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【SANNOエグゼクティブマガジン】これからの採用活動のあり方 ~採用戦略の成否が企業の存続を左右する時代に〜

SANNO Executive Magazine コラム【経営の視点】

1.今、日本の人事の課題は

 企業の人材戦略を考える上で避けられない前提として、少子高齢化問題がある。最高で1億3000万人に達したわが国の人口も、国連予測で2060年には約8700万人まで落ち込むという。このうち、65歳以上の老齢人口は全体の4割に達する見込みである。政府は雇用年齢の引き上げ、出生率の向上に向けて施策を検討し始めているが、働き手(生産年齢人口)の大幅減の基調は今後も続いていくであろう。
 このように企業を取り巻く環境が日々劇的に変化する中、皆さんの組織ではどのような対応を取られているだろうか。

2.これからの採用戦略の3つの視点

 人口減少、少子超高齢を突き進む中、今後、その道を切り拓く若い世代が向かい風に絶望するのでなく、逆に、未来に期待できる希望の灯台として機能するような人事活動をしていかなくてはならない。とりわけ、人事フローの入口である採用活動は企業の存在可能性を左右する重要な戦略デザインの始点となる。

(1)資源から資産へ、とりわけ無形の組織・人的資産の確保に注力する

 資産は有形、無形の2つに分けられるが、人間は有形、人間が抱く働くことの意味の発見や確立は無形の資産と言える。経営者からよく「どうすれば人材を確保(採用)できるのか」という質問を受けるが、これは企業規模に関わらず正に多くの人事部門が抱えている課題である。

 企業にとっての無形の資産とは、採用担当者の所属する組織と担当者個々人の(組織を超えた)人的ネットワークと企業ブランディングであり、その拡張、構築に努めることが求められる。採用担当者と大学・諸機関との交流や人脈というチャネル、そして自社の経営者、幹部社員、社員の中に一人でも多くの採用、それに繋がる教育に関する支援者、いわば人事活動のメンター的存在が重要である。

 そして、もう一つの企業ブランディングは、他社に模倣不可能な「見えない価値」の構築である。数字では計りにくいこの価値が企業の差異化要素となって競争優位に立ち、長期的に成功するためには欠かせない重要な資産となる。
 ブランディングはまさに目に見えない企業資産を創造することである。資産とは、例えば「適性検査はA社のBテストに限る」「C百貨店のメンズのリクルートスーツであれば間違いないだろう」といったものである。企業にとってこの資産は有形/無形財産とは関係なく、消費者の”心”にイメージとして蓄積されて行く。つまり、我々が日常生活を通して何気なく思っていること、そしてその潜在イメージに基づく行動そのものが、企業にとって極めて重要な資産となっているのである。

企業ブランディングの構築こそが採用活動成功のプラットホームである

 実は、企業の高いブランド効果がもっとも発揮されるのが、採用段階における人材の獲得シーンである。就職活動の起点は1人60社超とも言われる“エントリー”だが、多くの学生はどうしても大手有名企業に惹かれる傾向が強い。毎年発表される「就職したい企業ランキング」に入っている企業が必ずしも取り立てて良い条件を提示しているわけではないが、そのほぼすべてが高いブランド力を持つ企業といっても過言ではない。

 しかし、中堅、中小企業にチャンスがないかというとそうではない。採用活動を通した企業のブランディングは、最初に接するリクルーター自身が、説明会等の場で、自社での感動したシーンや出来事を率直に語ることで、学生に感動を呼び起こすことができる。また、面接の際の人事、採用担当者は、学生からの質疑に対して自分の言葉で明快に応答、発信できれば、学生自らが会社の魅力やそこで働くことの意義を見つけ出せることになり、このプロセス自体が採用のプラットホームを形成し、ブランディング構築を促進することになるのである。

(2)人生の移行、変身を支援するマルチプルな機会とその仕組みを作る

 人が100歳まで生きていく時代において、環境の変化、業況の変化に関わらず、大半の人は自身のキャリアを一つで終わらせることは難しく、どこかの時点でそれを移行、変身せざるをえなくなる。
 学生から社会人への移行・変身時に、数日間のインターンシップだけでは移行・変身の意義を知り、その会社や職務を知ることはできない。すなわち、新卒採用においては、早期から長期間の擬似就業において複数の興味ある部門を経験してもらうことが望ましい。そうすることによって、事業、組織の実態が見え、体感を通じて現実を受容できるのである。そしてその会社で働くことの意味づけと動機を「自分事」として確認、検証することができる。
 これらのインターンシッププロセスにおいて、会社は大学1年次からエントリーすることを可能とする「パス」を発行し、複数回の選考を設け、学業やクラブ活動の状況によって、学生が選択権のオプションをもつことができる、いわば「主体的キャリア」を形成する機会を提供する。
 一方、経験者(キャリア)採用でも、仮格付けとして1年間働き、そのうえで会社と本人の間で面談を通してすり合わせの場を持ち、その後の雇用継続を双方で決定していくことができると考える。

(3)体系的・長期的な視点を持った採用・教育活動の確立に「人材カルテ」の導入を

 採用担当と育成担当との間には、緊密な連携が行われていない場合がある。採用と教育の部門間の垣根をなくし、両活動において綿密に連携を取れるような人材の交流配置や組織再編成を行うことが喫緊の課題と言える。
 下図に示すように、人材の採用から配置・育成、退職までを大きな一つのフローとして捉え、体系的、長期的な視点での採用・教育活動の統合をはかっていく必要がある。
 人材の採用に始まり、発育(養い育てる)、育成を経て成長する過程で活性化、適材適所を考えることが人材フロー・マネジメントのデザインの基本である以上、それらをしっかりとつなぐこと。そして、人材の社内におけるキャリア形成のために、「人材カルテ」という人事部門全担当者の共通のツールを策定し、それに基づいて、体系的、長期的な視点での採用・教育活動の統合をはかっていく必要があると考える。

人材フローマネジメントデザイン

3.これからの人事(採用)担当者に期待するもの

 これからの人事(採用)部門の担当者は戦略的なマネジメントに移行、変身し、自らが感動するような人材開発、突き詰めていくと自己開発のシナリオを描く作り手であり、行い手であるとの認識を持ってもらいたい。そして自ら描いたシナリオに基づき人事の諸活動を展開することによって、感動を社員とともに分かち合うことを期待したいのだ。そのための大切な最初の一歩がインフローとしての人材の採用なのである。

『人事(採用)担当者は、経営者の考えをわかりやすく伝える翻訳家であり、自らの事業を経験し、熟知している経営戦略の啓蒙者である。そして、経営活動そのものを誰よりも鋭い視点、広い視野、高い視座で理解している、組織変革のドライバーなのである。』


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