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出る杭を叩くな、活用を~最近の傾向・ご支援から見えること

SANNOエグゼクティブマガジン


稼ぎ頭は中堅社員

皆さんは自社の中堅社員をどのような存在として捉えているでしょうか。様々な捉え方があると思いますが、実際に現場で組織の活動を推進し、多くの付加価値を生み出しているのは、他でもない中堅社員です。新人と違って、会社内部のルールや仕事の仕方を十分に知っており、商品や市場、協力企業など自社を取り巻く環境も含めて、知識と経験を持っています。組織活動にとって、まさに現場の要というわけです。

研修場面でみる優秀な中堅社員

この中堅社員層の研修を担当していますと、必ずと言っていいほど、教室に少なくとも一人二人、優秀だなと思う人がいます。そのような方々の特徴をいくつか挙げると、例えば、積極的に演習に取り組もうとする、自分の意見を言う、他者の意見を引き出した上で耳を傾けようとする、自ら発表を引き受ける、などです。

これらは言ってみれば、管理職、すなわち、中堅層の一つ上の職位に求められる要件といえるでしょう。このようなとき、組織人は、日頃から自身の一つ上の職位の役割・行動を意識しながら活動することが大事だと改めて感じます。中堅社員であれば初級管理者の役割を意識しながら、初級管理者であれば中級管理者の役割を意識しながら、といった具合です。能力開発の一つのポイントでしょう。

しかし、研修場面で優秀と思われる方々に、職場での日常についてたずねてみると、研修場面では、活き活きとした行動が認められ、奨励されているのにも関わらず、職場では、波風を立てるななどと言って受け入れられなかったり、疎まれたりすることもあることを耳にします。ある程度歴史のある職場では、特にそのような傾向があるようです。

出る杭は活用を

このように、優秀な方々が出る杭となって叩かれていることには疑問を感じます。職場は、ある程度の年数がたってくると「硬直症状」を起こすといわれています。ある研究によると、「集団は、その形成後の時間経過とともに発達をみせはじめ、成熟していく。しかしその後はいろいろの面で“硬直”症状をみせはじめ、柔軟性と活力を落としてしまう。」* 。そのような硬直化を打破し、新たなダイナミズムを持った職場へと転換していくためには、出る杭のようなメンバーが時に必要となるからです。

したがって、管理職は、そのような人を受け入れるに留まらず、むしろ積極的に活用していくことで、職場に活力を生み出すことを狙っていくべきです。優秀な管理職を育てるために、多くの企業が、たくさんの資源(時間とお金)を投入しています。しかし、出る杭を叩くと、優秀な管理者候補を萎縮させることになり、大きな損失を生むことになります。出る杭を伸ばしてあげれば、おのずとその人は、管理職候補になっていく可能性が高まるでしょう。

*『構造こわし‐組織変革の心理学‐』、P.111、古川久敬著、誠心書房、1990年。

適材適所の実現

一方で、それ以外の人をどう活用するのか、という観点からも見てみましょう。

企業の中には、言うまでもなく様々な業務があります。例えば、ルーティン業務をミスなくコツコツと行うような職場もあれば、新しいことに果敢に取り組む職場もあります。

それぞれの業務に適した人たちが配置されていなければなりません。すなわち、適材適所の実現です。

個人個人の特性を管理職になる前の時期に組織側が見極め、適材適所を狙うことが必要でしょう。その際は、組織が一方的に行うのではなく、本人の希望・意思を確認しながら行うことで、組織と個人の両者の想いがかみ合います。本学がクライアント企業に、管理職手前の時期に、一人ひとりの特徴を把握することを提言するのもこのためです。

強い管理者の早期育成

企業を取り巻く環境は今後厳しくなることはあっても、楽になることは考えにくいと思われます。これまでとは違う、より強い管理者が求められるでしょう。

その中で「数年後の強い管理者」を育てるために留意することは、“すぐには育たない”ということ、“組織が必要とする数の管理者の確保も簡単ではない”ということです。すなわち、ある程度のスパンで育成活動を計画し、展開していくことが重要なのです。そのためにも中堅クラス一人ひとりの特性を早い段階で見極めることが必要となります。

強い管理者には、様々なジレンマに対処する力が必要でしょう。管理者は常に二律背反、こちらを立てればあちらが立たずといった様々なジレンマに対処していかなければいけません。また、物事に対処する際の時間的余裕もなくなるというプレッシャーが高まってきています。

特に、グローバル展開している企業では、本社からの期待と現地の要望とがぶつかるジレンマにも直面するでしょうし、対処もしていかなければなりません。

これらに鑑みると、中堅社員の時代から、自らチャレンジし、自らジレンマに対処するリーダーシップを発揮していく積極性が期待されます。

だからこそ、“出る杭は叩くな、活用を”、となるわけです。


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