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【経営幹部育成の最前線】松尾研究員に聞く

はじめに

本学総合研究所で数々の「経営幹部育成」に携わっている講師陣の一人、松尾泰主幹研究員。

専門は管理会計で、企業の経理部門などが行う財務会計とは異なり、経営の事業戦略に会計分析を通じて関わっていく領域を得意とされています。

産業能率大学 総合研究所 松尾泰主幹研究員

産業能率大学 総合研究所 松尾泰主幹研究員

自らも銀行、さらにコンサルティング企業に勤務した経験を持ち、三つの大学院で学んで研鑽を重ねてこられた松尾氏に、現在、担当されているセミナーや学ぶことの意義、学びによって得られる視点などについて語っていただきました。

Q 働きながら三つの大学院に行かれたそうですが、その体験は現在の教える立場にとって、ずいぶん役に立っているのではないですか。

 そうですね。すでに教える立場になっても大学院に通っていましたから、教え方を学ぶという点でも参考になりました。この教え方はいいけど、あの教え方では伝わらないなど、よく見えることがありましたね。相手がわかっている前提で講義を進めてしまってはならないことや、視点を変えて考えさせることの重要性などに気づかされました。

 私の専門は管理会計という分野です。企業から派遣された社会人の方に教えるときに、管理会計の考え方というのは重要で非常に役立つのですが、初めてその考え方に触れる人に、では勉強してくださいというだけでは身につきません。管理会計のエッセンスを伝え、理解してもらうためにも、管理会計以外の学問を学んで身につけておくと、その伝達がうまくいったりするわけです。

 私はもともと銀行、そしてコンサルティング企業に勤務していた経験がありますので、さまざまな業種について知ることが多かったのですが、そうしたバックグランドに加えて、三つの大学院で学んでことによって、より実践的に企業の経営幹部育成に携われていると思います。

Q 現在、どのような講義を受け持たれているのでしょうか。差し支えない範囲でお聞かせいただけますか。

 最近増えてきているケースですが、自治体と組んでやっている事例がありまして、例を挙げますと京都府と一緒になって、経営者の方々への講義をしています。京都という土地柄、大企業もある反面、伝統的な中堅・中小企業が多いのですが、そこで課題になっているのが次世代の経営幹部育成やノウハウの伝承です。現在は技術力もあって、専門の商品を作るのもうまい。しかし、体系的にそれを次世代にどう引き継ぐかという点では弱いのです。そのあたりを学んでいただいて、自社に足りない部分を習得してもらい、後継者育成を考えていくというセミナーを受け持っています。特に短期的な視点から長期的な視点にどう切り替えていくのかといった点や、部分最適から全体最適へ、いかに見方を変えていくかということに主眼をおいています。

 この場合、部分最適というのは、ある製造技術によって短期的には売上げが確保されるような状態のことをいいます。それに対して、その製造技術が長期的に見ると衰退するのではないか、それを見越して新しい技術や部門の開発を行おうとするのが全体最適となります。短期・長期の視点の違いと言い換えてもいいかもしれませんが、そうした考え方などをお話しさせていただいています。

 たとえば100種類くらいの製品を作っている工場があるとして、そのうち1つの製品のラインが赤字だったとします。そのとき、赤字だからこのラインのあり方を改善しましょうと、改善策を積み重ねても、工場全体としてトータルの利益にならないということがあります。部分だけを改善しても全体最適にならないことが多いのです。部分最適にとどまらずに全体を見渡す視点を、管理会計の考え方から数字を示してお伝えすることが私の役目でもあるのです。

    産業能率大学 総合研究所 松尾泰主幹研究員

    Q 全体最適を考え、長期的視点を持つというのは経営幹部として身につけておくべき重要な能力であるわけですね。

     たとえば十年後にこうしたいという意欲や展望は、経営幹部を目指そうというほどの人であれば、誰もが持っているのです。しかし、アプローチの仕方がずれていることがしばしば見受けられます。全体を意識せず、自分の部署の成長といった部分最適ばかりを考えている。部分に注意を傾けすぎてしまって、全体が見えない、見えてこないという事態を招いています。

     経営幹部育成の研修を受講される方は、部門長クラスが多く、まだ経営の視点も意思決定の権限もない方が多いわけですが、そうした方々にまず取り組んでいただくのがケースメソッドです。たとえば、この企業を経営するとしたら、あなたはどんなふうに考え、どう行動するかというところを見ていく。たとえば通信企業の経営者だとしたら、どのように経営をしていくかについてケースを通じて学習してもらうと、やはり出てくるのが部分最適の考え方や行動なのです。携帯電話をいかに売るかということだけになってしまいがちです。しかし、事業というのはそれだけではありません。それにもかかわらず、関心があるもの、今あるものしか見ていないのです。ですから、部分最適、短期的思考に陥っていることをまず明確にしたうえで、そこから視点を上げていく、全体を見るという学習をしていただきます。

     受講される方々の様子を見ていると、自分は現場出身だから管理方面のことは弱いので勉強したいとか、経理部門だから営業部門のことをもっと知りたいという方が多いように見受けられます。

     しかし、人というのはそれまで歩んできた経歴で強みも弱みもあるわけで、一人ですべてを理解して回してしまおうと思わず、会社というチーム全体で考えていけばいいのではないでしょうか。もちろん自分の領域以外のことを知っておくのは大事なことですが、会社という全体の中で、自分の強みと弱みをうまく融合させていくという発想も必要です。弱みを他部門の人にいかにうまくカバーしてもらうかといったことは、それこそ人と人との関係なので、経営幹部には人間力というものも大事になってくると言えるでしょう。

    Q 「経営幹部育成」の研修を受講することがもたらすメリットを企業の教育・人事担当の方にひと言でお伝えするとしたら、どのようにアピールされますか。

     やはりこの研修を受講することによって得られる環境対応能力ではないでしょうか。右肩上がりの時代の経営幹部育成と、今の時代とでは明らかに違うと思います。国内の少子高齢化にあって日本仕様だけで考えてきたことが、今度は海外、グローバルで考え、展開していかなくてはなりません。そのときに、いきなり経営者になってきちんと考えられるのか。若いうちに経営者の視点で考える習慣をつけておかないと間に合わないと思うのです。若い社員も、反発だけでなく自分が経営者だったらどうするのかという視点があると、経営者が言っていることがよくわかると思います。代替案も出せないのに反発だけするとか、それで辞めてしまったりするのは、非常にもったいない。本人にとって大きなチャンスがあるのに惜しいと思います。しっかりと学んで、経営陣の考え方を身につけ、それが生かされる組織であれば、このグローバル時代にあっても世界を相手に成長していけると思います。ですから、教育・人事担当の方にも、ぜひ企業の経営を意識した人材教育に長期的な視点を持って取り組んでいただきたいと思います。

    産業能率大学 総合研究所 松尾泰主幹研究員


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