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【SANNOエグゼクティブマガジン】ストレスチェックの集団分析のすすめ!

SANNO Executive Magazine コラム【経営の視点】

 みなさまの企業では、ストレスチェックはお済みでしょうか?

 企業の担当者は、ひとりでも多くの社員にストレスチェックを受検してもらうためにご苦労をされているのではないでしょうか。

 従業員50名以上の事業所では、2016年に初めてのストレスチェックを経験したわけですが、その結果をどのように活用されているでしょうか。

 多くの事業所では「やりっぱなし」になっているのが実情のようです。その背景には、ストレスチェックの個人結果が「個人情報としての高度な保護」を必要とされる性質のもののため、結果の活用は「個人に任せるほかない」という思い込みが存在しているように思われます。あるいは、初めてのことのために、うまい活用の仕方にまで気が回らなかったということもあるでしょう。しかし、これではストレスチェックの本来の目的を達成することはできません。

 そこで、ストレスチェック2年目を迎えるにあたり、効果的なストレスチェック制度の活用の仕方について考えてみたいと思います。

2016年のストレスチェックの実態

 ストレスチェック制度の目的は、言うまでもなくメンタルヘルス不調を未然に防ぐことにあります。

 メンタルヘルスには「メンタルヘルスの段階」という基本的な考え方があります。メンタルヘルス不調者早期発見の一次段階、対応の二次段階、治療と再発予防の三次段階と分けられています。企業におけるメンタルヘルスへの対応は、一般的には二次段階、つまりメンタルヘルス不調者への対応からスタートしているのが実情です。現実問題として、多くの企業で二次や三次段階への対応が急務となっていることから、企業におけるメンタルヘルスへの対応は、ついつい「個を対象」としたものになりがちです。これが前述の思い込みにつながっているのかもしれません。

 今回のストレスチェックでは、一人でも多くの従業員に受検してもらうために、人事・総務、あるいは衛生委員会からさまざまな働きかけが行われてきました。しかし、現場の問題意識はそれほど高くなく、多くの従業員、あるいは管理職でさえ言われたから受検するというような状態だったのではないでしょうか。つまり、メンタルヘルスの重要性、ストレスチェックの意義や活用の仕方といった基本的なことを知らないまま、単に受検したというのが今回のストレスチェックの実情のようです。

 私たちの課題は、この実態を改善していくことにありますが、私は、「集団分析の上手な活用方法」による改善が効果的ではないかと考えています。

集団分析とは

 ストレス予防の一次段階には、大きく分けて二つの対策があります。

 一つ目は、一人ひとりが行うセルフケアとしてのストレス管理です。この充実のためには、従業員一人ひとりが自分でストレス状態に気づき、そのマネジメントができるようにストレスやメンタルヘルスに関する知識や手段を身につけてもらうことが必要です。

 二つ目は、職場環境の改善です。ストレス原因としての職場環境を人間関係だけではなく、職場の役割や課題、業務量や配置の適正化などの側面からも把握し、業務の改善を行っていこうというものです。職場の業務改善を進めることで、職場のメンバーがメンタルヘルス不調に陥ることを未然に防ぐ効果が期待できます。

 今回活用をお勧めする集団分析とは、この二つ目に対応するものです。毎年のストレスチェックの実施で改善を重ねていくことで組織全体の「働き方」の改革へもつなげることができると考えます。

集団分析の活用の具体的な進め方

 進め方の概要は、部門長・部長クラスが研修会でストレスチェックのデータに基づく集団分析結果を読み込み、職場におけるストレス要因を評価したうえで、職場環境改善につなげるための目標設定を検討します。そして、研修後に各職場で課長やメンバーと共に、目標に対しての具体的な取り組み内容をグループ討議で決めていきます。職場の特徴やメンバーの意見を盛り込むことによって無理なく実施できるように進めていきます。具体的に進め方を解説いたしましょう。

 1)集団分析前の準備
 集団分析を行うには、やはりメンタルヘルスの基礎知識が不可欠となります。そこで、このあたりの理解に不安がある場合には、集団分析の前にメンタルヘルスと、そのラインケアについての勉強会を行う必要があります。これには半日程度の時間が必要になります。

 なお、集団分析では、万が一にも回答者が特定されてしまうようなデータの取り扱いは許されません。この部分の安心が担保されない企業は、従業員がストレスチェックを受検しなくなります。そこであらかじめ衛生委員会で、集団分析の下限人数の設定や情報の閲覧者についてのしっかりとしたガイドラインを設けておく必要があります。私は、集団分析においては、部門長あるいは部長クラスまでが分析の実施者となれるガイドラインとすることをお勧めしています。

 2)集団分析研修による職場環境改善の進め方
 集団分析研修は、部門長・部長クラスが対象となります。ここでは、ストレスチェックに基づくデータ分析の仕方を学び、自らが関わっている職場集団のストレス、メンタルヘルスの状況の診断を行います。職場の健康状態の把握と言って良いでしょう。そして、「強み」や「弱み」などの目立つ対策領域についての分析を深めます。この際、ストレスチェックの結果であるデータを客観的に読み込んでいく必要があります。併せて、結果の背景にある職場運営上の課題や業務量、分担の状況などについても整理する必要があります。自らの関わる職場だけに様々な思いが入り込んでしまいますが、できる限り客観を心がけ、正しく把握するために、研修スタイルでは、時にグループやペアワークでの検討を行ったりします。

 分析のアウトプットとしては、改善目標の設定と職場における改善活動についての展開方法の検討を行います。この検討結果を職場に持ち帰り、部下たちと具体的な改善活動の検討を行うのです。


表1:集団分析による職場環境改善等、検討のステップ

表1:集団分析による職場環境改善等、検討のステップ

 3)参加型の職場環境改善ミーティングの開催
 その後、課単位で集まり、部長・部門長と課長、メンバーで、目標に対しての具体的な取り組み内容をグループ討議で定めていきます。課長がファシリテーター役となり、これから行うミーティングの目的、進め方、時間配分について説明を行います。


表2:参加型の職場環境改善ミーティング概要

表2:参加型の職場環境改善ミーティング概要

 以上のように、部門長が中心となり、課単位で職場環境改善を働きかけ、職場の特徴やメンバーの意見を盛り込んだ取り組み案を出すことで、メンバーを巻き込んだ活動として進めることができます。このような取り組みは、メンタルヘルス不調者を出さない健康的な職場づくりにつながると考えます。


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