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縮みがちな思考をストレッチさせる

ミドル層に会社の将来像を描かせる難しさ

経営ビジョンや中長期経営計画を作る時には、その会社の部門長・課長以上からメンバーを選出しチームを組みます。
必要に応じて担当者クラスにも参加してもらいます。会合にミドル層や中堅層を巻き込むのにはそれなりの意図があります。
一つには現場の仔細な情報を吸い上げるため、二つ目は経営に対するコミットメントを引き出すため、三つ目は将来の経営者候補として経営や事業をデザインするプロセスを習得してもらうためです。

しかし、現役の経営者ならともかく、ミドル層に会社の将来像を描いてもらうのは容易ではありません。奇抜な着想の一つでも出てくれば議論が面白くなるのですが、多くの場合、真剣に考えようとすればするほど発想が縮こまってしまうのです。
「当社の10年後のありたい姿」という命題に対して、3年でクリアできそうな「課題」が上がってくる。あらかじめ制約条件を設けていないのに自ら制約をかけようとする。結果、実現の可能性は高いが、夢のないビジョンが出来上がる。普段の仕事をしっかりこなす人ほど、こうした傾向が強いのです。

脳科学的には、人間の思考には
(1)同時に二つ以上のことを考えにくい、
(2)既成概念にとらわれやすい、
(3)感情が思考に大きな影響を与える
といった特徴があるそうです。
議論の場面に当てはめてみると、思い当たるふしがあります。(1)については目的と手段、長期と短期、事実と主観などを混同しがち、(2)は過去の成功・ 失敗例に固執して先に進まない、(3)は、場の空気や参加者の気持ちによって議論の質が変わるなどの傾向が見られます。

逆に言えば、こうした現象は起こりうるものと認識して、対策を打ちながら検討を進めていけば良いわけです。

    過度のセルフコントロールは思考力を低下させる

    また、過度のセルフコントロールは思考力を低下させるという報告もあります。「スイッチ!」(※)という本に面白い実験結果が示されています。

    とある大学の研究室にて、複数名の大学生が部屋に連れて行かれると、そこには良い香りのする焼きたてのクッキーと、その隣の皿にはハツカダイコンがどっさりと置かれていました。
    半数の学生に対しては「クッキーを食べてよい」という指示が出され、もう半数の学生には「ハツカダイコンのみを食べるよう」に指示がされました。焼きたてのクッキーを恨めしそうに眺めながら彼らはダイコンをボリボリと食べていました。

    その後、学生達に対しては、一筆書きで複雑な図形を描くというパズルが出題され、試行錯誤できるように何枚もの紙が配られました。実はパズルはどうやっても解けない仕組みになっていました。
    研究者は、大学生がさじを投げる前に、難しくてストレスの溜まる課題をどれだけ長く続けられるかを確かめようとしていたのです。  
    すると、クッキーを我慢せずに食べた学生は課題遂行に19分を費やし、解を出そうとして34回の妥当な試行錯誤を繰り返しました。一方のダイコンを食べた学生は我慢がもたず、わずか8分であきらめてしまい、試行錯誤の回数は19回だったということです。

    つまりは、セルフコントロールは消耗資源であり、ハツカダイコンのみを食べさせられた学生は消耗資源を使い果たしてしまったのです。この事実はビジネス社会に生きる我々にとっても重要な示唆を与えてくれます。
    怠け者で頑固だから大きいこと・新しいことを考えられないのではありません。実際はその逆であり、真面目で頑張りすぎてしまうがために体力を消耗しきっているのです。
    我慢や辛抱を強いられるような環境下では、たとえどれほど優れた資質の持ち主であっても、思考の踏ん張りがきかなくなってしまうということでしょう。

    チップ・ハース, ダン・ハース. 「スイッチ!」 〔新版〕. “第1章 変化の三つの意外な事実”. 初版, 早川書房, 2010, p.17-18.

    ミドルをねぎらい、脇道にそれて発想を広げる

    ではどうすればよいのでしょうか。まず、集まった検討メンバーには十分な栄養を与えること。これが重要です。
    選抜研修の一環として忙しい中核メンバーを集め、夜遅くまで詰め込みで議論をさせ、宴会は乾き物と発泡酒で…。こんな貧弱な環境では、会社の明日を変えるようなアイデアなど出るはずもありません。
    経営者の代わりに参加者がビジョンや戦略を考えてくれているわけですから、経営者自らが参加者をねぎらうこと、そして経営者自身の考えや課題意識をしっかりと伝えることが大切です。通常の研修とは異なるわけですから、食事や宴会だって少しは豪華なものにしたほうがよいでしょう。

    その代わりに、アウトプットには妥協しないこと。思考の質も大切ですが、その前に思考の量を求めます。思考に関する方法論は数多く提唱されているので本筋はそちらに譲るとして、ここではあえて「脇道にそれてみる」ことを提唱します。行き詰った本筋テーマからキーワード群を抽出し、そこからランダムに発想を広げるのです。

    ロジカルシンキングが垂直型の思考だとすれば、脇道は水平型の思考と言えます。脇道ですから遠回りに思えますが、本筋に戻るのは簡単です。本筋に戻った時に、実は近道だったと思えることもあります。ブレインストーミングやネット検索などが手頃な手法として実用されています。

    さらには、「反対側から考えてみる」のも面白いです。例えば、事業を成長させる方法ではなく、事業を失敗させるためにどうすればよいか?と問いかけるのです。
    顧客が絶対に喜ばないサービス、社会から糾弾される方針、すぐつぶれてしまうようなビジネスなどを真剣に考えてみてはいかがでしょうか。
    違った示唆が得られることと思います。


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