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【SANNOエグゼクティブマガジン】スコープ・マネジメントのススメ ~“範囲”を意識した活動とは~

SANNO Executive Magazine コラム【経営の視点】

スコープ・マネジメントの不在が招くもの

ある企業で問題解決をテーマとした研修の講師を担当させていただいていたときの話です。受講者の方々に「過去に実際に体験した問題を持ち寄って、机上演習のような形式で皆で解決策を考えてみましょう」という案内をし、問題の発生状況をメモして来ていただきました。興味深いことに、持ち寄られた問題の多くに共通点があったのです。
いわく、
「新しい業務手順を整備してマニュアルを作成するという仕事をしていたが、導入先ではマニュアルを作成するだけでなく、導入研修やその後の問い合わせ対応などアフターフォローも含めてやってもらえると信じ込んでいて、そこまでやるつもりはなかった当方としては、コスト面から見てまるで割に合わない状況になってしまった」
「ある審議会のモデレーターを請け負い、第一回の会合に向けて議題の整理をしていたところ、先方は単なる司会役を期待しているのではなく、会場確保・資料印刷・お茶の準備・審議委員への車代の支払いなど、審議会運営の一切合財を期待していることが判明し、青くなってしまった」
「顧客の依頼で、ある調査業務を行っていたところ、当初予定していなかった追加の調査の必要性が次々に発覚して収拾がつかなくなってしまった」
などなど。
いかがでしょうか。皆さんは、これらの問題の共通の要素に気づきましたか?
これらは「この仕事の範囲はどこまでなのか」ということについての管理がうまくできなかったために発生している問題と言えます。筆者はプロジェクト・マネジメントをテーマとした研修の講師を担当させていただくことも多いのですが、こうした問題をPMBOK(※)の用語を拝借して、“スコープ・マネジメント上の問題”と呼んでいます。

(※)PMBOKとは、Project Management Body of Knowledgeの略で、世界最大のプロジェクトマネジメント団体である米国プロジェクトマネジメント協会(PMI)が、プロジェクト・マネジメントの知識を体系化したものです。

マネジメント活動におけるスコープの意義

上で挙げた問題は、「自分の考える仕事の範囲と相手の考える仕事の範囲が違っていた」、「当初見込んでいた仕事の範囲が見込み違いであった」、「時間の経過と共に仕事の範囲が思いがけず拡大してしまった」というように抽象化することができます。いずれも、もっとうまく仕事の“範囲”(Scope)を“管理”(Management)できていれば避けられた問題と言えるでしょう。

プロジェクト・マネジメントの世界では、このScope Managementが非常に重要なマネジメント領域として位置づけられています。PMBOKガイド 5th Editionには、「プロジェクト・スコープ・マネジメントは、プロジェクトを成功のうちに完了するために必要なすべての作業を含み、かつ必要な作業のみを確実にするために必要なプロセスからなる。プロジェクト・スコープのマネジメントでは、プロジェクトに何が含まれ、何が含まれないかを定義し、コントロールすることに主眼を置いている。」とあります。スコープをマネジメントするということは、プロジェクトそのものをマネジメントすることと言っても良いほど、重要な位置づけにあるのです。

しかし、前述のような問題は何もプロジェクトに限った話ではなく、日常の業務を遂行する中でも起こり得る話です。プロジェクト型の業務であるか、通常型(と表現するのが相応しいか議論の分かれるところではありますが)の業務であるかに関わらず、「何をやるのか、そして何をやらないのか?」、「やるべきことの範囲を利害関係者間で明確に合意しておくにはどうすれば良いか?」、「作業範囲の意図しない拡大を避けるための方策は?」といった問いにマネジャーは答えられるようにしておかなければなりません。

よく、「仕事の基本はQCD」と言われます。品質、コスト、納期の三要素のバランスを考えることは確かに良い仕事をしていく上で重要です。ただ、ここまでの議論を踏まえるならば、「QCD」に「Scope」を足して4要素で仕事を捉える視点が欠かせないと言えるでしょう。

4要素で仕事を捉える視点

スコープを適切にマネジメントするためのアプローチ

それでは、スコープをきちんとマネジメントするために、どのような手を打っていけばよいのでしょうか。
世にさまざまあるマネジメントの考え方(PMBOKもその一つです)にあたれば、具体的な手法/技法にいくつも出会うことができますが、ここでは、筆者が重要かつ効果的だと考える3つの主要なアプローチを紹介しておきましょう。

1.要求事項の探索 利害関係者から“何を期待しているか”を聞き出し、要求事項をはっきりとさせる。明らかになっている要求を整理する(要件定義)だけでなく、暗黙の要求も掘り起こす(要求開発)ことを忘れない。
2.スコープの明示 一連の仕事の中でやるべきことを文書化し、利害関係者間で共有する。エビデンスとしての文書を残すことが大切。文書には、最終成果物/最終成果状態だけでなく、中間成果物の記載も忘れずに。
3.変更手続きの制定 一度決めたスコープを変更する際に必要な承認手続きをあらかじめ決めておく。そして、「承認手続きを経ないスコープの変更は許されない」という意識を利害関係者全員に醸成する。

どのような手法/技法を活用するにせよ、マネジャーだけがスコープを意識すればうまく行くというものではありません。組織全体で“範囲”という視点を持った職場活動を意識する必要がありそうです。


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