総合研究所の概要

お問い合わせ

資料請求リスト

【SANNOエグゼクティブマガジン】“考える力”は充分ですか? ~便利は人をダメにする!?~

SANNO Executive Magazine コラム【経営の視点】

便利は人をダメにする!?

昨今の科学技術の進展には目を見張るものがあります。IoTという言葉が世に出てから10年以上が経ち、最近ではもっぱらAI(人工知能)に注目が集まっています。IoTやAIをどのようにビジネスに活用していくかに頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

野村総合研究所は2015年に「人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業」を発表しました。これまで人間を介在していた業務が人工知能やロボットに取って代わり、右を見ても左を見ても人の姿が見つからない環境も、そう遠くはない将来にやってくるかもしれません。

科学技術の進展によりロボットやコンピュータに“考える”能力が備わっていく一方で、人間はどうでしょうか。“便利は人をダメにする”とはよく言ったもので、世の中はまさにその通りになりつつあります。人間がこれまで自分の頭で行ってきたことを、代わりに我々が作った人工物がやってくれている状況が至る所にあります。

たとえば、分からない事柄が出てきた場合、PCやスマートフォンを使い、検索ツールで調べる人も多いのではないでしょうか。筆者が担当する研修中でも、時折見られる光景です。しかしこれは悪いことではありません。知りたいという知的欲求が背後にあることは喜ばしいことです。問題なのは、「検索しても情報が出てこなかった場合にどうするか」です。筆者が気になるのは、分からないことが出てきたら検索はするが、情報が出てこなかったときには諦めてしまう、つまり思考停止に陥ってしまう人が多いことです。

つい数年前、検索ツールがこれほどまでに充実する前は、我々は分からないことがあったとき、もっと自分の頭で推測したり、仮説を立てたりしていなかったでしょうか。好むと好まざるとに関わらず、必然的にそうせざるを得ない環境でした。

他にも、PCを使って文書作成することで「読めるけれど書けない」漢字が増えたり、スマートフォンのメモリーが記憶してくれるので電話番号を覚えなくなったり、カーナビが道案内してくれるがために目的地までの道順を工夫して考えなくなったりと、枚挙に暇がありません。

近年は、どんどん「頭を使わなくても済んでしまう」環境になってきているのではないでしょうか。この傾向は、冒頭に述べた科学技術の進展により、この先も一層続くものと容易に推察できます。

思考力とは

ではそもそも、頭を使って考える「思考力」とはどのように捉えればよいのでしょうか。さまざまな見方がある中で、下記のように捉えることもできるのではないでしょうか。

思考力 = 考える基礎体力 × 考えるフレーム

身体で例えると、筋肉はトレーニングをすると鍛えられ、強化されます。脳でも同じことが言え、普段から使っていると活性化され、しばらく使わないと鈍ってしまいます。これが“考える基礎体力”です。

一方で、スポーツなどで上達しようとすると、がむしゃらに練習するだけでなく、コーチからフォームやコツを教えてもらって練習した方が効率的です。思考力を向上させる際にも、自分なりに考えるだけでなく、ちょっとした考え方のコツであったり、考える際の観点、手法などを持ち合わせていると、複雑な事柄でも論理的に整理できたり、独創的なアイデアを出すことができたりします。これが“考えるフレーム”が意味するところです。

ここで重要なのが、“考える基礎体力”と“考えるフレーム”は両方とも必要であるということです。頭を使い続けることは重要ですが、がむしゃらにやり続けているだけでは限界があります。学習することにより、うまく考えるためのコツや手法なども取り込まなければ、思考力はなかなか向上しないのです。

考える基礎体力を伸ばす - 仮説・推測力を補うフェルミ推定 -

考える基礎体力を伸ばすためには、考えることを習慣化することが必要です。表現を変えると“思考停止に陥らないこと”です。上述したように“検索グセ”が蔓延する現代で、情報が出てこなかったらその先を思考することなく諦めてしまう傾向にあります。

さまざまな方法論がある中で、「フェルミ推定」を実践することも効果的です。フェルミ推定は、算出するのが難しいとらえどころのない量を、いくつかの手がかりを元に論理的に推測して結論を導くという手法です。例えば、「日本全国に電柱は何本あるか」といった類の問いに対して、手がかりを元に結論まで導くのです。実際には3000万本強あるのですが、結論を導くアプローチはさまざまです。例えば日本の国土面積と、単位面積あたりの電柱の数を推定したり、あるいは電柱は基本的には各世帯に電力を届けるものであることから、日本の世帯数を拠りどころにして検討するなどです。

フェルミ推定では、アウトプットは正確でなくて構いません。多少の誤差は許容しつつ、短時間で、どのような手がかりを元にアウトプットを導いたかというプロセスを重視します。

このようなトレーニングをすることにより、思考停止に陥らず考え抜くことを習慣化する効果があります。業務において部下に調査を依頼した時にも、「調べましたが、出てきた情報はこれだけです」という、結論までたどり着かないような報告をされたのでは困ります。「調べた結果出てきた情報はこれです。この先は私の仮説ですが・・・」と自分で考えて結論まで導いて報告して欲しいものです。

考えるフレームを伸ばす - さまざまな角度から事象を捉える観点 -

筆者が担当する研修の受講者から「なかなか自分の枠組みから抜け出せず、狭い範囲でしか考えられない」という声をよく聞きます。さまざまな角度から物事を捉えてくださいと言うのは簡単ですが、抽象的に言われてもなかなか実践できないものです。そんなときにはよく「視点・視野・視座を変えて検討してみてください」とお伝えします。

  • 視点を変える:物事や現象を見る際に、逆を想定してみたり、言葉の意味に着目してみたりと、着目点を変えること
  • 視野を変える:物事や現象を見る際の範囲(物理的な範囲や、長期・短期などの時間軸)を変えること
  • 視座を変える:物事や現象を見る際の立場(自分や上司、部下、他部門など)を変えること

このような切り口を持ち合わせておくことにより、思考にモレや偏りなく検討を進めることができたり、新しいことに気づけたりといった効果が期待できます。
世の中には考えることをサポートしてくれる手法は数多くありますので、使い方を理解した上でうまく活用したいものです。

おわりに

2005年にこの世を去ったドラッカーは「人的資源こそ生産性向上の主たる機会である」と言いました。経営幹部の方々は設備や技術のマネジメントに目を向けがちですが、もっとも効率が悪く、マネジメントに力を入れなければならないのは人であるということです。逆に言えば、人には生産性向上の余地があらゆるところにあるということを示しています。うまく能力を引き出してあげると、2倍にも3倍にも活用できるのではないでしょうか。

今回ご紹介した方法論はほんの一例ではありますが、今一度社員の皆様の“考える力”を伸ばし、さらなる生産性向上に繋げることを考えてみてはいかがでしょうか。


お問い合わせはこちらから

ページ先頭へ

  • 導入のご相談、提案のご依頼、各種ご質問はこちらからどうぞ
  • 資料をご希望の方はこちらからどうぞ(無料)
  • デジタルカタログはこちらから
  • 官公庁・自治体職員向け研修案内
  • 総合研究所 経営管理研究所
  • グローバルマネジメント研究所
  • サンノーWebサポート
  • SuperGrace Web成績管理システム
  • マナビバサンノー
  • sannoメール登録

他のコンテンツを見る

SANNOが大切にしている活動スタンス
理想のイメージをお客様と共に創り上げるために、大切にしている活動スタンスをご紹介します。
人材育成・研修 用語集
人材育成・研修に関する用語集です。実務にお役立てください。