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【SANNOエグゼクティブマガジン】これからの組織変革マネジメント -プロ経営リーダーに代わるもの-

SANNO Executive Magazine コラム【経営の視点】

経営のあるべき姿

仕事は楽しいですか? 働き甲斐を感じていますか?

この問いに対して、皆さんはどんな回答をなさるでしょうか? 自分の居る組織や家庭に何らかのストレスや問題を抱えていたりすると、そんな気持ちにはなかなかなれないものです。経営の対象は「国家」「企業」「家庭」といわれていますが、今回は、企業について考えます。

企業経営側の立場からすると、『企業の目的は、営利を手段として、永続すること』です。そのためには、円滑な組織運営をし、業績成果を上げ続けることです。従業員の能力とやる気を高めることが、その推進エンジンとなります。
従業員側の立場からすると、様々な期待や価値観を持って入社し働くでしょうが、基本的には『この組織で働き甲斐ややりがいを持ち、自己も成長し、楽しく仕事を続け、家計のために収入を得たい』と考えていることでしょう。

こうした企業経営側と従業員が手を携えて、双方が勝利(Win-Win)するには何が必要なのでしょうか?

組織の問題

企業経営側と従業員が手を携えて『理想の組織の姿』を目指すには、まず問題解決が必要となります。しかし今の経営組織には多くの問題が存在しています。それを「複雑な問題=complex problem」または「やっかいな問題=wicked problem」といいます。

この問題の原因は無数にあり、言葉で説明することが難しく、また寄って立つ基準や物差しも見当たりません。また、経営レベルのもの(ガバナンス問題、様々な戦略・経営資源・企業間や部門間に関する問題etc.)から現場レベル(コンプライアンス・経営資源の希少性・コミュニケーション問題etc.)まで多岐にわたります。これらの問題は過去に解決した経験のある「こなされた問題」の対極に位置づけられるものです。

「複雑な問題=complex problem」「やっかいな問題=wicked problem」とは、
 ・関係するステークホルダーの数が多く、しかもその価値観や優先順位がそれぞれ異なる
 ・問題の原因が複雑に絡み合っている
 ・取り組みにくい問題であるうえ、どのような取り組みも問題そのものが変化する
 ・取り組んだ経験がまったくない
 ・何が正解なのかがわからない
 ・繰り返し発生し、なかなか根絶できていない
といわれるものです。

しかし、優秀な経営リーダーはこの「複雑な問題=complex problem」に取り組み、うまく経営成果を出し続けています。

Jリーグ創設に携わった川淵三郎氏は「B.LEAGUE」立ち上げに際し、『これまで三つの問題があった』と簡潔な表現をしていました。プロの経営者といわれるカルロス・ゴーン氏も、『アマチュアは問題を複雑にし、プロは明晰さと簡潔さを求める』といっています。そして担当した企業の問題を絞り込み、組織横断プロジェクトを創り問題解決を推し進め、迅速に意思決定し、その「再生の道筋」を創り上げました。

戦略の専門家ラッセル・エイコフ氏は、「問題解決に失敗するのは、正しい問題に対する間違った解を求めるというよりは、間違った問題を解くということによるほうが多い」といっています。つまり『最初に設定した問題自体が見当違いであることのほうがはるかに多い』ということです。またP.F.ドラッカーは『間違った問題に対する正しい答えほど始末に負えないものは無い』といっています。

先にあげた優秀と目される経営リーダーは、「組織の問題は何か?」の簡潔な答えを持っていました。

プロの経営リーダーに代わるもの・・・2つのOSの話

しかし、川淵氏やカルロス・ゴーン氏のようなプロの経営者を招聘できる組織は稀です。高い報酬とサポートスタッフを雇い入れるだけの資金力も必要となります。そうしたことから、組織の変革活動推進にあっては、プロ経営者に代わるものが必要となります。それがChange System OSです。

コンピュータシステムは、通常ひとつのOSで動いています。変化の「加速性=スピードが幾何級数的」「断層性=過去の延長線上にない未来」「波及性=ネット社会」の高い不透明な時代の中で、多忙を極める経営者・管理者・従業員が「組織の問題解決」という大掃除をするのはなかなか至難です。その理由はいろいろあります。

1.過去の成功・・・過去も上手くいったから何とかなるという意識で、成功を重ねれば蔓延((はびこ)っていきます。組織慣性

2.現状に忙殺・・・事態を本質的に革新するようなアイデアを練るよりも、何をすべきかが明確で、しかも納期がさし迫った仕事に追われがちになります。計画のグレシャムの法則

3.他者に依存・・・自分がやらなくても誰かがやってくれるという意識です。社会的手抜き/傍観者的学習

こうした阻害要因を克服し、組織の大掃除「変革活動」を推し進めるためには、従来の経営・管理・業務体制を維持しながら、変革を進めるまったく別の体制=OSを同時進行させるというやり方が必要となります。これが「2つのOS」です。

1つめのOS=Management System OS=会社を維持するOS
 本来の経営の目的にそって、従来の経営・管理・業務体制を維持します。

2つめのOS=Change System OS=会社をもっと良くするOS
 会社を取り巻く状態を絶えず全体俯瞰し、変革プロジェクトの目的に合致した、より良い変革施策の考案→提案→実行を速やかに行います。そこで創出された変革の芽を、Management System OS随時移植していくのです(図1)。稲の栽培でいえば「苗床」のような存在です。


図1

変革のオーナー(所有者)役をトップ、主人公(リーダー)は従業員とした全社的変革システム=Change System OSです。


図2


私は経営指導の現場でプラクショナー&変革ファシリテーター役(P&F)として携わり、このCS-OSを起動させ、2年間でTAKE-OFFさせることができました(図2)。これが円滑に推進できた要因は、以下の3点だと思います。

1.トップとの信頼関係に基づく、大幅な権限委譲
 全チームメンバーアサインから、変革チームの活動の独立性の担保までの権限をトップから委譲いただきました。状況によっては専門家に参画を依頼し意見を伺うこともあります。

2.全工程での、変革チーム活動の全社員への定期的な広報活動の実施
 活動内容のすべてをオープンにしました。「変革だより」の発行配布とPC掲示板への投稿等の広報活動や幹部会・役員会への報告を通して意思決定判断活動を実施しました。

3.従業員の経営参画
 「人は、変化は嫌いだが、試してみることは大好き」=ホーソン効果
と言われるように、人は組織の中での役割が何であれ、一個人として評価されたいと思い、「人員」「人的資産」などと評価されたくはないものです。誰もが自分の知性を評価してもらいたいものなのです。

こうした変革活動の結果、約500の問題を14に絞り込み、7つの変革のアクションチームが立ち上がり「変革の芽」を次々に創り出しています。その創出された「芽」Management System OS随時移植して、働きやすい環境へと変えています。さらに経営にも貢献し始めています。

参考文献:

  • 階層組織とネットワーク組織を共存させる これから始まる新しい組織への進化
    (DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文)John.P.Kotter著 ダイヤモンド社2014
  • ホーソン実験の研究 大橋昭一・竹林浩志 著 同文館出版 2008
  • Management and the Worker: An Account of a Research Program Conducted by the Western Electric Company, Hawthorne Works, Chicago  F. J. Roethlisberger著  Harvard University Press 1939
  • メイヨー=レスリスバーガー: 人間関係論 (経営学史叢書) 吉原正彦著、 経営学史学会監修 2013
  • 組織におけるあいまいさと決定 J.G.マーチ/J.P.オルセン著、遠田雄志/アリソン・ユング訳 有斐閣 1986

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