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コンプライアンス推進活動を一歩進める“共通認識”の醸成 【第3回 コンプライアンス推進に向けた方向性 その2:共有・共創型アプローチ】

 前回は、コンプライアンス推進のためのトップダウン方式「統制型アプローチ」を取り上げました。最終回となる今回は、もう一つの方式「共有・共創型アプローチ」をご紹介します。

横のつながりをつくる

 「共有・共創型アプローチ」の取り組みにおいて、とりわけ大事なのがトップマネジメント(経営層)の構成メンバー同士の対話です。
 社長だけがリーダーシップを発揮するのではなく、ボードメンバーである役員などの経営幹部が互いにシナジー効果を発揮しつつ、全体として同じ方向を向いていないと、このアプローチはうまく作用しません。トップマネジメントが対話を通じて意識を合わせることで共有・共創型アプローチのベースが作られます【表1】。

【表1】「共有・共創型アプローチ」の取り組み例

【表1】「共有・共創型アプローチ」の取り組み例

共有・共創型アプローチにおいても仕組みづくりは重要です。
ただ統制型アプローチとは異なり、部門横断的なつながりをつくっていくことが大切になってきます。
 例えば役員研修において、トップマネジメント(経営層)のメンバー同士の対話に次世代メンバーを入れて対話型教育を進め、連携を強化させる仕組みをつくっている会社があります。そのプロセスでは、次のトップとして誰が適任かを定めていくねらいもあり、継続した取り組みが行なわれています。
 現場では、従業員一人ひとりがトップマネジメント(経営層)の思いを受け止め、自分の言動を見直し、行動の変容をはかることが大切です。互いに異なる価値観を受容し、唯一の正解のない事例を用いた対話を続け、既存の企業文化や職場風土に働きかけていく、また新たな文化や風土をつくっていくことが必要になってくるのです。

共有・共創型アプローチにおける2つの概念

 共有・共創型アプローチの考え方では、大事な概念が2つあります。
 ひとつは「相互理解」です。互いに本音で話し、メンバーがどのような価値観を持っているのかを互いに理解し受け入れていくことがポイントです。一人ひとりが自律して物事の良し悪しを考えられるようになっていることが、コンプライアンスを推進していく上で非常に大切なことであると考えます。
 もうひとつは、「ダイバーシティ体制」です。相互理解にも通じますが、互いの違いが尊重され受容されたうえで、一人ひとりの個性や能力が存分に発揮されていること、そして仕事に誇りを持って働いていること、これらがダイバーシティの核です。すなわち多様性の受容とそのポテンシャル(潜在的な能力)の発揮の場の提供です。
 あと50年もたたないうちに、日本の人口は今の3分の2(8600万人位)まで減少すると言われています。このような時代にありながら、もし目の前にいる人材を大切にできないのであれば、そのような会社は生き残れないでしょう。
 ダイバーシティとは、国籍や性別、信条、宗教等の違いだけでなく、働き方や人生観(生き方)の相違、価値観の違いを含んだ概念です。どう生きていきたいのかという生き様そのものと言ってもいいかもしれません。
 このように共有・共創型アプローチとは、統制型アプローチと異なり、経営層と管理職層(施策推進担当部署)と現場が、立場の違いはあっても、組織のメンバーとして互いに尊重し合いながら有機的に結合している組織をイメージしています。
 そのため情報の発信はトップの経営層からだけではありません。管理職層からも現場からも発信します。お互いに本音をぶつけあって、組織のより良いあり方を真剣に探し求めることができるような、トップダウンでもボトムアップでもなく、ミドルアップダウンで進めていく方策です。

共有・共創型アプローチを機能させるための役割

 共有・共創型をうまく機能させるためには、経営層、管理職層(施策推進担当部署)、現場がそれぞれの役割を果たす必要があります。

 【経営層】
 ・事業の社会的意義(存在意義)や大切にしたい価値観を自分の言葉で繰り返し発信する。
 ・社員一人ひとりを身内(仲間や家族)として信頼し、感謝していることを伝える。
 ・社員一人ひとりの思い、現場のジレンマに耳を傾ける。
  ※経営者としての覚悟をもち、芯の通ったしなやかさと誠実な前向きさをもって職務を執行
    します。
 【管理職層】
 ・自部署の役割や業務の意義を自分の言葉でメンバーに繰り返し伝える。
 ・メンバーの意見(本音)をフラットに聞く機会を設ける。
 ・節度を保ちながら思ったことを言える関係性や職場の雰囲気をつくる。
  ※風通しの良い組織をつくるためには管理職層がキーパーソンになります。現場を巻き込み、
   トップマネジメントに働きかけるという大切な結節点の役割です。
 【現場】
 ・積極的な対話の場をつくる。
 ・現場の思い、モヤモヤ、ジレンマを本音で共有する。
  ※コンプライアンス推進担当部署が中心となって対話の場をつくり、現場におけるキーパーソ
   ンをサポートします。コンプライアンスで問題となりうるグレーゾーンの事例についても本
   音で話し合える関係を構築します。

2つのアプローチのブレンディングで共通認識を醸成する

 「共有・共創型アプローチ」を機能させるためには、【図1】にあるように、企業文化や職場風土をベースに、トップ・現場・コンプライアン推進担当部署の目指す方向が一致し、それぞれがつながっていることが大事です。そして、新しい企業文化・職場風土づくりを意識した取り組みになっていることが求められます。

    【図1】「共有・共創型アプローチ」を機能させるためのポイント

【図1】「共有・共創型アプローチ」を機能させるためのポイント

 前回そして今回と、「統制型アプローチ」と「共有・共創型アプローチ」をそれぞれご紹介してきましたが、どちらの方が良いということはありません。いずれも、トップ、推進担当部署、現場が一つにつながっていることが重要です。そして、ぜひお勧めしたいのが、【図2】にあるように、両方を上手にブレンディングし、一方では、基準を設けてモニタリング・監修しながら仕組みをしっかり定着させ、他方では、問題意識を伝え本音を共有し、文化・風土をつくっていく。それによって組織としての「共通認識」を醸成していく方法です。この「統制型アプローチ」と「共有・共創型アプローチ」のブレンディングがコンプライアンス推進活動を進める際の肝になることを強調しておきたいと思います。

   【図2】「統制型アプローチ」と「共有・共創型アプローチ」のブレンディング

【図2】「統制型アプローチ」と「共有・共創型アプローチ」のブレンディング

 最後にこのテーマでの取り組み例をご紹介します。目的に応じて柔軟にアレンジが可能です。ご興味のある方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。

  【図3】コンプライアンス推進活動の例

【図3】コンプライアンス推進活動の例

【図3】コンプライアンス推進活動の例


お問い合わせはこちらから



(学校法人産業能率大学 経営管理研究所 主任研究員 赤松育子)

各テーマをクリックすると、内容ページへ遷移します。

連載 テーマ 公開日(予定)
コンプライアンス推進活動を一歩進める“共通認識”の醸成 2017年3月6日
第1回 コンプライアンス推進を阻む問題や背景とはなにか 2017年3月6日
第2回 コンプライアンス推進に向けた方向性
その1:統制型アプローチ
2017年3月15日
第3回
(最終回)
コンプライアンス推進に向けた方向性
その2:共有・共創型アプローチ
2017年3月28日
テーマは若干変更することがあります。予めご了承ください。
著者の所属・肩書きは掲載当時のものです。

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