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【コラム】次を任せるべきリーダーの育成方法

小島吉四郎

【1】次を任せるべきリーダーは、描く・動かす・負けない

50年先を見据えたビジョンを描く

 日本の将来を考え、50年先どうなっているのかと思いおこしてみよう。

 おそらく、超高齢社会になり、電気自動車が主流になり、ロボットが活躍する時代だと推察される。映画やアニメでは、未来社会がどうなるかという点で多くの作品が生み出された。その中で描かれたロボットは、すでに実用化され、今後さらに拡大が予測される。

 このように見ると、予測するのではなく、思い描くことが重要である。次世代を担う経営リーダーおよびリーダー候補(以降、次世代リーダーと表示)は、50年先を描く構想力を持ってほしい。

 日常の組織活動の時間軸が1年、3年~5年、長くて10年という中で、50年先を見据えるには、日常の発想を転換する必要がある。多くの組織の次期リーダーは、10年くらい先までは見通せている。

 一方で、このような50年先への思いを描くことは、大変なことである。50年先を見据えているのは、社会インフラ系、エネルギー産業、自動車産業、政府系の研究機関等のリーダーである。

 将来を描く上では、「自分達は、このような社会を創りたい」、「自分達は技術面からこう貢献したい」といった大いなる思いを具体的に描く必要がある。

 この人達の共通的傾向は、国レベル、産業レベルで物事を俯瞰しているという点と、自分のしっかりとした意思(思い)があるという点である。

 50年先を見据え、描ける人が組織に1~3人位いれば、非常に心強く、周囲の人も安心してついていくことができる。

人を動かす

 役員になる人の特徴は、将来を描くと同時に人を動かすことができる人である。また、自分では動く範囲が限られている中で、いかに周囲のメンバーに仕事をやってもらうか、外部とネットワークを構築し、自組織と他組織の良い点を組み合わせて実現できる人である。 

 電気自動車の開発を見ると、基幹エンジン・蓄電池・センサー・IT分野等の組み合わせが必要である。外部とのネットワークの取れる人の特徴は、信頼感と同時にある分野での卓越した専門性があることが重要である。

 人を動かすには、描き、リードするだけの専門的知見、さらに周囲に協力してもらう交渉力が求められる。この外部とのコミュニケーションスキルは、1、2年で習得できるものではなく、蓄積したものである。現役員の皆さんは、人を動かすための内部や外部との人脈を多く持っている人が役員になって、幅広い活躍をしている。役員の人脈は蓄積したり継承したりすることが難しい。それだけに、次世代リーダーは、若いうちから外部との人脈作りが求められる。

逆境に負けず、キャリアを広げる

 将来経営幹部になる人の特徴は、逆境に負けない精神の強さがある。業績が低迷したり、逆風が吹いたりした際にどの様に振舞うかである。

 一度、本体の主流から外され、子会社に出向の扱いとなり、気持ちが落ち込むこともある。しかし、この逆境こそチャンスと思い、そこで大きな成長を遂げることがある。子会社こそ、一部門の責任者としてでなく、全体責任者として成長する機会である。

 海外の合弁の販売会社に異動となり、営業・物流・サービス・資金まで全体を見て、いかに意思決定し、管理する必要があるかを、身をもって体験するのである。

 海外現地会社の責任者になると、財務、組織、業務、現地法務の知識、さらには現地商社・政府・金融機関等のパイプ作りと大いなる経験の場がある。

 一定の知識と経験があれば、次のステップは、小規模でよいのでトップの経験を積むと大いなる財産となる。小さくても一国一城の主の経験は、大きな財産である。

【2】次世代の経営リーダーの育成法

キャリアアップの再考

 次世代リーダーのキャリアを見ると、特定の事業に15年以上従事したり、特定の部門の経験しかなかったりする候補者に遭遇する。長く10年、15年以上1カ所の経験は、深く専門的になるが、横とのパイプや視野の広がりは逆に弱くなる。次世代リーダーは、営業・技術・製造・管理部門と一通り経験が必要である。特に社長候補は、この多様な経験が必須であり、この経験を持っているとバランスの取れた判断ができる。社長以外の役員候補でも、多様なキャリアは実地の知恵・経験となり、経営者になった時に必ず活かされる。

 ただし、これだけの多様なキャリアを経験した人を育成するとなると、部門長だけでなく課長層やその下の階層から育成し、蓄積しておく必要もある。

基礎知識の早期補強

 経営管理の基礎知識の習得の早期化は、ここ5年位の間にかなり進んでいる。階層別や職種別の知識習得が傾向となっている。IT業界では、マーケティングや交渉力は、3年目以下は必須学習である。また財務は、課長以前に習得済みが要件となっている。 

 このように見ると、次世代リーダー育成と階層別学習、職種別学習との整合性が求められる。

 重要なのは、基礎知識は、自社および外部とコミュニケーションする上での予備知識・思考フレームであり、知って使っていないと相手とのコミュニケーションギャップが発生する点である。
 それだけに、計画的な階層別育成との連動性が求められる。

 階層別研修を組んで、その中で、目立った人を人事がマークし、計画的にジョブローテーションさせ、役員候補に育てるのも一つの方法である。

人の育成はトップとの二人三脚

 人は、組織成長の重要な源泉である。ある人が機軸となり、外部との新たな商談発掘できる。
ある人が中軸になって、プロジェクトメンバーの営業・技術・開発・生産・品質保証をうまくリードし、収益を拡大し、大きな事業になる。

 このように人は重要であるが、成長には時間を要する。それだけに、時間と費用をどこに投下するかの判断が求められる。またトップとして育成への思いをメッセージとして発信することが重要である。昔は、工場の中で一緒に物作りをし、一緒に語り合い、世界での夢を語り合うことができた。巨大企業の場合、何十万の人をどう育成するかは、至難の業である。しかしやっていないとじわじわと後で響いてくる。

 それだけにトップの大きな理想と思いを一つにし、具体化することが必要である。

【3】次世代のリーダーを育てるには、一過性でなく仕組み化が必要

長期的な役員・事業部長・部門長・課長の人数想定

 役員の任期制、役員の交代を視野に入れると、必要役員数試算が必要である。たとえば3年後3人の役員が必要と仮定する。この3人の役員を支える事業部長はかける3人で合計9人と仮定する。

 さらに事業部長を支える部門長がかける5人で45人必要と仮定する。さらに、この部門長を支える課長が倍で計90人と仮定する。このように、経営を継続的に成長させるための人の育成と確保が重要となる。

 期中に経営の中核リーダーが突然、諸事情により退職しても、事業運営が安定する人の創出ができる仕組みが重要である。

人の見極めは多様な視点で

 人の側面を見る場合、いろんな視点がある。情熱を持っているか、人に対して配慮があるか、経営を運営する上での知識や管理ポイントを持っているか、さらには、キャリアとして十分経験を積みバランスが取れているか、さらには上位者、社長(社長候補)との相性が良いかなどである。

 一人の人が見た視点では偏りがあり、多面的かつ総合的な慎重な判断が必要となる。

 成人病や重大疾患になると各種検査データや問診、触診などを駆使し、多様な症例を参考として対処を決める。このように病院の場合、一人ひと