被評価者研修の実施を検討したり、すでに実施されている場合は、カリキュラムを見直し、被評価者に「評価はばらつくものである」ことを被評価者同士で気づかせることをお勧めします。図表4は、ある企業の新人事評価制度導入にあたって実施した「被評価者研修」カリキュラムです。この研修では、新人事評価制度にもとづき、自己評価を実施しました。自己評価の評価根拠となる取り組み事実、自己評価点を参加者同士でつきあわせ、評価基準の解釈のばらつきなどに気づくことができたのです。人事評価を担う人事課長が講師となれば、体験をもとに、被評価者との質疑応答も可能です。ぜひ、被評価者研修の実施や見直しをお勧めします。

図表4 被評価者研修例(1日コース)

ステップ4.人事評価制度の理解が高まる場を作る

 次の取り組みは、人事担当者も評価者も、人事評価制度に対する理解度が高まるよう、その機会を設けることです。人事担当者なら、昇格者研修等の節目に人事評価制度説明の機会を作れます。評価者も、人事部門から配布された制度説明ガイドをもとに、特定の評価項目の部門における解釈・具体化を話し合う機会を作ることができます。

ステップ5.自己評価を日常のコミュニケーションに取り入れ評価の納得性を高める

 最後に、評価面談に限定せず、自己評価を日常のコミュニケーションに取り入れることをお勧めします。以前、本連載でも紹介しましたが、某営業所長が所に戻ってきた担当者に「今日はどうだった?」と問いかけ、1日の営業活動・結果を報告させ指導していました。見方を変えれば、この報告は、自己評価です。自己の取り組みを振り返ることが習慣行動になれば、自己評価力も高まるのではないでしょうか。

 部下の自己評価指導の運用にあたっては、被評価者に、裏づけに基づく自己評価の機会を与え、適正な自己評価が進められるようにするとよいでしょう。目標設定の段階では、目標達成の成果物をイメージさせ、中間面談では、これまでの取り組みや成果物を確認させます。評価面談では、評価の証を示させます。また、キャリア面談では、今までのキャリアを振り返り、自身のキャリアを示す成果物をリストアップさせるなどです。

 自己評価等をさらに詳しく学びたい方は、拙著「目標による管理-組織成果を高める運用法、職場水準に応じた展開法」(経団連出版)を参照願います。


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